191 / 309
第191話 一人戦う⑩
しおりを挟む
木々の精気を吸収し、私の体はどんどん回復していく。
まわりの植物がすべて朽ちた頃には頭の怪我も治り、立ち上がる事ができた。
しかし周辺の植物だけでは精気のフル充填までは出来なかったらしく、私の身体は痩せたままだった。
つまり、また致命傷を食らったら今度こそ回復手段が無くなるということ。
依然、ピンチは続いていると言っていい。
「準備は整ったかしら?」
獲物を見るような目で舌なめずりをする片桐さん。
彼女は今から私を実力でねじ伏せ、主従関係を植え付けるつもりのようだ。
「いえ……出来れば場所を変えたいんですが…………」
そうはいくかと睨みながら、冷や汗を流し答える。
せめてまた元気な植物が生えている場所に移らなければ、このままじゃ勝ち目が無い。
しかし、片桐さんは冷酷な瞳でそれを拒否してきた。
「そこまでサービスする気は無いわ。時間の無駄だしね」
言って指をパチンと鳴らした。
――――ブォンッ!!
同時に出現する空間の歪み。
マンホール大のそれらが、私を中心に左右前後そして上にと配置される。
「服従の台詞は最後に聞いてあげる。今は私の恐ろしさをその身で覚えるといいわ」
――――フォッ!!
空気を食らいながら五つのアスポートが襲い来る!!
「――――くっ!!」
いきなり全方位攻撃か!!
恐ろしさを教えるどころか殺す気満々じゃないのか!??
それともこの程度の攻撃、私なら切り抜けると読んでいるのか?
「ラミア、吸収!!」
『ぎゅいっ!!』
呼応の声と同時に髪の毛が黄金の蛇へと変わる。
それら無数の蛇が、迫りくるアスポートへと牙を剥き、五方向に散った!!
――――ババッバリバリバリバリッぼひゅひゅひゅひゅっ!!!!
蛇とアポートがお互いを喰らい合い、相殺し合う。
ここまではさっきと同じ展開。
さっきはこれに驚いた片桐さんの隙きをつき、結界術を叩き込んでやった、でも今回はもうそうさせてくれないつもりらしい。
予想通りとばかり、彼女は努めて冷静に次のアスポートを出現させた。
個数は五。出現位置も同じ。
しかし大きさがさっきよりひと回り大きい。
――――フォッ!!
間を開けることなく、また襲いかかってくる!!
――――ババッバリバリバリバリッぼひゅひゅひゅひゅっ!!!!
私はまた蛇を放ち、それらを消す!!
しかしまた次が現れる。
位置も個数も同じ。
だが大きさはさらに増し、私の身長くらいの円になった!!
「――――ぐぅ!??」
それをまた蛇で消そうとするが、
ババッバリバリバリバリッ!!!!
今度は蛇たちが押し負けている!!
「ラミアっ!!」
『ぐるるがぁぁぁぁぁっ!!』
私の呼びかけに歯を食いしばって力を振り絞るラミア。
その小さな体にオーラを纏い、毛は逆立ち、蛇の尻尾は天に向かって震えていた。
流れ込んできた全力の吸収エネルギーを蛇たちに送り、
――――ぼ、ぼひゅひゅひゅひゅっ!!!!
何とか三度目のアスポートも食らい迎撃することが出来た。
「はぁはぁはぁ…………」
『きゅ、きゅ、きゅ……』
私とラミアの息が乱れてきた。
吸収能力といっても蛇たちはアスポートと相殺してしまい、精気を持ち帰って来るわけじゃない。なので蛇を使えば使うだけ私たちは消耗してしまっているのだ。
……このままじゃ……まずい。
そう思ったが。
「あら、もうお終いかしら?」
片桐さんの背中から戦乙女が顔を出していた。
次に出現させたアスポートはさらに大きい。
私の背丈の倍はあった。
「……こ、こんな……」
さっきので全力だった。
その倍のエネルギーを今度は防ぎきれるだろうか?
いや、無理よそれは……。
さっき片桐さんを殴ったとき、私のほうが基礎能力は上だと豪語したが……とんでもない。今の片桐さんは完全に私の上を行っている。
それはきっとベヒモス化の影響があるからだろうが――しかし、どんな手だろうが強さがそこにあるのは事実。このままじゃ勝機は無い。
だったらどうする?
――――フォッ!!
考える間も与えてくれず、襲いかかって来る五つの悪魔の口!!
「ラミアっ!! 結界術っ!!」
『ぎゅうぃっ!!!!』
私は咄嗟に結界術を使う。
今度はこれでアスポートを迎え撃つ?
違う。
私が拳を振り下ろしたのは――――足元の地面だった!!
「うぉおおぉぉぉぉぉぉおぉっ!!!!」
――――ドゴンッ!!
全力で放った私の拳は、砂利と土塊を砂に変える!!
そして抉った窪みに身を落とすと、同時にその頭をかすめながらアスポートが頭上で噛み合わさった!!
――――バシュウッバババババリリッ!!!!
「――――ぶっ!!」
タバコと酒をやりながら観戦していた所長は吹き出す。
結界術で即席に作った塹壕《ざんごう》。
そこに逃げて、アスポートを躱し、獲物を失ったアスポートはお互いを食い合って消滅した。
咄嗟に……ほんとギリギリのタイミングで機転がきいて助かった!!
髪の毛のいくらかを持っていかれながらも胸を撫で下ろす。
「あっはっはっはっ!! すごいすごい!! まさかそんな逃げ方があったとはねぇ!! やっぱりキミは面白い子だ宝塚くん!! あっはっはっは!!」
うるさいっ!!
こっちは必死なんだ、面白がっているんじゃねぇ!!
しかし所長の相手をしている暇などない。
私はすぐさま穴から転がり出て走った!!
「おお!??」
さらに面白そうな顔で見てくる所長。
てっきり逃げ出すとでも思ったのだろう。
しかし私が足を向けたのは後ろではなく、片桐さんのほうだった。
まわりの植物がすべて朽ちた頃には頭の怪我も治り、立ち上がる事ができた。
しかし周辺の植物だけでは精気のフル充填までは出来なかったらしく、私の身体は痩せたままだった。
つまり、また致命傷を食らったら今度こそ回復手段が無くなるということ。
依然、ピンチは続いていると言っていい。
「準備は整ったかしら?」
獲物を見るような目で舌なめずりをする片桐さん。
彼女は今から私を実力でねじ伏せ、主従関係を植え付けるつもりのようだ。
「いえ……出来れば場所を変えたいんですが…………」
そうはいくかと睨みながら、冷や汗を流し答える。
せめてまた元気な植物が生えている場所に移らなければ、このままじゃ勝ち目が無い。
しかし、片桐さんは冷酷な瞳でそれを拒否してきた。
「そこまでサービスする気は無いわ。時間の無駄だしね」
言って指をパチンと鳴らした。
――――ブォンッ!!
同時に出現する空間の歪み。
マンホール大のそれらが、私を中心に左右前後そして上にと配置される。
「服従の台詞は最後に聞いてあげる。今は私の恐ろしさをその身で覚えるといいわ」
――――フォッ!!
空気を食らいながら五つのアスポートが襲い来る!!
「――――くっ!!」
いきなり全方位攻撃か!!
恐ろしさを教えるどころか殺す気満々じゃないのか!??
それともこの程度の攻撃、私なら切り抜けると読んでいるのか?
「ラミア、吸収!!」
『ぎゅいっ!!』
呼応の声と同時に髪の毛が黄金の蛇へと変わる。
それら無数の蛇が、迫りくるアスポートへと牙を剥き、五方向に散った!!
――――ババッバリバリバリバリッぼひゅひゅひゅひゅっ!!!!
蛇とアポートがお互いを喰らい合い、相殺し合う。
ここまではさっきと同じ展開。
さっきはこれに驚いた片桐さんの隙きをつき、結界術を叩き込んでやった、でも今回はもうそうさせてくれないつもりらしい。
予想通りとばかり、彼女は努めて冷静に次のアスポートを出現させた。
個数は五。出現位置も同じ。
しかし大きさがさっきよりひと回り大きい。
――――フォッ!!
間を開けることなく、また襲いかかってくる!!
――――ババッバリバリバリバリッぼひゅひゅひゅひゅっ!!!!
私はまた蛇を放ち、それらを消す!!
しかしまた次が現れる。
位置も個数も同じ。
だが大きさはさらに増し、私の身長くらいの円になった!!
「――――ぐぅ!??」
それをまた蛇で消そうとするが、
ババッバリバリバリバリッ!!!!
今度は蛇たちが押し負けている!!
「ラミアっ!!」
『ぐるるがぁぁぁぁぁっ!!』
私の呼びかけに歯を食いしばって力を振り絞るラミア。
その小さな体にオーラを纏い、毛は逆立ち、蛇の尻尾は天に向かって震えていた。
流れ込んできた全力の吸収エネルギーを蛇たちに送り、
――――ぼ、ぼひゅひゅひゅひゅっ!!!!
何とか三度目のアスポートも食らい迎撃することが出来た。
「はぁはぁはぁ…………」
『きゅ、きゅ、きゅ……』
私とラミアの息が乱れてきた。
吸収能力といっても蛇たちはアスポートと相殺してしまい、精気を持ち帰って来るわけじゃない。なので蛇を使えば使うだけ私たちは消耗してしまっているのだ。
……このままじゃ……まずい。
そう思ったが。
「あら、もうお終いかしら?」
片桐さんの背中から戦乙女が顔を出していた。
次に出現させたアスポートはさらに大きい。
私の背丈の倍はあった。
「……こ、こんな……」
さっきので全力だった。
その倍のエネルギーを今度は防ぎきれるだろうか?
いや、無理よそれは……。
さっき片桐さんを殴ったとき、私のほうが基礎能力は上だと豪語したが……とんでもない。今の片桐さんは完全に私の上を行っている。
それはきっとベヒモス化の影響があるからだろうが――しかし、どんな手だろうが強さがそこにあるのは事実。このままじゃ勝機は無い。
だったらどうする?
――――フォッ!!
考える間も与えてくれず、襲いかかって来る五つの悪魔の口!!
「ラミアっ!! 結界術っ!!」
『ぎゅうぃっ!!!!』
私は咄嗟に結界術を使う。
今度はこれでアスポートを迎え撃つ?
違う。
私が拳を振り下ろしたのは――――足元の地面だった!!
「うぉおおぉぉぉぉぉぉおぉっ!!!!」
――――ドゴンッ!!
全力で放った私の拳は、砂利と土塊を砂に変える!!
そして抉った窪みに身を落とすと、同時にその頭をかすめながらアスポートが頭上で噛み合わさった!!
――――バシュウッバババババリリッ!!!!
「――――ぶっ!!」
タバコと酒をやりながら観戦していた所長は吹き出す。
結界術で即席に作った塹壕《ざんごう》。
そこに逃げて、アスポートを躱し、獲物を失ったアスポートはお互いを食い合って消滅した。
咄嗟に……ほんとギリギリのタイミングで機転がきいて助かった!!
髪の毛のいくらかを持っていかれながらも胸を撫で下ろす。
「あっはっはっはっ!! すごいすごい!! まさかそんな逃げ方があったとはねぇ!! やっぱりキミは面白い子だ宝塚くん!! あっはっはっは!!」
うるさいっ!!
こっちは必死なんだ、面白がっているんじゃねぇ!!
しかし所長の相手をしている暇などない。
私はすぐさま穴から転がり出て走った!!
「おお!??」
さらに面白そうな顔で見てくる所長。
てっきり逃げ出すとでも思ったのだろう。
しかし私が足を向けたのは後ろではなく、片桐さんのほうだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-
ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。
1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。
わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。
だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。
これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。
希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。
※アルファポリス限定投稿
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる