ぼうしの国のティコ

夢ノ命

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エピソード1 ジャングルジムの上で

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「ティコのはなしをしよう」


そう言いながら、ユウイチロウは、

キヨヒコとマユコに顔を近づけました。



キヨヒコとマユコは、ミナミ小学校5年3組の同級生です。



ユウイチロウたちは、いま、

小学校の裏にあるひょうたんの形をしたひょうたん公園にいました。



7月に入り、公園で遊んでいる子供たちのはしゃぎ声は明るく、

雲にとどきそうです。



その中で、一番涼しいところ、

公園の中央のジャングルジムの上で


3人は鉄棒をにぎりしめて、輪になりました。




風が吹くと、3人の前髪が、フワリと浮かびます。



ユウイチロウのおでこの上で、

前髪が、ミカヅキ型に丸まりました。




「ウッソォ、おでこに、月がでてる」


とキヨヒコとマユコが吹きだします。




「エッヘン!」


ユウイチロウは、わざとらしいセキをしてみせました。




「どうもぉ、おあとが、よろしいようで」


キヨヒコが舌をだして、ごめんの合図をします。




キヨヒコのおばあちゃんは、大の落語好きです。


だから、キヨヒコもこんなビミョーな口ぶりが得意なのでした。



******



「まだ言ったことのないひみつを、かわりばんこに言っていくとか……」


言い出しっぺは、マユコでした。




マユコは、最近よく、

人の秘密を、知りたがります。



「小学5年生にもなれば、ヒミツのひとつやふたつ、もっていてとうぜんよ」


とか言って、ユウイチロウとキヨヒコをおどろかせます。




「ヒミツを知るのって、ハラハラドキドキしない?」


あきらかにマユコは、

テレビアニメ『名探偵コナン』の見すぎなところがあり、



ユウイチロウとキヨヒコは、

マユコについていけなくなると、


いつもトイレにかけこみました。



こっそりと抜け出すためです。



でも、こんどのユウイチロウはちがっていました。


ユウイチロウには、話したいヒミツがあったのです。



〈続く〉
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