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アラーナの領主

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昨日はゼイル商会系列のお宿に、お礼にとゼイルさんが招待してくださりとっても寛ぐ事が出来た。

昔召喚された日本人の影響か、良く整えられた日本の昔からの旅館と言うイメージのあるお宿だった。寝床も畳風の床にお布団。廊下や屋根、お部屋の造りも日本風。お庭も京都みたいな雰囲気の坪庭だ。良いわー
純和風って感じも良いね。

黒鉄も一緒に寝る事が出来たのでほんと嬉しかったー。起きてからお布団も部屋もちゃんとクリーンしたから汚れや臭いも大丈夫だと思う。大事よね臭い。動物の匂いに敏感な人もいるからね。


大満足の一晩を過ごし、今日はアラーナの領主様にお会いする日だ。何だか緊張する。優さんも緊張してるみたい。他の皆んなも緊張してる。親父さんは手と足と同時に出ている。ふふふ。
何だか緊張してるのも皆んな一緒だと思ったら解れてきた。
そうこうしていたらゼイルさんが馬車で迎えに来てくれた。

3台の馬車を手配してくれていたけれど、私達の馬車なら全員乗れる。て事でゼイルさんとお付きの人達も一緒に私達の馬車に乗って貰いいざ出発!

アラーナ領主様に手土産を、と思ったけれど何を献上?したら良いか迷った末ブランデーの年代物と苺大福とマカロン、そしてチョコレートの詰め合わせにした。実は、私が食べたかった物だ。

街を見ながら、ゼイルさんと今後の事、の前に今迄王家がアラーナ領主に対して行って来た非道の数々を聞かせてくれた。聞いているうちに本当、滅びれば良いのにって殺意が湧いてしまった。搾取するだけ搾取したらポイが基本らしい。

今迄は、代々の国王、王家の善政があり栄えて来たこの国。現在の国王、次代の王家は何の期待も出来ない。征服する事に重きを置き私欲の為にしか動かない。横暴の限りを尽くす者達だ。本当にさっさと追放されて良かった。



なんて話していたら、領主館に着いた。
ゼイルさんが、取り次ぎをお願いし、馬車を預けた後、玄関へと通される。めっちゃ、格式あるエントランスって感じでドキドキして映画の中に迷い込んだ錯覚を覚えた。ソレを言うと、ずっと迷い込んでいる様なもんだけれどもね・・。

そこには、美しいけれどもやつれている30代だろう男性が立って待っていてくれた。ハニーブロンドに、美しい翡翠の瞳。うわー、映画みたい。更に思ってしまった。側には、グレーの美しい髪に濃いグレーの瞳の美丈夫。恐らく執事だろうなって言う服装だ。 が、が、眼福~。

いかん、いかんポケッとしてしまった。優さんをチラリと見てみると、笑いを噛み殺していた。
其々が挨拶をして、話し始めるとアラーナ領主様、公爵様ね。が何やら少し待ってと合図した後、

「コレで、何でも話して大丈夫です。この館には現在王家からのスパイが多くいます。なのでコチラの防音の魔道具を使わせて頂きますね。」と執事さん。

「悪いね。そんな中来て貰って。ゼイルに話しを聞いて是非とも会ってみたいと思っていたんだ。」とアラーナ公爵様

「こちらこそ、お会い出来て大変光栄です。」優さんから話してもらう。

「早速だけど、君達にはゼイルから話がいっていると思うけれど、うちはかなり差し迫っているんだ。実は、数日中にでも私に死刑が宣告されると言う情報があってね。理由は色々な罪を捏造して証拠もある。偽のね・・・私が予想以上に頑張ってしまったせいで、もう、要らない駒は排除すると決めたらしくてね。」と哀しげな公爵様。

「この国にはもう、まともな者は残って居ないんだ。領内に居た間者以外のまともな者達は粗方国外に向けて出発させた。後は、身軽に移動出来る者達と最後まで手伝ってくれている者達だけだ。

そう、ゼイルの様にね・・・」

「私達にそんな話をして良かったのですか?重要な機密事項ですよね?」とガントさん。

「ああ、君は。確か王城の厩務員だったね。王女に嫌われてしまい追放された。」

「そんな事を知っていらっしゃるんですか?!?」驚くガントさん

「知ってるよ。国王や王女に不敬をかった者はまともな者だ。いつだって情報を仕入れている。その繋がりもあり君たちの事は最初の方から把握していた。オークの集落を壊滅させた事もね。

空間魔法の使い手が居る、と言う事もね」

と、全てを見透かす瞳を向けてくるアラーナ公爵様。


気づかなかったー








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お読みくださりありがとうございます。再開迷って居ましたが、また進めたいと思います。良ければお付き合いくださいませღ      



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