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14.セイネ1
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地上は明るく色に溢れていたー。
海の中は下に行くごとに光は薄れ暗く濃い色になってゆく。暗い世界は女王様の胸に抱かれているようで安心した。
そして深い海の中では友人であるイルカやクジラたちの甲高い会話音が聞こえるくらいで、音という音はなくなってゆく。時折、遠くから海の底から生まれる泡の音だけが耳心地よく響いていてくる。
海底の洞窟をくぐれば、住んでいる王宮にたどり着く。そこはたくさんの夜光貝が吊らされ、海の王であるお父様の加護のもと美しい世界を作っていた。
海藻やシャコガイから生まれる空気の泡が光に照らされ漂う王宮はとても綺麗で、ずっと見ていられる。魚たちが優雅に泳いでいる姿は飽きることない。
お姉様方は貝でアクセサリーを作ったりとのんびりと過ごしている。
それは人魚族の平和を感じさせた。
私は四姉妹の末っ子として生を受け、次代の人魚族の女王として育てられていた。
なぜなら、金色の髪であり横鰭が三対という容姿が理由だったからだ。
人魚の髪は主に茶色や赤茶色系が多い。鰭は紺色や赤色と様々ではあるが、一対の横鰭があるだけの姿をしていた。
一般的に人魚の寿命は200年ほど。だが特別な容姿を持つものは他の人魚よりも寿命が長く特別視されていた。
現に、今の女王様も金の髪と赤い尾鰭に二対の横鰭を持っている。女王様より200歳ほど若い魔女様も黒髪黒目、黒の尾鰭に二対の横鰭があった。
私のように特に三対の横鰭を持つ者は珍しいらしい。
私の他にもいたらしいと女王様は言っていた。
800年ほど前にいた魔女であるフィレーネ様。400年ほど前にはレフィシア様がいる。
二方とも地上に行き帰ってくることはなかったと聞いた。
ーなぜ彼女たちは帰ってこなかったのだろう?
小さい頃は話を聞いても疑問に思っていた。地上には人魚より寿命の短い泡沫人がいると聞いた。
そんな者たちのいる世界になんの魅力があるのかと。
100歳の誕生日、女王様から地上に行く許可を得た。
見聞を広めるために行ってこいと言うのだ。
女王様は気が乗らないのか、少し沈んだ表情を見せていた。
「セイネイラ、あなただけには正直に言いますが、フィレーネ様は人魚の禁を犯しました。レフィシア様は泡沫人に恋をしました。あなたは次の女王です。くれぐれも泡沫人に興味を抱いてはなりません」
「女王様、大丈夫ですわ。私は興味はありませんもの」
私は心配そうな女王様を励ますように笑ってみせた。
「そう。気をつけて行ってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
私は、同じく100歳の誕生日を迎えた仲間と共に地上へと登って行った。
海の中は下に行くごとに光は薄れ暗く濃い色になってゆく。暗い世界は女王様の胸に抱かれているようで安心した。
そして深い海の中では友人であるイルカやクジラたちの甲高い会話音が聞こえるくらいで、音という音はなくなってゆく。時折、遠くから海の底から生まれる泡の音だけが耳心地よく響いていてくる。
海底の洞窟をくぐれば、住んでいる王宮にたどり着く。そこはたくさんの夜光貝が吊らされ、海の王であるお父様の加護のもと美しい世界を作っていた。
海藻やシャコガイから生まれる空気の泡が光に照らされ漂う王宮はとても綺麗で、ずっと見ていられる。魚たちが優雅に泳いでいる姿は飽きることない。
お姉様方は貝でアクセサリーを作ったりとのんびりと過ごしている。
それは人魚族の平和を感じさせた。
私は四姉妹の末っ子として生を受け、次代の人魚族の女王として育てられていた。
なぜなら、金色の髪であり横鰭が三対という容姿が理由だったからだ。
人魚の髪は主に茶色や赤茶色系が多い。鰭は紺色や赤色と様々ではあるが、一対の横鰭があるだけの姿をしていた。
一般的に人魚の寿命は200年ほど。だが特別な容姿を持つものは他の人魚よりも寿命が長く特別視されていた。
現に、今の女王様も金の髪と赤い尾鰭に二対の横鰭を持っている。女王様より200歳ほど若い魔女様も黒髪黒目、黒の尾鰭に二対の横鰭があった。
私のように特に三対の横鰭を持つ者は珍しいらしい。
私の他にもいたらしいと女王様は言っていた。
800年ほど前にいた魔女であるフィレーネ様。400年ほど前にはレフィシア様がいる。
二方とも地上に行き帰ってくることはなかったと聞いた。
ーなぜ彼女たちは帰ってこなかったのだろう?
小さい頃は話を聞いても疑問に思っていた。地上には人魚より寿命の短い泡沫人がいると聞いた。
そんな者たちのいる世界になんの魅力があるのかと。
100歳の誕生日、女王様から地上に行く許可を得た。
見聞を広めるために行ってこいと言うのだ。
女王様は気が乗らないのか、少し沈んだ表情を見せていた。
「セイネイラ、あなただけには正直に言いますが、フィレーネ様は人魚の禁を犯しました。レフィシア様は泡沫人に恋をしました。あなたは次の女王です。くれぐれも泡沫人に興味を抱いてはなりません」
「女王様、大丈夫ですわ。私は興味はありませんもの」
私は心配そうな女王様を励ますように笑ってみせた。
「そう。気をつけて行ってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
私は、同じく100歳の誕生日を迎えた仲間と共に地上へと登って行った。
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