Murder Mystery VR ~SF電脳空間でミステリー体験? VRの世界へようこそ~

冴季栄瑠

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10.アリバイ検証(1)

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 全員が、三階の事件現場から、一階の食堂へと場を移した。
 それと同時に、マーリンさんに頼んでコントロールルームを閉鎖してもらう。運航はオートで進むから、船長不在でも問題はないらしい。その点は安心だ。

 船内で殺人事件が起こったことについて、マーリンさんから船が向かっている先の惑星の管理本部に通信を入れてもらったが、宇宙嵐のためにギャラクシーポリスが出動できず、嵐が開けたらこちらに船を飛ばしてくれるらしいが、到着まで時間がかかるとのこと。

「――という事情で、このまま航行は続けさせてもらうわ。不安でしょうがごめんなさいね。でも殺人事件なんて、本当にこの船で起こったことなの……? 信じたくはないけれど……みんな、自分の身は自分で守りながら過ごしましょうね」

 申し訳なさそうなマーリンさんに見守られながら、話し合いはここからだ。
 全員、役になりきってはいるが、これは「マーダーミステリー」。早速、全員のアリバイ確認に取り掛かることにした。
 ヒカルがそう急かしたこともあるが、基本的なことを確認しておきたいのは皆も同じだ。攻撃は最大の防御ということだろう。

(ゲームとはいえ、殺人犯がいるっていう状況で、のんびり船旅なんてできないな……)

 まずは基本的な状況確認から、情報を寄せあい、整理する。

 緊急アラームが鳴ったころに、犯行が行われたと仮定して――。
 アラームを押したのが被害者とは限らないが、緊急ボタンは物理的に指で押す装置で、タイマー機能などはなさそうだった。工作したような不審な点もないことから、アラームが鳴ったとき、その場に犯人か被害者どちらか、または両者がいたと思って間違いないだろう。

 アラームが鳴った前後の乗客たちの行動は、まとめると以下のとおりだ。

【尾の通路に部屋がある乗客】※並びは、ロビー側に近い方から。
・ライ(俺)は、船内探索のあと、部屋で横になっていた。
・エレノアは、船内探索のあと、部屋で情報を整理していた。
・ヒカルは、船内探索のあと、部屋で情報を整理していた。

【左翼の通路に部屋がある乗客】
・宇佐美は、船内探索のあと、部屋に戻ろうと二階ロビーを通りかかったところだった。
・あーちゃんは、船内探索中で二階の展望ラウンジにいて、ソファに座ってみたら気持ちがよくなり、眠りこけていた。

【右翼の通路に部屋がある乗客】
・夢人は、船内探索中で、一階のアクティビティフロアにいた。
・黒須は、右翼最奥にある自分の部屋にいた。(多くは語らず)

 そこまで聞き出して、ヒカルが得意げに言った。
「アリバイが確定したのは、緊急アラームが鳴ったときに、二階の廊下で合流した僕とエレノアさんのふたりだな」
「おい、俺もいるだろうが。まったく……」

 素早く訂正すると、エレノアも頷いて、意見を承認してくれた。
「ライさん、ヒカルさんと廊下でお会いしましたね」

「え~? 尾っぽ側の通路に部屋がある乗客は、たまたま犯行時に全員部屋に戻っていて、全員廊下で顔を合わせたってこと? ……なんかズルくな~い?」

 あーちゃんが頬を膨らませたが、別に我々三人は知り合いではないし、示し合わせたわけもなく、本当に偶然だ。アラームが鳴ったら廊下に出るのは当然の行動だし……。

「あの……私、二階を探索しているときに、あーちゃんさんがラウンジで眠っている姿を見たわよ」
 宇佐美がそう証言し、あーちゃんが目を輝かせる。
「本当? やった、私もアリバイ成立? 宇佐美さんありがと!」

 いや、それで宇佐美とあーちゃんのアリバイが成立するかというと、微妙なところだ。宇佐美が、あーちゃんが同じ階にいたという証言を聞いて、口裏を合わせただけかもしれないし……。

 ――と思ったが、口にせずにいると、すかさずヒカルが同じ考えの意見を容赦なく吐いて、あーちゃんは再びむくれていた。
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