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第9話 入学説明会④
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「そう、まぁ、それ以外にも色々活動はしているけどね。
とりあえず日本における国家公認の超能力集団と理解してくれればいい。
そして僕がそこの代表兼訓練所所長を努めているってワケなんだよねこれが。
ちなみに隣りにいるのが助手の片桐 理沙(かたぎり りさ)くんに、補佐の菜々くんだ、よろしく頼むよ?」
「片桐よ、よろしくね。助手というのは嘘だから真に受けないでね」
片桐さんが改めて挨拶してくれる。
っていうか嘘かよ!?
「あらためまして、最恩 菜々です。ちなみに補佐って言っても所長じゃなくて片桐さんの補佐ですから。所長とはなんの関係もありませんから」
「ちょっと二人ともそりゃないんじゃない? 菜々くんはともかく理沙くんは僕と供に行動することが多いんだからもう助手みたいなもんだろう?
あ、なんなら秘書でもいいけれども? ぐふふふ」
所長がいやらしい顔で片桐さんにせまるが、片桐さんは無表情でそれをかわす。
この一連のやり取りで、何となく所長の立場と組織の雰囲気がうかがえた。
「ま、まあ、そういうわけでさ、我々はキミをJPAの一員として迎え入れたい、とまあ……こういうわけなんだね」
ぞんざいな扱いに慣れているのか、特に傷つく様子のない所長。
「……はぁ」
なんだか突拍子もない話の展開に、私は曖昧な返事を返す。
え……と、つまり……私は妖怪ではなくて、ヒーリングっていう超能力者(?)で、この方々はそんな私をJPAっていう超能力者達の集まりに招き入れたいと、こういうわけだろうか?
「あの~~……」
私はおずおずと手を挙げる。
「ほいほい、何かなぁ?」
「超能力集団ってことは、その、みなさんも超能力者ってことですか?」
私はまず一番気になることを聞いた。
「いかにも、その通りだよ?」
あっさりと答える所長。
「え、えっと、じゃあ皆さんどういった能力をお使いになるでしょうか……?」
「うん、それだけれどねぇ……片桐くんはともかく、僕や、特に菜々くんはちょっと説明が難しいんだよねこれが」
そう言って所長は白板にまた文字を書き出した。
『念話』『念視』
「僕は念話。そして菜々くんは念視の分類に入る能力を持っている。二つとも超感覚的知覚ESPに大分される能力だね」
またプスプスと煙を燻らせる私の脳。
「ごめんごめん。いわゆるテレパシーとサイコメトリーってやつだね。聞いたことはあるだろう?」
テレパシーはある。
サイコメトリーは知らん。
「まず菜々くんのサイコメトリーだが、物質に記憶されている記憶――残留思念というものを映像として見ることが出来る能力だね」
うぉぉぉ……残留思念ならばギリ漫画とかで知っているぞ……。
けっこうすごい能力なんじゃないのかそれって?
木とか建物とか色んな所から情報を収集しまくれる探偵業垂涎のチート探索能力だったはず。
「あ、でも私のは植物限定で、それも時間経過で読み取れる情報も少なくなるからそんなにすごい能力じゃないわよ?」
私のすげえ視線を受けた菜々ちんがテレて手をパタパタ振る。
「いやぁ、僕は十分凄い能力だと思ってるけどなぁ?
でも、この場でそれを披露するのはちょっと難しいよね。
植物もないし。
あっても、それから得た情報がウソか本当かなんて証明も難しいしね。
そのへん僕の念話はとってもわかりやすいんだが……少し問題があってね?」
所長はなんだか申し訳無さそうに私を見る。
「さっきのさ、菜々くんがキミの首にバチッってやったやつね、覚えてるかな?」
忘れるわけもありまへんがな。なんなのあれ? なんの攻撃??
「あれはねぇ『ファントム結界』って言って、超能力者ならば皆が持っている対超能力バリアみたいなものが反応して起こる現象なんだね」
ほらほらまた私の脳が焦げ付いてきましたよ?
「つまりね、超能力者はみんな他の超能力者の能力に対して防御壁みたいなものを生まれつき持っているんだね。で、これが他の能力者の能力に触れると、さっきみたいに電気が走ったようなショックが走るって事なんだな」
「え~~と、つまりさっきは菜々ちんが私の暴走を止めようと、わざと私の首筋に向かって能力を使ったと? それでバチッったと?」
「菜々ちん……??」
私の馴れ馴れしい呼び方に少し困り顔で反応する菜々ちん。
「あ、ごめんなさい、ついうっかり……」
「ううんいいの。菜々ちん……うんまぁ、親しみを込めて呼んでくれるならそれでもうれしいわ」
お許しが出たぞ。
「さて、それで僕の念話能力の証明だが……今からキミに適当な言葉を飛ばすよ?
でも多分さっきみたいにキミの結界が反応してショックが走ると思うから、それは勘弁ってことでお願い出来るかな? ――――ではやるよ?」
「ゔぇ!? い、いや、ちょっと……」
と、慌てると同時に――――、
『あ~~テス、テス。本日は晴天なり』
バチバチバチバチバチッ!!!!
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁっ!!!!!」
脳内に直接響く不思議な声と、稲妻のようなショックが一緒に私を襲った。
「どうだろうか?」
どうだろうかじゃないですよ?
ええ聞こえました。たしかに聞こえましたとも!!
でもね、そんなものよりもよっぽどわかりやすく超能力を感じることが出来ましたよ!!
痛みという形でね!!!!
とりあえず日本における国家公認の超能力集団と理解してくれればいい。
そして僕がそこの代表兼訓練所所長を努めているってワケなんだよねこれが。
ちなみに隣りにいるのが助手の片桐 理沙(かたぎり りさ)くんに、補佐の菜々くんだ、よろしく頼むよ?」
「片桐よ、よろしくね。助手というのは嘘だから真に受けないでね」
片桐さんが改めて挨拶してくれる。
っていうか嘘かよ!?
「あらためまして、最恩 菜々です。ちなみに補佐って言っても所長じゃなくて片桐さんの補佐ですから。所長とはなんの関係もありませんから」
「ちょっと二人ともそりゃないんじゃない? 菜々くんはともかく理沙くんは僕と供に行動することが多いんだからもう助手みたいなもんだろう?
あ、なんなら秘書でもいいけれども? ぐふふふ」
所長がいやらしい顔で片桐さんにせまるが、片桐さんは無表情でそれをかわす。
この一連のやり取りで、何となく所長の立場と組織の雰囲気がうかがえた。
「ま、まあ、そういうわけでさ、我々はキミをJPAの一員として迎え入れたい、とまあ……こういうわけなんだね」
ぞんざいな扱いに慣れているのか、特に傷つく様子のない所長。
「……はぁ」
なんだか突拍子もない話の展開に、私は曖昧な返事を返す。
え……と、つまり……私は妖怪ではなくて、ヒーリングっていう超能力者(?)で、この方々はそんな私をJPAっていう超能力者達の集まりに招き入れたいと、こういうわけだろうか?
「あの~~……」
私はおずおずと手を挙げる。
「ほいほい、何かなぁ?」
「超能力集団ってことは、その、みなさんも超能力者ってことですか?」
私はまず一番気になることを聞いた。
「いかにも、その通りだよ?」
あっさりと答える所長。
「え、えっと、じゃあ皆さんどういった能力をお使いになるでしょうか……?」
「うん、それだけれどねぇ……片桐くんはともかく、僕や、特に菜々くんはちょっと説明が難しいんだよねこれが」
そう言って所長は白板にまた文字を書き出した。
『念話』『念視』
「僕は念話。そして菜々くんは念視の分類に入る能力を持っている。二つとも超感覚的知覚ESPに大分される能力だね」
またプスプスと煙を燻らせる私の脳。
「ごめんごめん。いわゆるテレパシーとサイコメトリーってやつだね。聞いたことはあるだろう?」
テレパシーはある。
サイコメトリーは知らん。
「まず菜々くんのサイコメトリーだが、物質に記憶されている記憶――残留思念というものを映像として見ることが出来る能力だね」
うぉぉぉ……残留思念ならばギリ漫画とかで知っているぞ……。
けっこうすごい能力なんじゃないのかそれって?
木とか建物とか色んな所から情報を収集しまくれる探偵業垂涎のチート探索能力だったはず。
「あ、でも私のは植物限定で、それも時間経過で読み取れる情報も少なくなるからそんなにすごい能力じゃないわよ?」
私のすげえ視線を受けた菜々ちんがテレて手をパタパタ振る。
「いやぁ、僕は十分凄い能力だと思ってるけどなぁ?
でも、この場でそれを披露するのはちょっと難しいよね。
植物もないし。
あっても、それから得た情報がウソか本当かなんて証明も難しいしね。
そのへん僕の念話はとってもわかりやすいんだが……少し問題があってね?」
所長はなんだか申し訳無さそうに私を見る。
「さっきのさ、菜々くんがキミの首にバチッってやったやつね、覚えてるかな?」
忘れるわけもありまへんがな。なんなのあれ? なんの攻撃??
「あれはねぇ『ファントム結界』って言って、超能力者ならば皆が持っている対超能力バリアみたいなものが反応して起こる現象なんだね」
ほらほらまた私の脳が焦げ付いてきましたよ?
「つまりね、超能力者はみんな他の超能力者の能力に対して防御壁みたいなものを生まれつき持っているんだね。で、これが他の能力者の能力に触れると、さっきみたいに電気が走ったようなショックが走るって事なんだな」
「え~~と、つまりさっきは菜々ちんが私の暴走を止めようと、わざと私の首筋に向かって能力を使ったと? それでバチッったと?」
「菜々ちん……??」
私の馴れ馴れしい呼び方に少し困り顔で反応する菜々ちん。
「あ、ごめんなさい、ついうっかり……」
「ううんいいの。菜々ちん……うんまぁ、親しみを込めて呼んでくれるならそれでもうれしいわ」
お許しが出たぞ。
「さて、それで僕の念話能力の証明だが……今からキミに適当な言葉を飛ばすよ?
でも多分さっきみたいにキミの結界が反応してショックが走ると思うから、それは勘弁ってことでお願い出来るかな? ――――ではやるよ?」
「ゔぇ!? い、いや、ちょっと……」
と、慌てると同時に――――、
『あ~~テス、テス。本日は晴天なり』
バチバチバチバチバチッ!!!!
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁっ!!!!!」
脳内に直接響く不思議な声と、稲妻のようなショックが一緒に私を襲った。
「どうだろうか?」
どうだろうかじゃないですよ?
ええ聞こえました。たしかに聞こえましたとも!!
でもね、そんなものよりもよっぽどわかりやすく超能力を感じることが出来ましたよ!!
痛みという形でね!!!!
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