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Ⅳ マドウシ、俺。
038: スケサンズ、活躍スル。
しおりを挟む俺が火の玉サーブでゴーレムを全て破壊してから一ヶ月が経った。俺たちは今その場所から少し離れた山の中にいた。周りに人の気配はない。ここは人が住むには奥深すぎるのだろう。
緑豊かな中に石の神殿。女神様が以前休憩用に作ったものらしいがとにかくデカい。天井も高くて巨人が入れるほどの大きさだ。って?女神様本当に巨人族じゃないんだよね?ね?
俺たちはそこに即席で小屋を建てて過ごしている。この間のサーブ連発で消耗した俺の体力が回復するまでの予定だったが思いの外ここが快適だったため引き続き滞在していたのだ。
なぜ快適なのか。それはスケさんたちの存在だ。
いつぞやのキャンプで用意されたグランピング風ご馳走はスケさんズが用意したものだった。怪しいと睨んだ俺が魔女っ子を任意同行の上事情聴取したところ魔女っ子があっさり口を割ったのだ。
「別に‥わらわの手柄にしようとしたわけではなく‥」
「じゃあなんであの時スケさんたちを俺に紹介しなかった?ポメは知ってたんだな?」
「料理が上手いスケさんたちじゃなくて!剣が強いスケさんたちと紹介したかったのじゃ!だからあやつらの晴れの舞台まで紹介は取っておいたのじゃ!」
「料理が上手いけど本当は強い、ではなく?剣が強くて更に料理も上手いスケさんと紹介したかった?」
「そうじゃ。兄者にはすぐバレた」
口を尖らせた魔女っ子が頷くも俺にしてみればどっちも同じなんだが。結局すごいわけで。
ここにキャンプし出してからのスケさんたちの活躍がすごい。石の神殿の中は陽の光も入らないが特殊な石材を使っているためほのかに明るい。そのためスケルトンたちはやりたい放題だ。
三人は薄暗い森の奥から木を切り出して一日で小屋をこしらえた。魔女っ子が三人に与えた日曜大工キット(るぅ特製上位魔導具)を使っているのだが、なぜDIYツールがこの世界にある?それだけでログハウスを建てられるとか、どういうことだ?
謎の動力のチェーンソーに加えサンダーや丸ノコジグゾー(これらもアーティファクト)を使うスケイチが怖い!スケルトン+チェーンソー=パッと見ホラーだって。
内装は彫り師のスケゾウが美しく整えた。コテとローラーの両手使いでさくさく施工だ。スケジはキッチン内装を担当している。魔女っ子が作ったユニットコンロや冷蔵庫にレンジ(くどいがこれらもアーティファクト)も設置。奥に洞窟があるんだが、その地底湖から水も引かれた。上下水道完備。豪華別荘?機能性こだわりすぎだろ?
さらにスケイチは地底湖で魚を釣るわ、スケジは森で山菜をとるわ、スケゾウは狩りで獲物をとってくるわ。スケルトンは疲れないし眠らない。骨だけに粉骨砕身よく働く。
それだけじゃない。スケジ監修のもと、三人でこれまたメシウマ料理を作った。しかも豪華!動力不明オーブンコンロ付きキッチンでの調理。レストランに出せるような料理が食卓に並ぶ。俺とポメ、るぅ(アークリッチのくせにメシを食う)も大絶賛だ。
元魔法剣士スケジの趣味は料理だったようだ。ゴーレムアタックの途中で差し入れされたドリンクはあそこに生えていた薬草をスケさんたちが集めて擦り絞ったスケジの特製即席回復ドリンクだったらしい。そうと聞けば俺の頭は自然と下がっていた。あの青汁と女神様の激に最後助けられたと言っていい。
元勇者パーティだから自炊に慣れている?暗殺者も手際がいい。おかげで俺たちは一日3食、栄養たっぷりバランスの取れた美味いメシにありつけている。ここは陽の光も射さずスケさん達も居心地がいい。メシウマの快適生活なのにそう簡単に街に移ろうとも思わないわけで。
だがここを出ていかなかった最大の理由は
この三人が俺の師範となったことだろう。
スケゾウの解体技術は素晴らしかった。職業柄かナイフの使い方がうまい。肉魚ともにきれいに捌いて見せた。
スケゾウは黒曜石を解体用の小さなナイフとして使いこなしている。俺の以前狩ったイノシシもスケゾウと一緒に解体したが教わることが多かった。大事な皮下脂肪を残しつつ毛皮を剥ぐ技術は是非習得したいところだ。俺はまずウサギから練習しているがなかなかに難しい。ついでにナイフの使い方もスケゾウから教わっている。
時間が空いたところでスケイチは俺に剣を教えてくれている。伝説の元英雄に剣を教えてもらえるなど!最高じゃないか!女神様スキル怪力はスコップ使用時限定のようで武器を持っても破壊することはなく俺は気兼ねなく剣を打ち込めた。
スケイチの指導で見よう見まねで剣を振る。どうやら俺の剣の腕は悪くないらしい。だが剣の訓練以前にスタミナ強化が緊急対策事案となった。結果ほとんどの時間が基礎体力アップ訓練となった。もうずっと走り込みである。キツい!
俺の体力が回復するや否や何やらスパルタモードにギアチェンジしたスケさんたち。これは魔女っ子?または女神様の差金なのか?
ひょっとしてこれは俺の新兵訓練プログラムか?
解体と剣の訓練で俺がヘトヘトになったところで真打・スケジ登場である。スケジは俺の魔導の師範だ。解体、剣術に続き魔導訓練である。
そう、俺の初陣の際に初めて初期魔導を発動させたのだが、それがとんでもない大量破壊兵器だった。要は魔力調整機能がなってないわけで、それを鍛えるにも発射訓練が必要なのだが。こんな世紀末破壊魔導を連発できるわけもなく。俺の魔導は使えない代物と化している。
それ以来、俺の魔導教本は禁書としてポメの次元収納に封印されていた。
スケジもその事情は知っているようだ。原因は俺の魔力値がとんでもなく高いせい。ならばと俺の魔力制御能力を発動なしで鍛えようとしているのはわかるんだが。
解体や剣術はやって見せてそれを真似させる指導ができるが魔術はそうはいかない。言葉が通じてこその魔力訓練だ。だがスケさんたちに声帯もなく喋れない。俺もスケジに魔導のコツとか裏技を教わりたいのだが、ここに致命的な問題があった。
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