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魔女
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「教会、過ぎたわよ…気味が悪いのよ、そのおかしな視線と態度。そろそろやめてくれないかしら?ほら見て!!鳥肌すんごいの!!!」
「へっ?」
黒のタイトなドレスには細かなラメが散りばめられ、光が当たる度にキラキラと輝く。ツバの広い帽子から濃紺色の艶やかな長い髪の束が落ちると白く細い指がその束を掬い、耳にかけられた。その仕草がまるで美術館に飾られた一枚の絵画のようで、喉を鳴らすほどに見惚れてしまう。
シリウスの屋敷から出て、女性が用意していた馬車へ乗りこむと真っ先に女性へ謝罪と感謝の気持ちを言葉にした。だが、それに女性が答えることは無く、馬の足音だけが響く
どれくらい、そうしていたのだろうか…気まずさと不安でたまにチラチラと顔色を伺えば、最終的に横目でキッと睨まれてしまい俯いていることしかできなかった
畑や民家が並ぶ町中を通り過ぎ、ようやく森の舗道を抜けた時、女性は大きな溜め息をついて、ヨルアの眼前に白く細い腕の鳥肌を見せつけたのだった。
「ヒィッ…すみませんっ、綺麗な、お肌ですね」
「ふふっ、そうでしょう?今、新薬を試してるのだけど結構順調なのよね……じゃなくって!本当に…頭でも打ったわけ?もしかしてっ…ウォード卿が拷問を…?」
青ざめ、驚愕していてもなお美しい顔面が悲しみに伏せられるも、何事も無かったかのようにすぐにこちらへと向けられた。
「だけど…あんたのあの気持ちの悪い演技のお陰でどうにかなったわね…あっ、でも貸しは貸しよ?こっちは徹夜で偽の書類を作り上げたんだからっ」
閉じた扇子を持ったままの手を顎に置き、頬をふくらませた美女がこちらを睨む
世の男性がこの顔を見たならば、機嫌を取るためだけにこの世の全ての金銀財宝が女性の足元に転がってきそうだ
「すみません…お手数をかけてしまって」
「だぁーかぁーらぁ!…はぁ、どういうこと?調子狂うのだけど」
「あはは…記憶が曖昧なのは本当なんですよね、あっ!シリウスさんには拷問なんてされてませんし、あなたの事も何も喋ってません、というか何も思い出せませんし…」
「……ふぅーん?」
女性はそれでも怪訝そうな表情を崩さずにこちらを見ていたが、やがて小さくため息を吐き、諦めたかのように首を振った。
「はぁ…まぁ、いいわ。おちょくってるのか何なのかしらないけれど乗ってあげる」
どうやら信じてはくれなかったようだが、これ以上詰められることもなさそうだ。女性は指を鳴らすといつの間にか手にしていた試験管のような蓋の着いた小瓶をヨルアの前へと差し出した。
「さっそく借りを返して」
「え?」
「血よ、血」
「え、お姉さんも吸血鬼なんですか?」
「はぁ?からかうのもいい加減にしてっ!!これの!どこが!!吸血鬼に見えるっていうの???」
女性はその怪しげに輝く紫色の瞳を指さしながら詰め寄ってくる。その瞳を覗けば、薔薇の模様が浮き上がってくるのが見える。だがそれは一瞬で、女性の瞬きひとつで消えてしまった。
「薔薇が…」
「ええ、そうでしょ!!ちゃーんと魔女の刻印が見えたでしょ?それに…私よりも長生きしてる貴女にお姉さんなんて言われたくないのだけど…ハッ…老けたって言いたいわけ…?」
「魔女…いえいえ、そんな…お姉さんはとても綺麗ですよ、本当に…あっ!!!ってことは帝国1の魔女って!!!」
「ふふふふ…やぁっと認めたわね!そうよ、私が帝国1の魔女、レーレイ様よ!」
「レーレイ」
どこかで聞いたことのある名前だ。その名前を言葉に出して記憶を探る。
レーレイ…れーれい…あっ
〝薔薇の香りに包まれた公爵家の庭園に人々の談笑する声が響く中、ヨルアは周りの目を気にすることなく不機嫌な顔で立ち尽くしていた。おまけにこの庭園がまるで堆肥置き場か、とでもいうように鼻をおさえている
「どうして私まで…」
「まぁまぁ、俺が勇者だと言われても結局は平民だしさ!こんな大貴族のお願いは断れないわけよ…心細い俺を助けると思ってさ、ね?お願い」
「「吸血鬼」の私を虫除け替わりにしたいってことね」
「虫はないだろ?ほらっ、あんなに可愛らしい女性達に囲まれると俺も萎縮しちゃうんだって、挨拶したらすぐに帰るからさ」
「……勝手にすれば」
不機嫌さを露わに言葉を吐けば、ちょうど公爵が娘を伴って屋敷から現れる。
そっと離れながら、通りすがった侍従からシャンパンの入ったグラスを奪い、それを一気に呷る。そしてまた新しいグラスを手に取った。
薔薇園から遠ざかるようにカエデの木の下で涼んでいると、ツバの広い帽子を被った女性がヨルアの前で立ち止まる。
「気味が悪い」
女性は確かにハッキリとそう言った。
この庭園には黄色やピンクなど春のような暖かい色合いのドレスを着た令嬢ばかりの中、女性だけは夜会のような、喪服のような濃紺のドレスを着ていたために入場する時からとても目立っていた
「はっ、あんたに言われたくないわね」
「あらあら、まあまあ、勇者の前ではしおらしくしちゃって…きゃっ」
手の中にあったグラスを感情のまま目の前の女の顔面へと放った
「…奴隷に慰めてもらって、人間どもにもチヤホヤされて…いいご身分ね」
「な゛っ…なんですって…」
「レレイ様になんてことを」「これだから吸血鬼は」「マグノリア子爵様はお優しい方なのに…」「見て…あの恐ろしい顔…」
「ヨルア…何があったの?」
軽蔑、畏怖、嘲笑。様々な視線に耐えられず俯いていると、それを遮るかのようにスカイの声が間近に聞こえた
「とりあえず落ち着いて…俺はヨルアを信じるから」
言葉一つで肩から力が抜ける、あの女の言った言葉はあながち間違っていないのかもしれない。それでも本当に認めたくなかった
レレイ・マグノリア
ある意味、このパーティを開くことになった人物
皇女護衛にて偶然起きた森林火災と湖の汚染はあの女が引き起こしたことだ。オモテでは魔力溜りが原因だと言う話で終わっているが、眷属達の目は欺けない。あの女が連れていた子供に大量の魔力を放出させたことで木々に火が付き、近くにあった湖もその魔力で汚染された。おまけに奴隷市場で複数の子供を連れ帰っている、という噂まで聞く
それでも人間たちの目には今も民に優しい慈善家と持て囃されている。何が違うというのだろうか、私は吸血鬼というだけで怒りを露わにすることも許されないのか、なぜ吸血鬼というだけで絶対悪とされるのか…お前たちの所業は全て善とされ、自分たちの認めない異物は全て悪だと言いたいのか
やっぱり…人間は嫌いだ。こんな感情も…〟
そうだ…この後、ヨルアが拗らせてスカイとすれ違うのがどうしようもなく焦れったくてモダモダしたんだよなぁ…じゃなくて!!!!!
「悪女のレレイ・マグノリア?」
「…なんですって?」
「あ」
やばいやばいやばい、これ絶対本人だ
────────
良い区切りが見つからず、長くなってしまいましたm(_ _)m
読んでいただきありがとうございます。お気に入り、とても励みになります。
「へっ?」
黒のタイトなドレスには細かなラメが散りばめられ、光が当たる度にキラキラと輝く。ツバの広い帽子から濃紺色の艶やかな長い髪の束が落ちると白く細い指がその束を掬い、耳にかけられた。その仕草がまるで美術館に飾られた一枚の絵画のようで、喉を鳴らすほどに見惚れてしまう。
シリウスの屋敷から出て、女性が用意していた馬車へ乗りこむと真っ先に女性へ謝罪と感謝の気持ちを言葉にした。だが、それに女性が答えることは無く、馬の足音だけが響く
どれくらい、そうしていたのだろうか…気まずさと不安でたまにチラチラと顔色を伺えば、最終的に横目でキッと睨まれてしまい俯いていることしかできなかった
畑や民家が並ぶ町中を通り過ぎ、ようやく森の舗道を抜けた時、女性は大きな溜め息をついて、ヨルアの眼前に白く細い腕の鳥肌を見せつけたのだった。
「ヒィッ…すみませんっ、綺麗な、お肌ですね」
「ふふっ、そうでしょう?今、新薬を試してるのだけど結構順調なのよね……じゃなくって!本当に…頭でも打ったわけ?もしかしてっ…ウォード卿が拷問を…?」
青ざめ、驚愕していてもなお美しい顔面が悲しみに伏せられるも、何事も無かったかのようにすぐにこちらへと向けられた。
「だけど…あんたのあの気持ちの悪い演技のお陰でどうにかなったわね…あっ、でも貸しは貸しよ?こっちは徹夜で偽の書類を作り上げたんだからっ」
閉じた扇子を持ったままの手を顎に置き、頬をふくらませた美女がこちらを睨む
世の男性がこの顔を見たならば、機嫌を取るためだけにこの世の全ての金銀財宝が女性の足元に転がってきそうだ
「すみません…お手数をかけてしまって」
「だぁーかぁーらぁ!…はぁ、どういうこと?調子狂うのだけど」
「あはは…記憶が曖昧なのは本当なんですよね、あっ!シリウスさんには拷問なんてされてませんし、あなたの事も何も喋ってません、というか何も思い出せませんし…」
「……ふぅーん?」
女性はそれでも怪訝そうな表情を崩さずにこちらを見ていたが、やがて小さくため息を吐き、諦めたかのように首を振った。
「はぁ…まぁ、いいわ。おちょくってるのか何なのかしらないけれど乗ってあげる」
どうやら信じてはくれなかったようだが、これ以上詰められることもなさそうだ。女性は指を鳴らすといつの間にか手にしていた試験管のような蓋の着いた小瓶をヨルアの前へと差し出した。
「さっそく借りを返して」
「え?」
「血よ、血」
「え、お姉さんも吸血鬼なんですか?」
「はぁ?からかうのもいい加減にしてっ!!これの!どこが!!吸血鬼に見えるっていうの???」
女性はその怪しげに輝く紫色の瞳を指さしながら詰め寄ってくる。その瞳を覗けば、薔薇の模様が浮き上がってくるのが見える。だがそれは一瞬で、女性の瞬きひとつで消えてしまった。
「薔薇が…」
「ええ、そうでしょ!!ちゃーんと魔女の刻印が見えたでしょ?それに…私よりも長生きしてる貴女にお姉さんなんて言われたくないのだけど…ハッ…老けたって言いたいわけ…?」
「魔女…いえいえ、そんな…お姉さんはとても綺麗ですよ、本当に…あっ!!!ってことは帝国1の魔女って!!!」
「ふふふふ…やぁっと認めたわね!そうよ、私が帝国1の魔女、レーレイ様よ!」
「レーレイ」
どこかで聞いたことのある名前だ。その名前を言葉に出して記憶を探る。
レーレイ…れーれい…あっ
〝薔薇の香りに包まれた公爵家の庭園に人々の談笑する声が響く中、ヨルアは周りの目を気にすることなく不機嫌な顔で立ち尽くしていた。おまけにこの庭園がまるで堆肥置き場か、とでもいうように鼻をおさえている
「どうして私まで…」
「まぁまぁ、俺が勇者だと言われても結局は平民だしさ!こんな大貴族のお願いは断れないわけよ…心細い俺を助けると思ってさ、ね?お願い」
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不機嫌さを露わに言葉を吐けば、ちょうど公爵が娘を伴って屋敷から現れる。
そっと離れながら、通りすがった侍従からシャンパンの入ったグラスを奪い、それを一気に呷る。そしてまた新しいグラスを手に取った。
薔薇園から遠ざかるようにカエデの木の下で涼んでいると、ツバの広い帽子を被った女性がヨルアの前で立ち止まる。
「気味が悪い」
女性は確かにハッキリとそう言った。
この庭園には黄色やピンクなど春のような暖かい色合いのドレスを着た令嬢ばかりの中、女性だけは夜会のような、喪服のような濃紺のドレスを着ていたために入場する時からとても目立っていた
「はっ、あんたに言われたくないわね」
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「な゛っ…なんですって…」
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「ヨルア…何があったの?」
軽蔑、畏怖、嘲笑。様々な視線に耐えられず俯いていると、それを遮るかのようにスカイの声が間近に聞こえた
「とりあえず落ち着いて…俺はヨルアを信じるから」
言葉一つで肩から力が抜ける、あの女の言った言葉はあながち間違っていないのかもしれない。それでも本当に認めたくなかった
レレイ・マグノリア
ある意味、このパーティを開くことになった人物
皇女護衛にて偶然起きた森林火災と湖の汚染はあの女が引き起こしたことだ。オモテでは魔力溜りが原因だと言う話で終わっているが、眷属達の目は欺けない。あの女が連れていた子供に大量の魔力を放出させたことで木々に火が付き、近くにあった湖もその魔力で汚染された。おまけに奴隷市場で複数の子供を連れ帰っている、という噂まで聞く
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やっぱり…人間は嫌いだ。こんな感情も…〟
そうだ…この後、ヨルアが拗らせてスカイとすれ違うのがどうしようもなく焦れったくてモダモダしたんだよなぁ…じゃなくて!!!!!
「悪女のレレイ・マグノリア?」
「…なんですって?」
「あ」
やばいやばいやばい、これ絶対本人だ
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