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95人の訓練開始

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訓練開始の朝


「あーーー、たりぃな・・・」

「うん、でも強くなんないとね。良い様に使われて終わりなんてヤダヨ。」

「ああ、後誰とパーティー組むかも大事だな。」

「あー、賢者と聖騎士、あたり?」

「ああ、その2人は外せないな。後1人前衛がいても良いな、それと遠距離の飛び道具の奴が居ると安心か?」

「そうすると、6人パーティー?」

「まあな、5人か6人だな・・・杏里が居たら雑用は全部やらせれば良かったんだがな・・あの王女が目の敵にしてたからな」

「ふふん、そうね。便利だったのにね。旅に出たら攻略中のご飯とか色々雑用あるでしょ?面倒くさいよね。」

「ま、それよりも。本当、パーティーメンバーが大事だな。強さも勿論大事だけど・・・あんまり洗脳されたやつは面倒だ。途中で死んだことにして自由に生きようぜ。」

「そんなに上手くいく?」

「いや、難しいかもな。出来れば洗脳されてないやつ。ダメなら、途中で死んだカモフラージュ噛ませるしかねーな。」

「じゃ、早いうちに目星付けてね。」

「ああ、俺ら意外は堕ちるの早いだろ。すげえ、速度で洗脳されていってるな。まだ、召喚されて3日目だ。今日の様子で最悪2人で行動する事も考えねーとな。」


おバカなのに思ったより周りを見ていた2人。どうなる事やら。ちゃらそうでも案外まともな面もあった様だ。他にももっとまともな人が居れば、王女達の力を削ぐ事も可能かもしれない。世界の平和のために


☆       ☆       ☆       ☆       ☆
 

「集まったか。俺は、この国の騎士団長だ。これから訓練を始める。それに当たり其々のギフトに合わせたジョブの所に並んでくれ。支給された装備で大体分かるはずだ!ヨシ、かかれ」


と、騎士団長の言葉から始まった訓練は、平和ボケした日本人には辛いものがあった。現役の高校生ばかりでは無いのだ。元々は50歳だったと言うものも居るのだ。運動なんて離れて何十年と言う者も少なくない。身体は若返りステータスが上がりギフトで身体能力も上がったとは言え急に激しくは動けない。訓練は熾烈だった。 虫の息になりつつ何とかこなしていく者も多く進捗状況は芳しくない。

ともすれば、もう嫌だ、無理だと泣きごとを言う残留組を何とか形にしようと、あの手この手で絡め取り何とかしてきた。
この分では、どれだけの者がダンジョンでレベリング出来るかも不明だ。

イラつき爪を噛む王女。

「本当、使えない勇者ばかりね!どうなってるのよ!!」

と、侍らしている貴族子息達に八つ当たりする。

「少しずつ、形にはなってきています。ソロソロダンジョンに投入してはいかがですか?」

「はあー、そうね、でも死んでしまう者達も出るんじゃ無い?」

「そうですね・・・でも、余りにも能力の無い者達の子が居ても。と声が出て来ております。」

「ふん、そうね。それはそれで仕方ないかしらね。当初の予定だともう近くのダンジョンでのレベリングを終えて、各地のダンジョンでレベルUPしている頃だものね。上手くいってるのは洗脳だけね・・・

本当に、意志の弱い勇者達。操りやすくて良いけど。外れだった様だけど。まあ、居ないよりマシね。次に繋がるのは、何百年も先。コイツらで我慢するしかないわ。」

ため息と共に苦々しげに吐き出す。王女らしからぬ言葉。

「はぁー、ダンジョンでのレベリング明日から始めて。かれこれ1ヶ月経っても大した成長も無いなんてハズレもいい所だわ。」

「御意」


こうして、王城残留組の95人はダンジョンでのレベリングが開始される事になった。どれくらいの勇者達が生き残れるかは分からない。 ある程度の所で残った勇者達を旅に出してそこそこ強くなったら帰って来させる予定である。対人間の国。対魔族・・・モンスターの討伐。と使い方は沢山ある。便利な駒は多いに越したことは無いが弱い者は必要ない。


その上でこの計画には、洗脳されている事が大前提だった。訓練が終わった後、便利に使うためには言う事を聞かない強者は必要無いのだから。




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