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別れと・・・
しおりを挟む愛するおとうさま
愛するおかあさま
お別れの時は早かった
別れの儀が進んでいくが、心が留まっていられない。信じられない想いでいっぱいだ。
一緒にいきたい・・・そればかりが胸を占め何も考えられない。邸の皆も涙し、別れを惜しんでいる。
お父様、お母様の貴族仲間、仕事関連の皆様。無意識であっても今まで後継者として学んできた事で対応していく。皆さま慰めてくださるけれど私の心を通り過ぎていく。
最後に霊廟へ納められるおとうさま、おかあさま。亡くなっても美しい2人。
逝ってしまった、私を置いて
逝ってしまわれた___
1人になり力無く頽れた私に
「アンナ、僕が居るよ」 と、声をかけてくれた。
「オリバーさま・・・っ・・っ・・」
オリバー様はずっと私を抱きしめ、側にいて下さった。日が暮れて、寒くなりセバスチャンが
「お二人共、邸へお戻りください・・・」
セバスチャンに連れられ、オリバー様に手を繋がれた私は、部屋へと戻りいつの間にか着替えており、温かで蜂蜜の入ったミルクを飲まされベッドへ入れられた。
「僕が居るよ。」
とオリバー様が手を握ってくださり私は、いつの間にか眠っていた。
心が様々千々れる中、いつの間にか数ヶ月経ち。ブライスリー家には、お父様の兄であると言うオーウェン・イライジャ叔父様が、私の後見人として入ってきた。
叔父様の妻である、ベラドンナ様。娘である、ベリンダ様
叔父様家族が連れてきた使用人がおり、元々ブライスリー家に居た使用人達は少しずつ、居なくなっていった。
筆頭執事であるセバスチャンは、この家の事をこなしている為まだいる。領地の事も含めて知っているのはセバスチャンしか居ないから・・・
そして私は、部屋を出されて小さな部屋に追いやられていた。ドレスも宝石も、お気に入りの髪飾りも少しずつベリンダが
「あら、アンナ様は沢山持って位らっしゃるから・・・一つくらい良いわよね?」
と、ひとつ、一つと持って行かれてしまう。
「あ、コレはわたしの方が似合うわっ!地味なアンナ様にはもったいないものっ!」
「それは、ダメです。
オリバー様から頂いたネックレス。オリバー様の色だからと頂いたの!!」
「なら、尚更、わたしの方が似合うわよっ!!」
と、大切にしていたサファイアブルーの大きな石の付いたネックレスを奪った。
「あら、コレも良いじゃない」
「それは、お母様とお父様との思い出のリボンだから・・・・・本当に返してっっ!!お願いよっ!」
飛びついた私も悪かった・・・・・
「キャアーーーーーー」
と盛大な悲鳴をあげ倒れ込むベリンダ・・・ネックレスとリボンを握り締める私
そこへ、 「どうしたんだっ!!何事だ!!」
と、叔父様夫婦とオリバー様が入ってこられた。
「何をしているんだ!!!ベリンダに何をしたっ!!!」
凄い怒りの形相で叔父様が怒鳴る
「おとうさまーーー!!!」
と、泣きながら縋り付くベリンダ
「アンナ様がっアンナ様がっ・・ヒック、ヒック・・・」
と泣きじゃくるベリンダ
「よしよし、ベリンダ辛かったな」___ギロリと私を睨むと
「ベリンダに謝れっ!!この恩知らずがっっ!」
「でも・・ベリンダ様がっ・・・
オリバー様から頂いたネックレスと、お父様とお母様の思い出の・・・・・」
バァンっと、音と共に頬が熱く痛む。倒れ込んだ私をそのまま蹴り込む叔父様。
「だから、何だっ!!!お前は、沢山あるんだから少しぐらいベリンダに分けてやるのが当たり前だろう!!
全く、ガメツイ女だ!子供のうちからそんな狭い心で先が思いやられるものだっ!!
なぁ、オリバー様 」
「まぁまぁ、オーウェン様。そのくらいで良いではないですか・・・
さっ、ベリンダ嬢も立って?」
と、助けおこすオリバー様
皆んなを連れて行ってくれた私に『大丈夫だよ』と口で伝えて。これ以上ひどくならない様に、私から離してくれたのだ。
「ふんっ!!しょうもない奴めっ!!」
と、オリバー様からのネックレスと、お父様とお母様との思い出のリボンを奪って行った。そして、外から鍵が掛けられた。
きっと、今日の夕食は無い
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