【完結】ヒロイン、俺。

ユリーカ

文字の大きさ
40 / 114
Ⅲ ハンター、俺。

037: 完全試合

しおりを挟む



 目標は80、100本ノックとかじゃないがなかなかの数字だ。身長大の岩を飛ばす。怪力があってもさすがにテニスのサーブとはわけが違う。的が動いてるし?距離感バラバラだし?
 20くらいはまあまあいけた。40でキツいなぁと思った。だが60を超えた辺りで俺の息が上がってきた。懸念していたスタミナ切れである。

 ラケットより俺の方が先にへばった。ラケットの心配をしてる場合じゃなかった。「ルキアス」は体鍛えてなかったからなぁ。レベルとスタミナは比例しない?今後はスタミナアップも継続課題か!

 まさかこんなスポ根な展開になるとか。汗だくで膝に手をついて息を切らせる俺をポメが気遣ってくれた。

『陛下、少し休まれては』
「いや、ゴーレムまだいるし」
「頑張るのじゃルキ!もうちょっとじゃ。これを飲め!元気になるぞ!」

 魔女っ子がにこにこと何か差し出してきた。

 差し入れ?気が利くじゃないか、と俺が思ったのは一瞬だった。

 タオルと共に差し出されたコップ入り緑色のドロドロジュースにぎょっとする。マネージャーならここは爽やかハチミツレモンジュースとかじゃね?この魔女っ子、これをどこから出したんだ?
 るぅの背後のスケさん達がカクカクと首を振って頷いている。効果があるということなのだろう。味わいたくなくて一気飲みしたら苦いながらも意外にフルーティな味。確かに元気になったような気がした。ウマい!もう一杯!と言いたくなってしまった。

『頑張って!あと24体よ!』

 超絶美少女の女神様に現実を突きつけられて俺の心がちょっと折れたのは内緒である。

 ダメだ!負けんな俺!根性見せろ!
 諦めたらそこで試合終了だろ?

 せめてと女神様にここぞとばかりのおねだりモードだ。

「ううぅッ 頑張るんで終わったらたくさんなでなでしてください~」
『わかったから!なでなででもなんでもしてあげるから!』
「なんでも?ホントですか?じゃあ添い寝なでなでがいいです!」
『‥‥‥‥は?何それ?』
「ベッドに鏡を横に置いて寝転がった俺の隣に立てかけて。女神様も横になったところで俺をなでなで。添い寝ですからこう、できるだけくっついてですね。ぐぅぅッ 最高です!絶ッ対これがいい!」
『‥‥‥‥やっぱり私がやるわ。体貸しなさいよ』
「わぁぁッ すみません!ごめんなさい!許してください!それだけは!!」

 レベル5128の女神様降臨!あの拷問オーバーロードだけはごめんだ。せっかくここまで頑張ったのに!あともうちょっとだ!頑張れ俺!いけるぞ俺!

 俺の疲れが吹き飛んだ、無理矢理感満載だが。
 女神様の愛のムチ、女神様ってば鬼だ。

 女神様の激も入り、俺はなんとか総数87体のゴーレムの完全撃破ストラックアウトに成功した。しかもフォルトなし。完全試合だ。中学の頃だってこんなに頑張ってないのに。でもまあ街をなんとか守ことができた。

 サッカーじゃなくテニスやっててヨカッタ‥‥

『やった!全部壊れたわ!』
「すごいすごい!ルキはすごいのじゃ!」

 手に汗握って観戦していた可愛い魔女っ子が俺に抱きついてきた。女神様と魔女っ子の歓喜の声に笑顔で応えようとして。ドロドロに疲れた俺は意識消失、魔女っ子ごとその場に倒れて寝落ちした。ふわりと受け止めてくれたのはスケイチだったと思う。大きくて真っ白だったから。骨なのに意外に柔らかいのが謎だ。

 そして落ちる意識の中で俺がせめてと切実に願ったこと。

 俺、頑張った‥‥
 これでレベル‥‥ちょっとでも上がってるといいなぁ

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...