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閑話、過去の真実2 〜エリザの手紙 フィアナ視点
エリザからの手紙がきた。
小さな女の子が、一人それを携えて。
その子の瞳の色を見て、息が止まりそうだった。
外部に知られてはいけない色をしていたから。
どうしてこの少女がその瞳の色をしているのか?
嫌な予感しかしなかった。
そして、手紙を読んで泣くしかなかった。
どうして、彼女ばかりこんな目にあうのだろうか?彼女が何をしたというのだろう。
ふとみれば、少女はどうすれば良いのか困っているようだった。棒のように立ったまま俯いていた。
私は少女を迎え入れた。
この子を守らなければー、と。
その夜、私は急いで手紙をしたためた。
エリザの・・・、エリザを愛する方へ。一刻も早く知らさなければ、とー。
*******
フィアナへ。
元気にしているでしょうか?
貴女のことを耳にすることができ、手紙を書くことができます。
この子はセシリアと言います。
見てわかるようにあの男の子どもです。
勝手な願いだとわかっていますが、貴女にこの子を頼みたいのです。
何があったか、知りたい、わよね・・・。
覚えている?
卒業式の後のことを。
みんなのいる前でわたくしの名前を呼び、あの男は婚約破棄をした。
すでに婚約解消していると言うのに、わざわざ呼び出し、わたくしにケイト様を虐めたという、言われなき罪で貶めた。
わたくしが、あの方と新たに婚約を決めたのが気に食わなかったのでしょう。
あの男より身分の高い彼の元へ行くのをケイト様は憎んだのでしょう。
貴女はわたくしを庇ってくれた。
なのに、すでに彼らは周りを買収していた。
わたくしたちは、はめられてしまった。
わたくしを庇ったばかりに、リチャード様との婚約破棄に至らしめてごめんなさい。
どう謝っても、遅いわよね・・・。
話をもどすわ・・・。
あの後わたくしは、貴族牢に連れて行かれたわ。
国王様も王妃様も、あの日公務でいなかったの。おかしいわよね。学園の卒業式のによ。それも自分の御子である王太子殿下が卒業だというのに。
絶対に何かあったはずよ。
でなければ、わたくしが牢に入るはずないもの。すぐにでも誰かが助けに来てくれたはずですもの。
いじめてもなければ、婚約者でもない。それを知っていたのは誰もいない。
あの時まだ公になっていなかったのだから。
婚約解消の時に卒業式までは、口外しないで欲しいと言った理由は、この為だったのかもしれないわ。
貴族牢で、あの男はわたくしを・・・。
「あんな奴にくれてやるのは惜しい」ですって。
「他のやつに襲わせる気だったが、自分が汚すことであいつが絶望に染まるのが見たい」ですって。
酷い。
酷すぎる。
私怨だけで、あの男はわたくしを犯した・・・。あの方が何をしたと言うの。
望み通り、婚約を解消したと言うのに。
悔しい。
わたくしは・・・。
あの後、事態の解明ができたからと、屋敷に送り届けられたわ。
でも、どうにもならないじゃない。
あの方を裏切ってしまった。
父にも話したわ。
手紙を送って、判断を仰ごうってことになったの。
それまで、領地で待っていようって。
付き添いの母と共に帰る途中、盗賊に襲われた。盗賊なんて出たこともない道でなぜ?
母がわたくしを守って、殺されてしまった
。
そこで記憶を失ったの。
次に目を開けたら、娼館にいた。
売られたなんて。
到底返しきれないほどの借金よ。
愕然としたわ。
そして、わたくしのお腹には赤ちゃんがいた。
わたくしは何をしたのかしら?
前の世で、罪を犯したのかしら?
お腹の中の命に恐怖したわ。
でも、日に日に膨らむお腹。動き始めるお腹。
あの男の子どもというだけで、おぞましいのに、愛おしいの。
命があることが愛おしく感じたの。
いずれ、愛する人との子供を育む。
夢見ていたことと違う。
違和感があった。
生まれて愛せるかもわからなかった。
生まれたら、嬉しかった。
でも、瞳の色を見ると、変え難い真実を突きつけられた気がした。
愛おしい。
可愛くて仕方ないの。
なのに、瞳を見ると嫌でも思い出すの。憎くなるの。
愛おしいのに、憎い。
そんな自分が幾度も嫌になるの。自分の気持ちがわからない。どうすればいいのかわからないの。
いずれ、殺してしまいそう・・・。
それでも、あの男に知らせようとは思わないわ。
知られたらこの子の未来はなくなる。
あの女に殺されるかもしれない。
それだけは阻止したいの。
こんなわたくしみたいに、なって欲しくない。
あの瞳のことがバレたら、それこそ見せ物のように客を取らされ、ボロボロにされるだけ。まともな人生なんてありえない。
そんな事を考えている時に、客から貴女の事をきいたのよ。もと貴族の令嬢が孤児院で働いているって。
フィアナらしいと思ったわ。
セシリアの分はわたくしが働いて返すから、大丈夫よ。
フィアナに二つお願いがあるの。
一つは、あの方には言わないで欲しい。
こんなわたくしを知られたくないから。きっと死んだと思っているでしょうから、そのままにして。
二つめは、セシリアにわたくしの分の愛情をあげて頂戴。至らない母親の記憶を消すほどの幸せを。
貴女の自由も幸せを奪った私を憎んでくれていいわよ。
最後に、フィアナ。あの時、ありがとう。
わたくし、最高の友達に出会えて幸せだったわ。
エリザより
*******
許さないわ。
勝手に別れを言うなんて。
絶対に許さないんだからー。
小さな女の子が、一人それを携えて。
その子の瞳の色を見て、息が止まりそうだった。
外部に知られてはいけない色をしていたから。
どうしてこの少女がその瞳の色をしているのか?
嫌な予感しかしなかった。
そして、手紙を読んで泣くしかなかった。
どうして、彼女ばかりこんな目にあうのだろうか?彼女が何をしたというのだろう。
ふとみれば、少女はどうすれば良いのか困っているようだった。棒のように立ったまま俯いていた。
私は少女を迎え入れた。
この子を守らなければー、と。
その夜、私は急いで手紙をしたためた。
エリザの・・・、エリザを愛する方へ。一刻も早く知らさなければ、とー。
*******
フィアナへ。
元気にしているでしょうか?
貴女のことを耳にすることができ、手紙を書くことができます。
この子はセシリアと言います。
見てわかるようにあの男の子どもです。
勝手な願いだとわかっていますが、貴女にこの子を頼みたいのです。
何があったか、知りたい、わよね・・・。
覚えている?
卒業式の後のことを。
みんなのいる前でわたくしの名前を呼び、あの男は婚約破棄をした。
すでに婚約解消していると言うのに、わざわざ呼び出し、わたくしにケイト様を虐めたという、言われなき罪で貶めた。
わたくしが、あの方と新たに婚約を決めたのが気に食わなかったのでしょう。
あの男より身分の高い彼の元へ行くのをケイト様は憎んだのでしょう。
貴女はわたくしを庇ってくれた。
なのに、すでに彼らは周りを買収していた。
わたくしたちは、はめられてしまった。
わたくしを庇ったばかりに、リチャード様との婚約破棄に至らしめてごめんなさい。
どう謝っても、遅いわよね・・・。
話をもどすわ・・・。
あの後わたくしは、貴族牢に連れて行かれたわ。
国王様も王妃様も、あの日公務でいなかったの。おかしいわよね。学園の卒業式のによ。それも自分の御子である王太子殿下が卒業だというのに。
絶対に何かあったはずよ。
でなければ、わたくしが牢に入るはずないもの。すぐにでも誰かが助けに来てくれたはずですもの。
いじめてもなければ、婚約者でもない。それを知っていたのは誰もいない。
あの時まだ公になっていなかったのだから。
婚約解消の時に卒業式までは、口外しないで欲しいと言った理由は、この為だったのかもしれないわ。
貴族牢で、あの男はわたくしを・・・。
「あんな奴にくれてやるのは惜しい」ですって。
「他のやつに襲わせる気だったが、自分が汚すことであいつが絶望に染まるのが見たい」ですって。
酷い。
酷すぎる。
私怨だけで、あの男はわたくしを犯した・・・。あの方が何をしたと言うの。
望み通り、婚約を解消したと言うのに。
悔しい。
わたくしは・・・。
あの後、事態の解明ができたからと、屋敷に送り届けられたわ。
でも、どうにもならないじゃない。
あの方を裏切ってしまった。
父にも話したわ。
手紙を送って、判断を仰ごうってことになったの。
それまで、領地で待っていようって。
付き添いの母と共に帰る途中、盗賊に襲われた。盗賊なんて出たこともない道でなぜ?
母がわたくしを守って、殺されてしまった
。
そこで記憶を失ったの。
次に目を開けたら、娼館にいた。
売られたなんて。
到底返しきれないほどの借金よ。
愕然としたわ。
そして、わたくしのお腹には赤ちゃんがいた。
わたくしは何をしたのかしら?
前の世で、罪を犯したのかしら?
お腹の中の命に恐怖したわ。
でも、日に日に膨らむお腹。動き始めるお腹。
あの男の子どもというだけで、おぞましいのに、愛おしいの。
命があることが愛おしく感じたの。
いずれ、愛する人との子供を育む。
夢見ていたことと違う。
違和感があった。
生まれて愛せるかもわからなかった。
生まれたら、嬉しかった。
でも、瞳の色を見ると、変え難い真実を突きつけられた気がした。
愛おしい。
可愛くて仕方ないの。
なのに、瞳を見ると嫌でも思い出すの。憎くなるの。
愛おしいのに、憎い。
そんな自分が幾度も嫌になるの。自分の気持ちがわからない。どうすればいいのかわからないの。
いずれ、殺してしまいそう・・・。
それでも、あの男に知らせようとは思わないわ。
知られたらこの子の未来はなくなる。
あの女に殺されるかもしれない。
それだけは阻止したいの。
こんなわたくしみたいに、なって欲しくない。
あの瞳のことがバレたら、それこそ見せ物のように客を取らされ、ボロボロにされるだけ。まともな人生なんてありえない。
そんな事を考えている時に、客から貴女の事をきいたのよ。もと貴族の令嬢が孤児院で働いているって。
フィアナらしいと思ったわ。
セシリアの分はわたくしが働いて返すから、大丈夫よ。
フィアナに二つお願いがあるの。
一つは、あの方には言わないで欲しい。
こんなわたくしを知られたくないから。きっと死んだと思っているでしょうから、そのままにして。
二つめは、セシリアにわたくしの分の愛情をあげて頂戴。至らない母親の記憶を消すほどの幸せを。
貴女の自由も幸せを奪った私を憎んでくれていいわよ。
最後に、フィアナ。あの時、ありがとう。
わたくし、最高の友達に出会えて幸せだったわ。
エリザより
*******
許さないわ。
勝手に別れを言うなんて。
絶対に許さないんだからー。
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