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これからの事も方針が決まり大オーク達はこれくらい大きなルームならば当分外に出ずとも問題ないと言ってくれた。今では前世の某ドーム1、5個分程の広さへと拡大しており森を少し再現し洞窟に樹々にとかなり自然を備える事も出来る。
大オーク達は人間仕様の‘’‘家‘’‘で構わないと言ってくれた。今まで転々と住居らしきものは諦めていたからと穏やかな笑みを見せる。こんな大オーク達と知り合えて嬉しい。変な人間より信頼出来る。

森を再現したルーム内に大オークの身体のサイズに合わせ、緑に囲まれたコテージを想像し造ってみた。うん、私が住みたい!と思える家になった。樹木の合間から見える木造住宅。お風呂も屋内と露天とある。共有スペースと家族単位のスペースがある。所謂シェアハウスの家族版。防音もバッチリ、安全は言わずもがなだ、オーク達も気に入ってくれた様だ。
タブレットの使い方を教えて必要な物は遠慮せず揃えるように伝えて、私達は王都へと戻った。道すがら遭遇し襲って来たモンスターを狩りつつ進む。結構な数のオークと戦ったからか案外スムーズに戦闘が出来た。怪我も無く、無駄に苦しめる事もせずに済んだ。おかげで素材も綺麗だ。所々で貴重な薬草や魔力草、ハーブなどの諸々の植物を発見しここにしか無いものもある為ルームで栽培する事になった。擬似太陽もあり昼夜、時間の流れは外と連動している。子供達が外に出ずとも日光不足にならない様にね。


そんなこんなで王都内のギルドに到着し報告と買い取りをして貰った。今回オークをかなり納めたからかなりの報酬になりホクホクだ。イッシッシ
 
「おう、中々なもんだなお前たち。これからどんどん成長するな。」と暖かい目で私たちを見ながら頭を順に撫でる。嬉しいけど恥ずかしいよ、と思っていたら。

「そういや、お前たちにまだ言って無かったけどな・・・俺は今週中にはここのギルド辞めて隣国に行くんだ。だから成長を見守れなくて残念だ。」と少し切なそうな視線をくれたけれど

「あ、そうなんですか?・・・実は私達も来週には隣国へ向けて旅立つんです。」

と伝えると

「そうなのか・・奇遇だな、もしまた会ったらよろしくな。一旦冒険者に戻るんでな」

とニカリとイケオジスマイルを向けて来る。アランさんみたいな人だと頼り甲斐もあって一緒に旅出来れば安心なんだろうなと思っていたら

「会ったら、冒険者として色々話聞かせて下さい!」とレオンがキラキラとした瞳を向けている。分かるー、同じ気持ちだよ

「俺も、俺もお願いします!」とブランが珍しく興奮して食いついている。
「私も一緒に是非、お願いします!」と言うと

「おう、俺とあと3人仲間がいてなそいつらも一緒だ。きっとまた合う気がするから楽しみにしてるな。」と爽やかスマイルで言ってくれた。

また会えると嬉しいな。きっと会えると思う。

そんな会話をしてギルドを後にした。こうして【家】に着いてマーサ様達に今回のクエストの報告をして大オークの皆んなの事報告するかどうしようか迷っていたらマーサ様の方から

「まだ何か聞いてない事がありそうね?」と、圧を感じた・・・コワイ


て事で全てを伝えると・・・
「なるほどね・・・ユウリも色々と楽しそうね。」とニッコリ微笑んでいるけれどコワイ。でもすっと表情を変えると穏やかに微笑み

「ユウリ、あなたを信じているわ。
これから失敗もするだろうけれど沢山の経験を積んでいけば良いわ。大概の事は私たちが何とか出来る。ただ、人として恥ずべき事はしないでね。今回の事は恥ずべき事には当たらないわ、大丈夫。私達5人も色々やってきたし、正直人間以外のお友達もいるの。人かそうでないかでは無く真に信頼出来るかどうかの目を養いなさい。

大オークの皆んな、新しい‘’‘家族‘’‘に会わせて頂戴。」と今度は穏やかな笑顔を見せてくれた。






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