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市場

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誰かがお布団に寝かせてくれたおかげでとても快眠出来ました。私の母さん程、野生児では無い!と反論した為か、久しぶりに母の夢を見た。

記憶の中の母と同じで、まぁるい顔でニコニコと笑いながら、
『杏里ったら、随分遠い所に来ちゃったねぇ。母さん会いに来るの大変だったよー。こっちに移動して来たからコレからは、普通に会えるねー。ふふふー。あ、父さんはもう、地球で生まれ変わってるからねー』
って、笑ってた。

母よ、会えて嬉しいけど早く成仏して下さい。 心配症だった母。まだ見守ってくれてるのかな?そして
『こっち来たらお父さんともう会えないんじゃ無い?』って言ったら、ガーン!!ってなってたよ。寂しくなったらまた地球に帰って行くのかな?てか、帰れるのかな・・・母ー、ガンバレー!

母は、とてもとても方向音痴だった。良く私の所来れたね。私が幼稚園児の頃から、家から少し遠い所に行くと、道が分からなくなり聞いて来てたもんね。
母よ、貴女の方こそ心配です。

ふぅ、夢なのに、とてもリアルだったなぁ。お母さん、相変わらず自由だったなぁ。そんな事をお布団の中で思い出していたら・・・


「おはよう。良く眠れた?」って

ハッ!!このイケメンボイスは!優さん!朝から刺激が強いぜ! おっと、忘れていました。そう言えば、昨日から皆さんと合流して武器・防具屋の親父さんと少年、琥珀君のところにお世話になっているんでした。ちゃんと認識していたはずなのに、どうしてかこんなにぼーっとしてしまった。
私が1番遅い起床かな?やってしまった。

「お、おはようございます!ごめんなさい。最後まで寝てました!」

「大丈夫だよ。お城では馬小屋だったもんね。」

そうだった、フランクに話すって決めたんだった。
「うん、でも馬さん達が居てくれたから幸せだったけどね。」
ただ、いきなりの床と言うか土?だったし、色んな出来事あった後だったからやっぱり疲れた。

「あ、どなたかお布団に運んで頂いたみたいでありがとうございます。すみません。大人なのに」

「あー、それ俺。女の子なのに勝手にごめんね」
「いえいえ、もうおばちゃんだから、可愛さもなんも無いですけど。ありがとうございます。」
「ぷっ、今は16歳でしょ?」
「あー、そうだった」グゥ~。空気を読まない私のお腹。顔が赤くなっていくのを感じる。恥ずっ!!

「クスクスッ。さっ、ご飯行こっ!」

頷きついて行く。おー、皆んなスタンバッてた。

「おはようございます。ごめんなさい!みんな!」

「おー、おはよう。ちゃんと疲れは取れたか?メシ、食うぞ!」ニカッと効果音のつきそうな笑顔のダンガルさん。

「「「「「おはよう!」」」」」皆んなが笑顔で迎えてくれて、遅くなって申し訳無かったけど嬉しかった。

「大丈夫だよー!寝かせておこうって私が言ったの。皆んなも杏里ちゃんが外で寝てたの知ってるし、色々あったからね」とキラキラの笑顔の清羅さん。おー女神がここにいる!

「ありがとう皆んな。」

「「「「「「「いただきまーす!」」」」」」」

この世界にも、いただきます とごちそうさまでした がありました。前に来た日本からの先輩方の影響だろうね。

今日の、朝は、何とお味噌汁と白ごはん。鯵の塩焼きにおしんこ。和食!
美味しかったよー!まだ。たった3日しか経って無いのにずっと食べてない気がしてた。それ程、日本食が恋しかった。
本当に、おごちそうさまでした。

ご飯の後はちゃっちゃと片付けて、市場にお買い物に出掛けた。

海外のマルシェや日本のフリーマーケットを彷彿とさせる。色取り取りの果物、野菜、花、見ているだけで幸せな気持ちになる。野菜の中には大豆っぽい豆もある。こ、コレは!小豆では? ムフーと興奮しながら清羅さんを見ると清羅さんも似たような感じでこっちを見てきた。

「「うん、買いだね!!」」2人で店番の人にいくらくらいか聞いてみると、

「あー、それねーうん、3キャロで500Gだよ!」

「なに!!」

「あー、やっぱり高い?じゃあ300Gで良いよ!」

「え?良いんですか?」

「じゃあ、こっちの少し大きめのお豆も一緒に10キャロ?ずつお願いします!」

「はいよー、まいどありー1800Gで良いよー!少しだけどおまけね!」

「ありがとうございます!」ホクホクの私達!嬉しいなぁ。こっちでも"ぼたもち"が食べられる。楽しみだなぁ。

それと、お米発見!清羅さんはパンも焼けるって事で小麦も多めに購入。
野菜も日本で見たような野菜も、こちらの世界の野菜も沢山買っておく。

途中でも買えるとは思うけどいつ買えるか分からないもんね。それにその地方特産とかは有るだろうけど色んな種類は無いかもしれないしね。ここでの相場を見ておけば地方による違いも分かるだろうし。買い占めにならない程度に多く買って行く。大体の相場の目安で覚えとこ。

直ぐ食べれる屋台も色々あったから、買える分買い溜めしておく。 疲れたら作りたく無いもん。 清羅さんと顔を見合わせて二ヒヒと笑い合う。


食材の買い溜めをしたら、後はぶらつく。ほんと色々あるね。 織物やコップ、フォーク、スプーン等のカトラリー、雑貨系。バッグや、洋服、防具や、武器なんかも有る。あと、私達にとっては珍しい所で、魔道具。 蚤の市的な感じだ。

そこで、魔道具屋さん?可愛らしい感じのおばあちゃんでアクセサリーにして売っているお店があった。イヤーカフとネックレスで欲しいなぁって思ってたら、

「お嬢さん!」と話しかけている。私の方を向いているけれど、他にも誰かいるかな?いや、私だね。私?と自分を指すと。

「そう、貴女よ、お嬢さん。」と優しくニコニコと笑いかけてくれる。近づいて行く。そんなに顔に出てたかな?


「貴女にコレを」と言って手渡された物は







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