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第一章 : 恋に落ちた錬金術士
第十六話 ※※
しおりを挟むアイザックの着衣時から窺えなかった筋肉質のしなやかな体には無数の黒い紋様が描かれていた。刺青のような、それにしては色が妙だ。所々色が変化している。
「これは召喚士の紋様だ。精霊の寵愛を受けた召喚士にしか現れない。まあ召喚士は今は‥‥表向きはソロモン一人だけどね」
シャルロッテはごくりと喉を鳴らす。
ソロモンとは一体 ———
アイザックがその意を汲んで妖艶に微笑む。
「ソロモンは召喚士の長だ。錬金術士の長【創造ブラフマン】、魔導士の長【賢者イスタール】の対になる存在。召喚士の長は【至高ソロモン】。それが僕だ」
シャルロッテはそこで初めて状況を理解し混乱した。
召喚士ってあの今は途絶えている精霊使い?先生がそれ?
そしてなぜアイザックが【賢者イスタール】の兄と対等に渡り合ったのか。それはアイザックが召喚士の頂点、【至高ソロモン】だったから。
え?え?なんで召喚士でソロモンな先生が錬金術士なの?!
「これが僕がソロモンだという証の六芒星。ソロモンにしか現れないソロモンの絶対の象徴」
アイザックの胸の六芒星が黒から虹色に変化しながら輝いている。そしてあの香りがした。花の蜜のような爽やかな甘い香り。
これは紋様の香りだった?
アイザックに手を取られシャルロッテはその六芒星に触れた。途端ぐらりと眩暈がする。全身の感性が一気に花開いたように敏感になってシャルロッテは全身を火照らせて喘いだ。その様子を見てアイザックは満足げにほくそ笑む。
「フフッ 本当に効いたようだね?」
「な‥に‥?」
ひどく強い酒を飲まされたように目が回りふわふわする。そしてシャルロッテの一番深いところ、膣道の奥が熱を帯びたように熱くなる。
「大精霊が言うには、ソロモンの体はご馳走なんだって」
「え‥?」
なにこれ?どうしちゃったの私?
ひどい目眩にくらくらしながら熱にうなされたように問いかける。浅い呼吸で熱を逃そうとするが、シャルロッテにのしかかり頬に触れるアイザックに更にゾクゾクした。
早く、もっと深く疼くところに触れてほしい。
めちゃくちゃに愛してしてほしい。
「ソロモンの体には抗えない。僕の体は美味しくって特にツガイになったらそれなしでは生きていけないほどの快感らしい」
「体が‥‥美味しい?ツガ‥イ?」
シャルロッテの息が上がる。ひどい渇望で体が震えた。
なんでもいい、私をひどく愛して。
早く奥を ———
「シャルロッテ、君は【至高ソロモン】の嫁。僕の生涯ただひとりの女。君はもう僕だけしか愛せないということだ」
残酷な隷属の呪いにも聞こえる言葉が永遠の愛の誓いように感じられ、シャルロッテの心はその熱でどろりと溶ける。
あぁ、私、先生をずっと好きでいていいんだ。
シャルロッテの上で目を細め肉食獣のように微笑むアイザックは既にいつものアイザックではなかった。体の紋様が虹色に輝く。
そこにいたのは錬金術士アイザックではない。
精霊の、召喚士の頂点。至高ソロモン。
ああ、呪いでもなんでもいい。
この人に縛り付けられたい。
ドロドロに愛されたい。
ごくりと喉を鳴らし震える手でアイザックの紋様のない胸板に手を触れる。着痩せしていた体は無駄な脂肪がなくそれでいて筋肉もつきすぎていない均等の取れたしなやかな体だった。錬金術士ではありえないだろう。
素肌に触れた瞬間、その熱さと電撃のような痺れに驚き背筋が震える。
え?服を着てないだけでこんなに違うの?
服を着ていてもあれほどの快楽だった。服を脱いだアイザックとならどうなってしまうのだろうか。シャルロッテは興奮で心の底から震撼する。
「あぁ、気持ちいいね。ロッテに直に触れられるだけでこんなに気持ちいいのか」
うっとりとアイザックは微笑みかける。その表情が誘惑の精霊のようにシャルロッテを虜にする。素肌のソロモンの体で抱きしめられてシャルロッテは声を上げて喘いだ。
「ふぁぁ‥‥あぁ!」
「ああ‥いいね。まだなのにもう交わってるようだ」
本当に交わったらどうなるんだろうね。
アイザックが耳元でそっと囁く。シャルロッテは潤んだ瞳で浅い呼吸を吐く。もうなにも喋れない。頬を染め蕩ける表情だけでアイザックに強請る。
「わかってるよ、可愛いロッテ」
アイザックはシャルロッテの白衣に手をかけるがそれさえももどかしくシャルロットも脱ぐために手を貸す。
服を脱ぎ捨て一糸纏わぬ姿になったところでアイザックが脱いだはずの錬金術士の白衣をシャルロッテに羽織らせる。促されるまま腕を通し前ボタンをとめられた。
「素敵だよ錬金術士ロッテ。白衣の君と一度愛し合いたかったんだ」
その言葉と目を細め妖艶に微笑むアイザックの視線にシャルロッテの体が赤く上気する。アイザックの背後、シャルロッテの正面にあった姿見にシャルロッテが映し出されていた。
素肌に白衣のみを纏う。白衣のVネックは深く、そこから豊満な胸の谷間が覗いている。その頂が二つ、存在を主張するように白衣を押し上げている。
とめている前ボタンは三つのみ。白衣の裾は長いが下腹部をまるで隠せていない。その白さと対比してシャルロッテの上気した桃色の肌がなんとも艶めかしい。
目はうっとりと潤み先ほどのキスで唇もぽってりと腫れている。頬を朱に染め微かに開いた口元がアイザックを誘っているようだ。
初めて見た自分の淫らな姿にシャルロッテは堪らず甘い声で喘いだ。
「‥ぁあ‥‥」
「何も着ていないよりずっといやらしいね。すごく唆る。さぁおいで」
嫣然と両手を広げるアイザックに導かれるままに四つん這いで恐る恐る近づき、アイザックの前に腰を下ろす。ソロモンの紋様に触れてからシャルロッテに拒否権はない。
背後から抱きしめられ、促されて見た先には先ほどの姿見があった。白衣のシャルロッテを抱いて微笑んでいるアイザックと鏡越しに見つめ合う。
アイザックの紋様は最初は胸部のみだったが、今や腕に伸びて手のひらまで達し暗がりの中で虹色に輝いていた。
七色の左手が白衣の襟元を引っ張れば、左の乳房がまろび出た。虹色の指が乳房をもみしだく度に電気のような痺れがシャルロッテの中に流れ込む。
目から流れ込む鏡の中の淫靡な姿と相まってシャルロッテは喘ぎ声を止められない。逸された喉元にアイザックは舌をべろりと這わせた。
「ああぁ‥ふぁあぁ‥‥」
「あぁ、ご馳走はロッテだね。すごく甘い」
首筋をしゃぶられながら両足を開かされ、秘裂が無防備に鏡の前に晒される。左手で胸の頂を摘まれ擦られて熱い痺れが全身を駆け巡る。蜜口から透明な愛蜜がこぽりと溢れ出た。それを右手の指で掬い、膣孔に虹色の中指を一本差し入れる。
甘い痺れを呼ぶ中指の侵入に膣襞が慄いたように蠢いた。指が内壁を擦り上げればシャルロッテが目を見開いて悶絶する。
「はぁッ やぁあぁッ」
「フフッ ロッテ、まだ指一本だよ?」
「でもッ でも‥ッ」
指一本でもいつもと全然違う。虹色の指はシャルロッテをどこまでも煽り追い詰めている。
「ほら、見てごらん。入り口から蜜がまた溢れた。僕の指がぐっしょりだ。気持ちいいんだね?快楽に素直で敏感でいい体だ」
今まで感じたことのない愉悦にただ泣き叫ぶしかできない。腰は既にとろけて力が入らない。刺激されて膣襞はただひたすらにアイザックの指を締め付ける。指から伝う甘い痺れに体の底から震えが走った。
シャルロッテの上気した肌を虹色の男の手が淫らに弄り、官能に誘うように体中を這いまわる。足を広げ虹色のアイザックに好きに貪られ善がるシャルロッテはどこまでも淫猥だ。着崩れた白衣が更に背徳感を誘う。自分の姿と信じられずゾクゾクと身震いした。
その姿を鏡越しに見させられ、ほんのわずかに残った羞恥心でシャルロッテの目から涙がこぼれる。
アイザックが闇色の瞳を細め艶かしく微笑んだ。
「恥ずかしい?恥じらうロッテも可愛いけどまだ足りないね?」
「‥‥‥たり‥ない?」
「恥じらいを塗りつぶすほどの快楽を。まだまだいけるね?」
未知の快楽でシャルロッテの体は既に限界に近かった。だがアイザックの嗜虐的で残酷な囁きにシャルロッテは息を呑む。
そんな ———!
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