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エピソード58 【速きこと飛び魚のごとく】
しおりを挟む★「おしゃれ」「お母さん」→マンモス白珊瑚の森に住む。おしゃれ金平糖ウミウシ。
★「いちご」→船形石珊瑚に住む「おしゃれ」の心友。いちごジャムウミウシ。
★「風船ウミウシ」→体を丸めて転がって移動する珍しい種族。みんなからスーパーウミウシとあがめられている。
★「兄」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの長男。青くて大きめの魚。過度の心配性の特徴あり。
★「妹」→マンモス白珊瑚の森に住む14匹の魚たちの末っ子。オレンジ色の小さな魚。しっかり者の性分。
******
三日目の月夜の晩に、老シャチの所に吉報が舞い込んだ。
北の果てに戻ってきた飛び魚の一匹が、ターコイズブルーウミウシらしきものを、10回前に出た月夜の晩の頃、目撃していたというのだ。
あくる朝、老シャチが、さも自分の手柄のように、南西に青白くほのめくウミウシの姿ありでござんす、さっそく出かけなさい、と言うので、具体的にどんな場所で見かけたのか教えてほしいと、「いちご」がたずねると、
尾ヒレを氷の床にピシャリと打ちつけて、うむ、と老シャチは姿勢を正し、実は言いにくいことでござんしたので伏せておいたのですが、
お探しのウミウシは、それはそれは大きな物体にさらわれて、今もそのものに、とらわれの身の様子でござんす、
と変に声をふるわせて、言うではないか。
まあ大変と、「おしゃれ」が姿勢をくねらせ悩み始めるやら、
「兄」が落ちつきなくどうしよう、こんな一大事は初めてだ、と言いながら決死の救出を試みる勇敢無謀の計画を練りあげ、
いざ行かんとばかり、意気揚々としてホシガメに乗り込むやらで、一時は混乱を極めた。
老シャチはそんな様子を他魚ごとに眺めながら、大変なことになったでござんすなあ。
まあ、何と言っても命あってのモノダネでござんすからして、おのおの方、くれぐれも用心される事が肝心でござんすな。
と言うや否や唸り声をあげ、ここぞと言うときの秘訣は、といきなり切り出した。
見ると、何故か興奮している。
――速きこと飛び魚のごとく、侵略することシャチのごとし。
と行かれれば必ずや成功を見ること自明の理でござんすな、と老シャチは口から無数の牙を光らせ、口を開閉するたびに、カッカッと妙に背筋の寒くなるような音を鳴らしてそう説明をする。
〈続く〉
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