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20.
涙が溢れた。
「セシリアを泣かさないでください」
マゼルさんが、引き離す。
「孫娘とのひと時を邪魔するのですかね?」
「僕は父親です」
「はっ?父親?娘を守れなかった男がですか?」
「それは・・・、・・・そうですが」
口元が引き攣っているマゼルさん。
二人の視線は絡み合い、バチバチと音を立てているように見えた。
「公爵!」
「地位は息子に譲っている」
「くっ、リンサス老。エリザとの結婚を認めてくださいますよね?」
「はあ~~~?」
なんだろう・・・?
これは、巷でよくきく、「お嬢さんを私にください」「お前如きに大事な娘はやらーん!!」と言うやつなのだろうか・・・。
二人のあまりの勢いに気押されて、ロイとマザーの方へと逃げ、行く末を見守る。
マザーも呆れ半分で見ていた。
「マゼル様。わたくしはもう・・・」
母が静かに呟いた。
マゼルさんが母を見る。母にひざまずき、手を取る。
「僕が妻にしたいのはエリザだけなんだ。こうやってまた出会えたのだって運命だ。死ぬなら僕の妻として死んで欲しい」
「でも、わたくしは・・・」
母の言いたいことは、わかった。
公爵令嬢であっても、『娼婦』と言う過去は消えない。
マゼルさんが、私の考えている人なら、ますますそんな女性を妻に迎えてはいけないのだ。
だから、母も・・・。
「『永久の妻』ですね」
ロイが言った。
『永久の妻』?
なんだろう?聞いたことがない。
ロイが説明してくれる。
「帝国に、『形無き女神と皇帝が結ばれた』と言う伝説が存在します。今では死にゆく者や迎えることのできない者を妻に迎えると言う結婚が存在します。叔父上は『永久の妻』として、迎えるつもりですね」
「もちろんだ」
「死にゆく者?迎えることのできない者?エリザを愚弄するのか?」
マゼルさんとおじいちゃんが、いがみ合う。
おじいちゃんは怒らすと怖いみたいだった。白い眉と目が吊り上がっている。
負けじと言い返すマゼルさんもすごい。
ロイが横から聞いた。
「教会ではなく神殿での契約ですか?」
「無論」
「・・・・・・」
マゼルさんの言葉におじいちゃんはピタリと言い返すのをやめた。目は真剣なままで、マゼルさんを見ている。
「それは・・・、わたくしは、望みません」
母が言う。
どう言うことなのか?
「覚悟の上・・・ですか?」
「勿論です。そうでなければ、独り身なわけはないですよ・・・」
「ですが、マゼル様にはまだ未来があります」
「エリザ・・・」
握ったままの母の手に口づけを落とす。
「僕には君しかいないんだ。残された君の時間を僕に託して欲しい」
「でも、それで縛ることをしたくありません」
母の両目から涙が流れた。
母が純粋に涙を流す姿を初めて見た。
「繋がりが欲しいんだ。僕に君が死んだ後、セシリアを護ると言う使命が欲しい。そうでもしなければ、僕は狂ってしまいそうなんだ。
今までも、君を忘れようとはした。でも、できなかった。フィアナから手紙を貰った時、どんなに嬉しかったか。君に逢うために生きてきたんだ。この国を作り変えたんだ。君たちを迎える為に。
もう、離したくない。
君を愛してる。エリザ、君を愛しているから」
抱きしめた。
泣いている母を全て抱いた。
「セシリアを泣かさないでください」
マゼルさんが、引き離す。
「孫娘とのひと時を邪魔するのですかね?」
「僕は父親です」
「はっ?父親?娘を守れなかった男がですか?」
「それは・・・、・・・そうですが」
口元が引き攣っているマゼルさん。
二人の視線は絡み合い、バチバチと音を立てているように見えた。
「公爵!」
「地位は息子に譲っている」
「くっ、リンサス老。エリザとの結婚を認めてくださいますよね?」
「はあ~~~?」
なんだろう・・・?
これは、巷でよくきく、「お嬢さんを私にください」「お前如きに大事な娘はやらーん!!」と言うやつなのだろうか・・・。
二人のあまりの勢いに気押されて、ロイとマザーの方へと逃げ、行く末を見守る。
マザーも呆れ半分で見ていた。
「マゼル様。わたくしはもう・・・」
母が静かに呟いた。
マゼルさんが母を見る。母にひざまずき、手を取る。
「僕が妻にしたいのはエリザだけなんだ。こうやってまた出会えたのだって運命だ。死ぬなら僕の妻として死んで欲しい」
「でも、わたくしは・・・」
母の言いたいことは、わかった。
公爵令嬢であっても、『娼婦』と言う過去は消えない。
マゼルさんが、私の考えている人なら、ますますそんな女性を妻に迎えてはいけないのだ。
だから、母も・・・。
「『永久の妻』ですね」
ロイが言った。
『永久の妻』?
なんだろう?聞いたことがない。
ロイが説明してくれる。
「帝国に、『形無き女神と皇帝が結ばれた』と言う伝説が存在します。今では死にゆく者や迎えることのできない者を妻に迎えると言う結婚が存在します。叔父上は『永久の妻』として、迎えるつもりですね」
「もちろんだ」
「死にゆく者?迎えることのできない者?エリザを愚弄するのか?」
マゼルさんとおじいちゃんが、いがみ合う。
おじいちゃんは怒らすと怖いみたいだった。白い眉と目が吊り上がっている。
負けじと言い返すマゼルさんもすごい。
ロイが横から聞いた。
「教会ではなく神殿での契約ですか?」
「無論」
「・・・・・・」
マゼルさんの言葉におじいちゃんはピタリと言い返すのをやめた。目は真剣なままで、マゼルさんを見ている。
「それは・・・、わたくしは、望みません」
母が言う。
どう言うことなのか?
「覚悟の上・・・ですか?」
「勿論です。そうでなければ、独り身なわけはないですよ・・・」
「ですが、マゼル様にはまだ未来があります」
「エリザ・・・」
握ったままの母の手に口づけを落とす。
「僕には君しかいないんだ。残された君の時間を僕に託して欲しい」
「でも、それで縛ることをしたくありません」
母の両目から涙が流れた。
母が純粋に涙を流す姿を初めて見た。
「繋がりが欲しいんだ。僕に君が死んだ後、セシリアを護ると言う使命が欲しい。そうでもしなければ、僕は狂ってしまいそうなんだ。
今までも、君を忘れようとはした。でも、できなかった。フィアナから手紙を貰った時、どんなに嬉しかったか。君に逢うために生きてきたんだ。この国を作り変えたんだ。君たちを迎える為に。
もう、離したくない。
君を愛してる。エリザ、君を愛しているから」
抱きしめた。
泣いている母を全て抱いた。
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