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エピソード48 【楽しい見学】
しおりを挟む★「おしゃれ」「お母さん」→マンモス白珊瑚の森に住む。おしゃれ金平糖ウミウシ。
★「いちご」→船形石珊瑚に住む「おしゃれ」の心友。いちごジャムウミウシ。
★「兄」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの長男。青くて大きめの魚。過度の心配性の特徴あり。
★「妹」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの末っ子。オレンジ色の小さな魚。しっかり者の性分。
******
そして、それに顔を近づけて聞いてみろという。
言われた通りにすると、
「こんにちハマチ! ご機嫌うるめイワシ! 」
という意味不明の言葉が聞こえ、その後すぐに、顔の前で水の泡が消えた。
水の泡で言葉を包み込むやり方は、いろいろあるのだと言う。
その方法の一つとして、「兄」は飛び魚から、口の中から水玉を出すやり方を教わった。
頭の中で言葉を呟きながら、口の中で水の泡を膨らませ、それを吐き出す。
見ていると飛び魚は簡単そうにやっていたが、いざ自分がやってみると、とんでもなく難しいことだった。
なかなか頭の中でつぶやく言葉と、口の中で水玉を膨らませるタイミングが、合わない。
それでも何度か練習していると、出来るようになった。
飛び魚も良くできましたな、と存分に褒めてくれた。
奥の間の部屋にも行ってみるといい、きっとあちらでも楽しい見学ができますな、と勧められ、
「兄」は、部屋中水玉を浮かべた中に、せわしなく行き交う飛び魚たちがいるその部屋を後にした。
ずっと奥まで泳いでいくと、半透明な氷の壁に突き当たり、そこにひし形の小さな穴が開いていた。
奥の間の部屋とはここだな、と思いながら入っていくと、思ったよりも中は狭かった。
円い天井。
円く取り囲んだ壁。
部屋の中央にある大きな氷のテーブル。
テーブルの上に山のように積み重なる水玉。
テーブルを取り囲んでいる七匹の飛び魚。
入っていくのと同時に、「兄」の目に、部屋の様子が映った。
「兄」はまた、テーブルを囲んでいる一匹の飛び魚に声をかけてみた。
何度声をかけてみても、飛び魚は気がつかない。
顔の前に浮かんだ水玉にジッと聞き入るような様子で、ぶつぶつと何かの言葉を呟いている。
「兄」は大声を出した。
それでようやく、飛び魚は「兄」に気がついた。
「おや、お客さんですかい。めずらしい」
〈続く〉
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