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第三章: 九尾
第十八話: 狐の行列
しおりを挟む拓人はその様子を見て唖然とした。
それは週末のペットショップあやかし。普通の人間には見えない店なので客なぞこない。店内には空のゲージが並んでいるが、実は空ではなく主人との契約を待つあやかしが中に入っていた。
自分の主人になりうる能力者が現れたらゲージに入るルールだが、あやかし達は居心地良くてたむろしている状況だ。
そんなペットショップに今週もキャリーバッグとリードを持った環がやって来ていた。
キャリーバッグの中にはノルヴェージャンフォレストキャットの仔猫、ベヒーモス。通称もす君。旧約聖書では神が作った完全な生き物とされた伝説の怪物だ。
リードの先には黒いラブラドールレトリバーの仔犬、リヴァイアサン。通称リヴァイ。兵長とも呼ばれたりする。同じく旧約聖書では最強の怪物とされている。リードに繋がれているので他の人間に見えるようになっている。そうでないとリードだけが宙を浮いてしまうのだ。
環がベヒーモスとリヴァイアサンを引き取ってのち、ちょくちょく様子を聞いていたが、どうやら問題なく暮らせているようだ。あの二大怪物を従えても魔力の枯渇が見えない。恐ろしい魔畜量だ。
だからいつものように拓人は笑顔で出迎えたが、その様子が尋常ではなかった。
狐の山。それが第一印象だった。
環の背後に山のようについてくる狐、狐。多すぎて全体が見えない。狐たちの体格もいい。そしてその先頭には九つの尾を持つ白い狐がいた。
狐火の行列。王子稲荷社へ詣でる狐火は有名だがこの狐たちも力が強い。昼間からこれだけの妖気を漂わせるのは普通ではない。
環が狐に取り憑かれている。そう思ったのだがそうではなかった。
『思ったより増えてしまってな。』
仔猫と仔犬を検査します!と言って奥の部屋に引っ張り込んで拓人は事情聴取した。下手人はやはりこの二匹のようだ。
仔猫姿のベヒーモスが目を細めてフッと語る。格好つけているつもりか?
奥の部屋に二匹を連れ込めば狐たちもわらわらとついてきた。狭い部屋にむさ苦しいことこの上ない。
「何が増えてしまっただ。これは管狐だな。なぜあんなに従えている?先週見た時はいなかったぞ。」
『いやいや!これはマリアナ海溝よりも深ぁい訳が!』
拓人が冷たい視線で言い訳する仔猫を無言で見下ろした。
環は見鬼ではない。よってあの狐は見えていないだろう。そもそもあの狐たちは環に取り憑いていない。この仔猫と仔犬に取り憑いているのだ。正確には従えてるというところか。
狐たちの主はあくまでベヒーモスとリヴァイアサンであった。
『実はな。先日狐を助けたのだ。』
そうして仔猫は語り出した
その日も仔猫と仔犬は午後のひと時をげっそり過ごしていた。
ベヒーモスの思惑とは裏腹にリヴァイアサンが増えても枯渇どころか環の魔力が減らない。まさか頭数が増えると供給量も増えるとは思わなかった。
何かおかしい!これはどこの炊き出しだ?一応これでもオレ達は伝説級の怪物なのだがな!一人に一膳、いや五膳きちんと揃えるタマキの魔力無尽蔵が信じられん!しかも追い魔力も絶賛増加中!どうなってるんだ?!
ベヒーモスは涙目でガタガタ体を震わせた。
そんな胸焼け中でゴロゴロしていると、ベランダにふらふらとあやかしが舞い込んできた。よく見れば狐のようだ。
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