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温かなピンクの石

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私に温かなピンクの石のネックレスとイヤーカフをくれたおばあちゃまは、居なくなっていたけれど、手に残るピンクの石が本当におばあちゃまが居たことを教えてくれる。 
柔らかな光を放ち癒してくれる。対価だと言ってくれていたけれど身に覚えは無い。 でも、優しい人だったから大丈夫かな?皆んなの為でも有るって言ってたし素直にありがたく頂いておこう。

何となく、ホワホワと幸せな気持ちに浸っていたら、他の皆んなもやってきた。
先程の出来事を話すと・・・

「ワシも、むかーし似た様な話を聞いた事が有るけど、月の女神様からの贈り物らしいぞ? 実際に月の女神様に会えるのは滅多に無いらしいがな?」と、ダンガルさんが唸る様に話す。

「私が会ったのは、優しい感じのおばあちゃまだったよ?」

「うん、月の女神様はな?色んなお姿で出て来なさるそうだからなぁ。いずれにせよ、杏里嬢ちゃんが、優しい感じがしたのなら大丈夫だろうよ。嬢ちゃんの・・・ゴニョゴニョゴニョ」と最後はゴニョゴニョと何言ってるか分からなかったダンガルさんだけど・・

まぁ、いっか。
黒鉄も喜んで尻尾振ってたし、良いよね。

改めて、心からのありがとうを呟く。"ふふふっ、また会いましょうね"て微かに聞こえた気がした。何となくヨシとする。

それからも、食材や、何らかの素材になりうる物や色々と見て周り買って行く。
インベントリって、最高だなぁ。市場をガッツリと見て回って皆んな納得の行く買い物が出来たようだ。私も、食材や異世界ならではの魔道具何かを見て回ってホクホクしていた。

おばあちゃまにはもう会えなかっだけれど魔道具の蚤の市的な感じのする一角で三百円均一的な感じに籠に色々入っていた物があって、何だかすごく気になった・・・

薄汚れた感じはしたけれど幾つか気になる物があったから購入しといた。嬉しくてニマニマしてしまう。何だろうね、コレ。

各々が気になる物を購入してニマニマうふふと少し変な人の集まりみたいになりながら親父さんのお店に帰っていると。


「・・・さん。・ンガルさん!」と声が聞こえる。声のした方に振り返ると、昨日の雑貨屋さんの店員さんが居た。

「おおー、お前さんだったか!」と親父さんが相好を崩す。

「はい、この間振りですね。そちらの方々も昨日振りです。私はヨワヒムと言います。昨日は諸々のお買い上げありがとうございました」とニッコリ。

「ガッハハハハ、そうだなこの間振りだな!。昨日は、ウチの店を紹介してくれたんだってな?ありがとうな。ヨワヒムのおかげでこちらの皆さん方と一緒に旅立つ事になったよ。」と笑ってる。

「それは、良かったです。何だか良い方向に転がりそうな気がしたんですよ。安心しましたよ。親父さん。」と、本当に安堵した様な表情を浮かべるヨワヒムさん。
やっぱり思う所もあって紹介してくれたんだなぁ。

私達もそれぞれ自己紹介した後、優さんが
「昨日紹介して頂いて良かったです。最高の武器も防具も手に入りました。それに、最高の旅の仲間もね!」
「「「「ありがとうございます!」」」」
私達も感謝を伝える。


「いやー、本当に良かったですよ。お世話になった親父さん達が明日には王都を出て行くなんて」と哀しげな顔をしながら

「でも、そのおかげで王都から解放されるんだ。本当は良い事、なんですよね。でも、心配で・・工房の物も、急すぎて大して持って行けないだろうから少しでも売れたらなと。
それに、あなた方が旅の準備をされていたからひょっとしてと思いましてね。」と微笑む。

「この後、皆んなで晩飯でも一緒にどうだ?時間あるか?昨日から皆んなウチに泊まってんだ」と親父さんがヨアヒムさんに聞くと
「ええ、大丈夫です。コレから親父さんの所に行こうとしてたんです。私も明日から行商に出ますし、早めにお暇させて頂きますので。」とヨワヒムさん。

「後での確認になっちまって悪いが、今夜はヨワヒムも一緒に良いか?」と少し眉を下げながら聞いてくる。

皆んなで頷きつつ
「勿論ですよ!私達も昨日お世話になりましたし。そのおかげで親父さんにも会えました!一緒に食べましょ?王都では今夜が最後ですもんね。」


という事で今夜はヨワヒムさんも一緒に晩御飯となった。 楽しみだ。






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