ワニのジョルデール

夢ノ命

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エピソード9 呼び鳴き鳥が泣く時

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ダチョウほどもある大きさ、ふさふさした毛並のお腹、瑠璃色の羽根を持ったその鳥は、

ジョルディールにこう問いかけます。



「わたしは呼び泣き鳥。君は、わたしを泣かせるほどの何かを持っていますか?」


「…………」


ジョルディールは、何と言えばいいのか分かりません。



「わたしは泣きたいのです。思いっきり! 

この数十年、わたしを泣かせるほどの方は現れませんでした。

君も、同じですか。君は、何かを持っていますか?

持っているなら、それでわたしを泣かせて下さい」


ジョルディールは、困りました。そう言われても、何も思いつかないのです。


僕にできることってなんだろう? ただ、鳴くことぐらいじゃないか。

そうだ、よし、ためしに鳴いてみよう。



「ジョルディール。ジョルディール」


ジョルディールは鳥に向かって、鳴きました。


「へぇー。君は不思議な鳴き声ができるんだね。

ようし、今度はその声でわたしを呼んでみてくれないか」



「ジョルディール。ジョルディール」


ジョルディールは、呼び鳴き鳥のことを呼んでみました。


「ジョルディール。ジョルディール」


「うんうん。いいねぇ。何だか君を信じたくなってきたよ」


「今度は、このわたしの羽根の音といっしょに鳴いてみてくれないか」


呼び鳴き鳥は、ジョルディールの目の前で、

瑠璃色の羽根を開いて、しきりに、バタつかせました。


羽根から風が生まれ、ジョルディールの顔を吹き抜けて行きます。


ジョルディールは、羽根に合わせて、鳴いてみました。



「ジョルディール。ジョルディール」


ジョルディールが鳴くと、呼び鳴き鳥がそれに合わせて、羽根を舞わせます。


すると、羽根に合わせて、またジョルディールが鳴きます。


まるで、呼び鳴き鳥の羽根が、歌っているようです。


「ジョルディール。ジョルディール」


不思議です。鳴けば鳴くほど楽しくなってくるのです。


呼び鳴きの鳥の羽根が、ジョルディールの鳴き声に合わせて、

綺麗なウェーブを描きます。


ジョルディールの鳴き声が、羽根のウェーブに乗って、

風と共に、空をめぐります。



その時です。


呼び泣き鳥が、けたたましい声をあげました。


瑠璃色の羽根は、たたまれ、ただ、クチバシを空に向けて、

声が何度も上がります。



それはまるで、泣いているようでした。



〈続く〉
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