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エピソード22 【見たこともない海の世界】
しおりを挟む★「おしゃれ」「お母さん」→マンモス白珊瑚の森に住む。おしゃれ金平糖ウミウシ。
★「いちご」→船形石珊瑚に住む「おしゃれ」の心友。いちごジャムウミウシ。
★「兄」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの長男。青くて大きめの魚。過度の心配性の特徴あり。
★「妹」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの末っ子。オレンジ色の小さな魚。しっかり者の性分。
光り輝く船型の甲羅をもった亀が、《星の船》の正体だったのだ。
「出発進行! 」
「いちご」にそう言ってみなさいと言われ、「妹」は、声を張り上げた。
すると下の亀が、ゆっくりと手足を動かして泳ぎはじめる。
それと同時に、《星の船》を包んでいた光の玉がキーンという不思議な音を放ち、回転しはじめた。
回転数はどんどん上がって行き、やがて、何度も光の亀裂を球の中心に生じさせながら、
光の球は最高速に達した。
その時、《星の船》に乗っていた「兄」と「妹」は、思いもよらぬものを見た。
進んでいく《星の船》の進行方向はるか彼方まで、一瞬にして、海水が二つに分断し、
海の世界が割れたのだ。そして真っ直ぐに、道のようなものが出来上がったのだ。
《星の船》がその中をゆっくりと進んでいく。
すると、空高く光る星明かりが、雨のように音を立てきらめき、
空からゆらめく光の帯が、サッと音もなく舞い降りてくる。
やがて、光の滝を側面から見ているような光景が目の前に広がった。
そしてそれは、《星の船》の進行方向をどこまでも目指して、秩序正しく押し寄せていく。
《星の船》に乗っている三匹の目には、見たこともない海の世界の様子が映っている。
どこまでも広く限りのない海の世界が、これはいったいどういうことだろうか。
あちらからやってくるようなのだ。
水と、光と、空気が均一に分かれながらも、均等に混じり合っているような海の谷間の道を、
亀はゆっくりと泳いでいくのだが、船の前から潮が満ちるように、
海の中の様々な光景が波となり押し寄せてくる。
サンゴ礁の海。
険しい岩礁地帯。
深海の暗い海底。
太陽が眩しく照りつけるエメラルドグリーンやオーシャンブルーの水の色。
マンモス白珊瑚の森も見えてきた。
その中には、おしゃれ金平糖ウミウシの姿も見える。
〈続く〉
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