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不思議なお話NO3 ちょっと感動的な不思議な出会い
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さて、僕の9歳年下の弟の話をしましょう。僕が結婚して家から独立した頃、弟はまだ高校生でした。僕は独立したとはいえ同じ街のアパートに居を構え、そこから実家まで車で10分の距離でしたから、しょっちゅう実家とは行き来していたし、弟と街でばったりと会うこともありました。
ある頃から、弟がガールフレンドと二人で歩いている姿をしばしば見かけるようになりました。かわいらしい小柄の女性でした。弟は身長が180センチ近くありましたので、二人の様子は僕の好きだった漫画「小さな恋の物語」を彷彿とさせ、妙にほほえましく映ったものです。
いつの頃からか、そんな二人を見かけなくなり、弟が大学の頃には別れてしまっていたようなのですが、ふと懐かしくなって弟に彼女のことを聞いたのです。弟は一瞬「うーん」とうなって、話すべきか迷ったようですが、「実は・・・」と口を開きました。
その時、初めて彼女との衝撃的な過去、「小さな恋の物語」どころではない、とんでもない話を聞くことになりました。
その彼女が二人の男に強姦されたと言うのです。今でこそ住宅街に変貌しているその地が、当時麦畑の中にちらほら住宅が見える程度で、ぽつんぽつんと立ち並ぶ街灯の灯りも、その真ん中あたりは暗闇だった頃のことです。
高校の部活の帰り、工場の塀と麦畑に挟まれた道を歩いていた時、彼女は後ろからきたワンボックスカーに引きずり込まれてしまいました。一人の男が彼女を押さえ込みドアを閉めると、もう一人は車のアクセルを踏み込みました。
泣きわめき必死で抵抗しましたが、小柄の彼女にはどうにもならなかったそうです。彼らはしばらく行って、灯りの全く届かない場所へ車を急停車させました。そして彼女は二人の男に陵辱されたのです。
彼女は警察に届けませんでした。両親もそのように勧めたそうです。病気と称してしばらく学校を休み、弟が電話すると、体調を崩し家で休養していると言い、こっちから電話すると言ったきり、電話も通じなくなったといいます。
弟は心配になって彼女の家を訪ねました。最初に出てきたのは母親です。彼女とは何度も顔をあわせており、体調を崩したというのでお見舞いにきたと告げました。母親の戸惑った表情に、弟は異様なものを感じたと言います。そして、二人の声を聞きつけ彼女が出てきました。ぽっちゃりとした頬はこけ憔悴しきっていました。
二人は公園に続く麦畑の道を無言で歩きました。公園のベンチに腰掛け、弟は何があったのかと問いつめました。そして、嗚咽とともに彼女が語り出した出来事に、弟は思わず絶句したのです。(お兄ちゃん、俺はその頃、彼女と手しか握ったことなかったんだぜ、と弟が言ってました。おっと、これは余計なことか)
弟は、彼女の言った一言で復讐を決意しました。その一言とは、一瞬、対向車のヘッドライトに照らされた男の顔に見覚えがあり、その男を何度か駅で見かけたというのです。弟はその男を警察に訴えるよう彼女を説得しました。二人で駅に張り込み、男を見つけたら、弟がそいつを取り押さえる手はずになったのです。
もう一人仲間が加わりました。僕もよく知っている今は亡き池田君です。小学校時代から家によく遊びに来ていた悪ガキです。退学も辞さないという決意を、遊びに来た池田君に披露したところ、俺も加わると言い出したそうです。
翌日から三人そろって駅での張り込みが始まりました。改札口付近で目を光らせて、通り過ぎる人々を一人一人チャックしたのです。立ちっぱなしで疲れると彼女は座り込むのですが、男二人は立ったままです。不思議に思って座るよう促しても、えへへへと二人顔を見合わせて笑うだけでした。
実は、二人の背中には木刀を半分に切った小刀が差してありました。しゃがむと学生服ですから変に出っ張ってしまいます。弟が退学も辞さずと言ったのは、犯人をめった打ちにしようと思っていたからなのです。やはり相当悔しかったのでしょう。
「それで、どうした?」
と僕が聞くと、弟が答えました。
「結局、10日ほど張ったけど、犯人は現れなかったんだ。彼女がもう諦めましょうって言うし、僕らも疲れ果てていたし、そうしようかってことになって・・・」
「それで、彼女とは?」
「僕の方は大学受験とか浪人生活とかあったし、彼女は高校卒業すると就職したし、何となく疎遠になって終わっちゃった」
「それで終わり?」
「いや、まだ続きがあるんだ。思いもかけない偶然の出会いがね・・・」
思いもかけない偶然の出会いは、弟が社会人になってからのことですから、その事件から8、9年経った頃のことです。弟は夏休みを利用して池田君とバイクの旅をしていました。その旅先、九州は長崎の駅で、ばったりとその彼女と再会したのです。
彼女は新婚旅行でたまたま九州に来ていました。旦那と二人で長崎駅へ向かって歩いていたのです。その脇をマウンテンバイクに乗った二人の男が、彼女と旦那を追い越してゆきました。そのバイクは埼玉ナンバーでしたから、気になって目で追っていたのです。駅前でバイクは止まり、男達が降り立ちます。
彼らは、ベンチに座りメットを外しました。その時、彼女は信じられない出会いに我が目を疑ったのです。一人はかつての恋人であり、もう一人はその友人だったのです。涙のにじむ目に二人が立ち上がる姿が浮かびました。何も見えなくなって涙をぬぐいました。二人が屈託のない笑顔を向けて近づいてくるのでした。
この話、すごいと思いませんか?縁ってすごい力を持っていると思いませんか?本当にこれって偶然なのでしょうか?
ある頃から、弟がガールフレンドと二人で歩いている姿をしばしば見かけるようになりました。かわいらしい小柄の女性でした。弟は身長が180センチ近くありましたので、二人の様子は僕の好きだった漫画「小さな恋の物語」を彷彿とさせ、妙にほほえましく映ったものです。
いつの頃からか、そんな二人を見かけなくなり、弟が大学の頃には別れてしまっていたようなのですが、ふと懐かしくなって弟に彼女のことを聞いたのです。弟は一瞬「うーん」とうなって、話すべきか迷ったようですが、「実は・・・」と口を開きました。
その時、初めて彼女との衝撃的な過去、「小さな恋の物語」どころではない、とんでもない話を聞くことになりました。
その彼女が二人の男に強姦されたと言うのです。今でこそ住宅街に変貌しているその地が、当時麦畑の中にちらほら住宅が見える程度で、ぽつんぽつんと立ち並ぶ街灯の灯りも、その真ん中あたりは暗闇だった頃のことです。
高校の部活の帰り、工場の塀と麦畑に挟まれた道を歩いていた時、彼女は後ろからきたワンボックスカーに引きずり込まれてしまいました。一人の男が彼女を押さえ込みドアを閉めると、もう一人は車のアクセルを踏み込みました。
泣きわめき必死で抵抗しましたが、小柄の彼女にはどうにもならなかったそうです。彼らはしばらく行って、灯りの全く届かない場所へ車を急停車させました。そして彼女は二人の男に陵辱されたのです。
彼女は警察に届けませんでした。両親もそのように勧めたそうです。病気と称してしばらく学校を休み、弟が電話すると、体調を崩し家で休養していると言い、こっちから電話すると言ったきり、電話も通じなくなったといいます。
弟は心配になって彼女の家を訪ねました。最初に出てきたのは母親です。彼女とは何度も顔をあわせており、体調を崩したというのでお見舞いにきたと告げました。母親の戸惑った表情に、弟は異様なものを感じたと言います。そして、二人の声を聞きつけ彼女が出てきました。ぽっちゃりとした頬はこけ憔悴しきっていました。
二人は公園に続く麦畑の道を無言で歩きました。公園のベンチに腰掛け、弟は何があったのかと問いつめました。そして、嗚咽とともに彼女が語り出した出来事に、弟は思わず絶句したのです。(お兄ちゃん、俺はその頃、彼女と手しか握ったことなかったんだぜ、と弟が言ってました。おっと、これは余計なことか)
弟は、彼女の言った一言で復讐を決意しました。その一言とは、一瞬、対向車のヘッドライトに照らされた男の顔に見覚えがあり、その男を何度か駅で見かけたというのです。弟はその男を警察に訴えるよう彼女を説得しました。二人で駅に張り込み、男を見つけたら、弟がそいつを取り押さえる手はずになったのです。
もう一人仲間が加わりました。僕もよく知っている今は亡き池田君です。小学校時代から家によく遊びに来ていた悪ガキです。退学も辞さないという決意を、遊びに来た池田君に披露したところ、俺も加わると言い出したそうです。
翌日から三人そろって駅での張り込みが始まりました。改札口付近で目を光らせて、通り過ぎる人々を一人一人チャックしたのです。立ちっぱなしで疲れると彼女は座り込むのですが、男二人は立ったままです。不思議に思って座るよう促しても、えへへへと二人顔を見合わせて笑うだけでした。
実は、二人の背中には木刀を半分に切った小刀が差してありました。しゃがむと学生服ですから変に出っ張ってしまいます。弟が退学も辞さずと言ったのは、犯人をめった打ちにしようと思っていたからなのです。やはり相当悔しかったのでしょう。
「それで、どうした?」
と僕が聞くと、弟が答えました。
「結局、10日ほど張ったけど、犯人は現れなかったんだ。彼女がもう諦めましょうって言うし、僕らも疲れ果てていたし、そうしようかってことになって・・・」
「それで、彼女とは?」
「僕の方は大学受験とか浪人生活とかあったし、彼女は高校卒業すると就職したし、何となく疎遠になって終わっちゃった」
「それで終わり?」
「いや、まだ続きがあるんだ。思いもかけない偶然の出会いがね・・・」
思いもかけない偶然の出会いは、弟が社会人になってからのことですから、その事件から8、9年経った頃のことです。弟は夏休みを利用して池田君とバイクの旅をしていました。その旅先、九州は長崎の駅で、ばったりとその彼女と再会したのです。
彼女は新婚旅行でたまたま九州に来ていました。旦那と二人で長崎駅へ向かって歩いていたのです。その脇をマウンテンバイクに乗った二人の男が、彼女と旦那を追い越してゆきました。そのバイクは埼玉ナンバーでしたから、気になって目で追っていたのです。駅前でバイクは止まり、男達が降り立ちます。
彼らは、ベンチに座りメットを外しました。その時、彼女は信じられない出会いに我が目を疑ったのです。一人はかつての恋人であり、もう一人はその友人だったのです。涙のにじむ目に二人が立ち上がる姿が浮かびました。何も見えなくなって涙をぬぐいました。二人が屈託のない笑顔を向けて近づいてくるのでした。
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