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24.
母の葬儀は滞りなく終わった。
参列者は身内しかいなかった。
お父さんもおじいちゃんも泣きに泣いた。目を真っ赤にして子供のように大粒の涙をボロボロと流した。わたしを抱きしめて泣くものだから、服が雨にでも濡れたようになった。
見かねたマザーが引き剥がしたぐらいだった。
でも、次の日には二人の目には涙はなかった。
代わりにわたしを巡っての争いへと発展した。
「セシリアにはこの色が似合いますっ」
「はっ?若造が。セシリアにはこの色が似合うに決まっているだろう」
「今の最新はこの色です」
「なにをいうか!この流行かぶれが!」
「流行の波に乗り遅れたご老体は口出ししていただきたくはありませんね!」
ドレスの色から始まり形や靴の高さそして宝石に至るまで、二人は言い争いを続けた。それも毎日毎日飽きることなく。
初めは仕立て屋が来ていたが、二人の意見の相違に呆れ果て採寸だけを行い、「意見がまとまってから、もう一度お呼びくださいませ」と色見本とデザインのカタログの山を置いて「やってられないわ」と帰ってしまったのだ。
別にドレスがなくても良いと申し出ると二人は目の色をかえ、「なにを言っているんだ!」と叫ばれ、わたしの意見は通ることはなかった。
あまりの白熱に尻込みしてしまったぐらいだ。
見かねたマザーが二人の間に入るものの、争いに油を注ぐだけになってしまった。
3人の意見が飛び交う。マザーを加勢するように侍女なども参戦するのだから、もうどうすればよいのか、わたしにはわからなかった。
オロオロしながら見ていると、従者として働きながら小さな子たちの世話をするバルとボブがわたしを呼びにきた。
「どうしよう?」
年下の二人に修羅場となしたこの場をどうすれば良いのか聞いてみてしまう。
「ほっときゃあいいんだよ」
「そうそう、いずれやめるだろ。大人なんだから、みっともないことにいつか、気付くんじゃねぇ?」
あっさりとした答えに言葉を失った。
「それよか。セシー姉、ロイ様が呼んでるぜ」
ロイが?
わたしは、二人と共にロイの元へ行く。珍しい。こうやって人を使って呼びにくるとは。
ロイの元へ行けば変わらず美しい天使が椅子に座っていた。
「ロイ」
「セシリア。しばらく会えなかったけど、元気にしてた?」
「うん・・・。ロイは?」
「叔父上が仕事に非協力的で忙しい、かな?叔父上が迷惑かけてるみたいだね」
それなりに離れているはずなのに、騒がしい声がしてくる。
「湿っぽくなくていいわ。でも・・・」
「でも?」
「毎日同じ話題の喧嘩はちょっと、ね?」
呆れたように笑ってみせた。
ロイも苦笑する。
ロイは一度空咳をし立ち上がって、大袈裟な身振りでわたしの前に手をさしだしてきた。
「では、気分転換にわたしとお出掛けしませんか?お嬢さん」
わたしは思わず笑ってしまった。
「お願いしますわ」
少し演技をするかのように言ってみる。
ロイの手の上にそっと手を重ねた。
参列者は身内しかいなかった。
お父さんもおじいちゃんも泣きに泣いた。目を真っ赤にして子供のように大粒の涙をボロボロと流した。わたしを抱きしめて泣くものだから、服が雨にでも濡れたようになった。
見かねたマザーが引き剥がしたぐらいだった。
でも、次の日には二人の目には涙はなかった。
代わりにわたしを巡っての争いへと発展した。
「セシリアにはこの色が似合いますっ」
「はっ?若造が。セシリアにはこの色が似合うに決まっているだろう」
「今の最新はこの色です」
「なにをいうか!この流行かぶれが!」
「流行の波に乗り遅れたご老体は口出ししていただきたくはありませんね!」
ドレスの色から始まり形や靴の高さそして宝石に至るまで、二人は言い争いを続けた。それも毎日毎日飽きることなく。
初めは仕立て屋が来ていたが、二人の意見の相違に呆れ果て採寸だけを行い、「意見がまとまってから、もう一度お呼びくださいませ」と色見本とデザインのカタログの山を置いて「やってられないわ」と帰ってしまったのだ。
別にドレスがなくても良いと申し出ると二人は目の色をかえ、「なにを言っているんだ!」と叫ばれ、わたしの意見は通ることはなかった。
あまりの白熱に尻込みしてしまったぐらいだ。
見かねたマザーが二人の間に入るものの、争いに油を注ぐだけになってしまった。
3人の意見が飛び交う。マザーを加勢するように侍女なども参戦するのだから、もうどうすればよいのか、わたしにはわからなかった。
オロオロしながら見ていると、従者として働きながら小さな子たちの世話をするバルとボブがわたしを呼びにきた。
「どうしよう?」
年下の二人に修羅場となしたこの場をどうすれば良いのか聞いてみてしまう。
「ほっときゃあいいんだよ」
「そうそう、いずれやめるだろ。大人なんだから、みっともないことにいつか、気付くんじゃねぇ?」
あっさりとした答えに言葉を失った。
「それよか。セシー姉、ロイ様が呼んでるぜ」
ロイが?
わたしは、二人と共にロイの元へ行く。珍しい。こうやって人を使って呼びにくるとは。
ロイの元へ行けば変わらず美しい天使が椅子に座っていた。
「ロイ」
「セシリア。しばらく会えなかったけど、元気にしてた?」
「うん・・・。ロイは?」
「叔父上が仕事に非協力的で忙しい、かな?叔父上が迷惑かけてるみたいだね」
それなりに離れているはずなのに、騒がしい声がしてくる。
「湿っぽくなくていいわ。でも・・・」
「でも?」
「毎日同じ話題の喧嘩はちょっと、ね?」
呆れたように笑ってみせた。
ロイも苦笑する。
ロイは一度空咳をし立ち上がって、大袈裟な身振りでわたしの前に手をさしだしてきた。
「では、気分転換にわたしとお出掛けしませんか?お嬢さん」
わたしは思わず笑ってしまった。
「お願いしますわ」
少し演技をするかのように言ってみる。
ロイの手の上にそっと手を重ねた。
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