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2人の手を引きルームに隠れてほんの少し・・・荒々しい男達が私達が先程まで居た辺りに辿り着いていた。間一髪だった。

「くそっ!この辺りから声が聞こえた気がしたんだがな。オイ、そっち居たか?」

「いや、いねえ!どこ行きやがった、あのクソガキめ。片っぽはまだチビだ遠くまで行ける筈がねえ、探せ、探せ!捕まえて早く首輪ハメちまえ。」

「肉付き良くして高く売り飛ばすぞ!久しぶりの狼獣人だ、気合い入れて探せえー!」



「「・・・・・」」ガタガタと震える女の子。抱きしめながら静かに絶望する少年

「助けてくれる人はいる?」聞いてみて何言ってるんだろ・・・と思ったけれど私も焦っているのかも。

首を横に振り「多分居ない。」と掠れた声で答えた少年。どこから来たのか聞いてみると、王都の外れの方の孤児院に居たが、予算がないから稼いで来いと、稼ぎのノルマを達成するまでは帰って来るなと出されたらしい。いつもちゃんとした食事は無く、特に獣人である彼らは食べ物を減らされていたそうだ。ノルマも他の子供達よりも多く課せられており野宿することもザラにあるとの事。それでも、毎日でなくとも寒い日に屋根と壁があるだけでも・・少しの食べ物があるだけでも良いらしい。

胸が詰まる話だ。私は毎日屋敷内で眠れただけ幸せだった様だ。

今回、冒険者ギルドのクエストで薬草採取とゴブリンの討伐を受けてゴブリン討伐の為少し森の中に入っていたところ先ほどの賊に見つかり捕まりかけたが何とか逃げ出した所に私と出会ったそうだ。

「あなた達、私と一緒に来る?・・・ここは、私のスキルのルームって部屋なの。隠れたり住む事は出来るけれど私が外に出て移動しないとさっきの森の中から移動する事は出来ないの。でもあの男たちが居なくなったら様子見ながら出て戻ろう?」と聞くと

「良いのか、俺たち獣人だぞ?」と聞いて来た。そんな、獣人何て・・・ウェルカームだ。むしろ喜びでしかない。そんなダメダメな孤児院なんて帰らなくて良い、ずっと一緒にいてくれても良い。黙り込んだ私に、獣人が嫌なのかと思ったのか俯き唇を噛んだ。きっと兄妹なんだろうけれど不安そうに兄?を見上げる女の子

「良いに決まってる!孤児院なんて戻らないでずっっと私と一緒に居ればいい。一緒に行こ?」と伝えると迷っている様だけれど、どの道一緒だとでも思ったのか妹に

「どうする?一緒に行っても良いか?」と聞くと妹さんは犬耳と思っていた狼耳を伏せ、尻尾を少しだけゆらゆらとさせて
「お兄ちゃんと一緒なら行く。」とか細い声で答えた。

妹さんの目線に合わせ「もちろんお兄ちゃんと一緒だよ。私もお世話になっている身だけどもしも、その人達がダメと言ってもこのルームの中に居れるし、ダメなんて言われないから安心してね。」と伝えるとまだ不安そうながらも頷いてくれた。

「厚かましいけれど、ごめん。よろしくお願いします。」とお兄ちゃん、も言ってくれた。

「じゃ、あの男達がもう少し遠くに行くまで何か食べてよう。」と言うと首を傾げる2人を他所に、今までのテーブルが少し小さかったからお買い物で大きめのテーブルとイスを購入。インベントリからお鍋、お皿、スプーンを取り出しスープを注ぐ。

「さっ、食べよう。」と笑いかけるとびっくりしながらもテーブルに着き、おずおずと食べ始めた。食べ始めるとあっという間に完食してしまった2人、このスープは身体が弱っていた時の私用にリオンさんが作ってくれていた物。 だから、お代わりしてもらっても大丈夫なはずだ。て事でお代わりしてもらい、卵粥も出してみた。

「妹さんは眠くなったらベッドもあるから寝てて良いからね。お兄ちゃんの方は申し訳ないけれど私と一緒に王都内まで戻って欲しいの。実は、道に迷ってしまって・・・大通りまで出たら私1人でも大丈夫なんだけど、ごめんね。」

「いや、俺も一緒に王都まで戻るよ。助けてもらった上にそこまで甘える訳には行かないよ。それにクエストの報告もしたいんだ。ゴブリンだけは先にクエスト受けて来たから。薬草は常設依頼で達成後の報告受注予定だったから大丈夫なんだけどゴブリンの分だけは報告しないといけないんだ。」と言ってくれたから船を漕ぎ始めた妹さんに目が覚めてお兄ちゃんがいなくても心配しないようにと伝えておく。 



暫く寝顔を見守ってから外の様子を伺い静かな事を確認して外に出る。それから用心しながら王都内に向けて2人歩き出した




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