完結  どうぞ、お好きなだけひっつき虫になればよろしくてよ

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何だか色々言っているけれど暇乞いをしようとした時だった


「ああ、そうだ。来週の夜会はエスコートするから準備しておけよ。」と此方を見もせずに告げられた言葉

「ああ、もう話すこともない帰っていい。」とダメス様

「嫌ですわ~、そんな言い方、アンリ様が余りにも惨めで可哀想!もう、お兄様ったらいくら私の方が可愛いからって。もう少しこう、オブラートに包んで下さいませね?フフフ。」

更に追い討ちをかける心無い言葉、あなたが言葉にするからこそ余計に私が “ 惨めで可哀想 “ になる。こんな女性のどこが優しくて可愛いのか気がしれ無い。私の心の中で大切にしているものが一枚ひらひらと落ちてしまった気がしたけれどそれ以上は落ちて欲しくなくてキュッと抱きしめた

もう帰りかけていたけれど、ダメス様の言葉に則った形でお暇してきた


タウンハウスに戻る途中も心とは反対な穏やかな空を眺めながら、グルグルと優しかった頃のダメス様とそうでは無くなって来てしまったダメス様、特にここ数ヶ月程の彼のことを考える。

ダメス様と初めて顔合わせしたのはお互いが10歳の頃、あの頃はまだ少し幼さの残る2人だった。我が公爵家に遊びに来ていたお父様の仕事繋がりの友人子息だった彼。父親同士は商談しておりその間2人庭で遊んでいた。

その頃はまだ弟が2歳と小さかった為母がお茶会の出席も控えていた為歳近い子供と遊ぶ機会が少なかった私はとにかく嬉しかった事を覚えている。

その当時ダメス様はとても優しく茶色味がかったブロンドに陽が当たりとても綺麗だった事も相まってその煌めく緑の瞳と共に私の心を捉えてしまった。こんなに優しくて美しい方が私の王子様だったらと思ったのだ。

はにかみながら優しくエスコートし庭を散歩してくれてお気に入りではあるけれど、自邸のいつも見慣れた庭がおとぎ話の中の様に感じられ花々もより煌めいて見えた。

その時に中心が白く薄いブルーの可愛らしい花を押し花にして栞にした。今も大切な宝物だ春になると毎年少し押し花にしている。


優しく美しいダメス様と結婚したいと父公爵と母にお願いし弟思いの娘の初めてとも言えるお願いに折れた両親がその願いを叶えてくれたのだ。

こうして婚約が結ばれたのだが仕事面での付き合いがある両家は事業面でもお互いの立場を深めていき表向きは政略的な意味合いが大きいと思われていた。公爵家の令嬢が伯爵家に嫁ぐのだから余程今の事業は力を入れているのだなと噂されたのだった。

それからの2人はお互いの家を行き来し少しずつ仲を深めて来た。 周りのお付きの者たちもまだ可愛らしい2人の互いを思いやる様にほっこりとしながら見守ってきたのだ。その様が少し変わって来たのは2人が12歳を迎えギフトを授かってからだ


伯爵令息のダメスは炎と風の魔法と身体強化の攻撃力特化のギフトが授けられて、それを元にスキルも進化していく為伯爵位を継ぐまでは騎士としてもやっていくことになるだろう。この国では恵まれたギフトとなる。

だが公爵令嬢のアンリは何と書かれているのか判別不能なギフトで、調べて貰っても意味がわから無い物だったのだ。アンリ自体は錬金や薬師のギフトを密かに希望していた為がっかりしたものだ。特に公爵家の令嬢としては肩身の狭い思いをする事となってしまった。

お茶会などに母と一緒に4歳になった弟と出席していても2人と離れると『嫌ですわ、公爵家の御令嬢なのにギフトが振るわなかったのですって・・』 『そうらしいですわね、ギフトらしいですわ。』 『ダーナス伯爵家もとんだハズレを掴まされてしまったものですわね・・あんなに喜んでらしたのにね、フフフ』 『御子息は優秀なギフトでしたのに今更婚約を白紙にする事も出来ないと泣いてらしたわ、お可哀想に。』と私を流しみる御婦人達。

周りの子女達も親から聞かされているのだろう寄りつこうとはしない。どこに行ってもコソコソと噂される心無い言葉たち、12歳のアンリの胸を切り刻むのには十分だった。

そんなアンリを両親はいつも守ってくれた、それと共にただ1人ダメスだけは優しく微笑みかけ一緒に居てくれた。変わらぬ優しさで包んでくれたのだ。それはアンリの心を凍り付かせる事なく守ってくれる暖かいものだった


暖かな彼が変わってしまったのはいつからだったろうか・・・


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