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初登校#4
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「ああいう人に迷惑かけるようなことはやめろ、いいな?」
「ごめんなさいいい」
「次やったら一週間口きかねえからな」
「ええ!それは嫌だ!絶対しない!しないから許して!」
席を片付けたあと、俺は医務室で昼食をとりながら祥吾に説教していた。
「もしもし~?痴話げんかするならよそでやってね~?」
その奥で、医務室の主である養護教諭で医師の篠北正樹先生が、のんびりとした声で言った。
「す、すみません」
「まあいいけどね~。食べ終わったなら診察するよ~?」
「あ、はい」
俺は口をティッシュで拭った後、篠北先生の前の丸椅子に腰かけた。
何で医務室で食べているのかといえば、診察を受けるためだ。
俺がこの学校に居る間の決まりとして、一日一回必ず医師である篠北先生の診察を受けることになっているからだった。
そのついでで医務室で昼食を食べさせてもらっているというわけだ。
まず口を開けて喉の状態をチェックされ、次に下瞼を引っ張られて血行をチェックされた。
「じゃあ次は音聞くからね。シャツ上げて」
「はい」
言われた通りシャツをたくし上げたところで、視線を感じた。
横を見ると、少し鼻息の荒い祥吾が俺を……正確にはシャツがたくし上げられた俺の腹のあたりをガン見していた。
「……何見てんだ、祥」
「気にしないで」
「気になるに決まってんだろ」
鼻息を荒くして俺の腹のあたりをガン見している祥吾の顔は正直言って怖かった。
……うちの弟、いつからこうなっちゃったんだろう……
「はい、ちょっと冷たいよ~」
しかし篠北先生は全く祥吾のことなど気にせずに診察を続けていた。
「はい、診察終わり。今のところは異常なしだね」
「ありがとうございました」
「でも油断はしないでね、少しでも不調を感じたらすぐに来ること!もう入学式のようなことはしないよーに!」
「は、はい……」
俺は何も言えず、その場に縮こまった。
「それじゃ診察も終わったし、僕、職員室に行ってくるから、あとよろしくね~」
「あ、はい」
篠原先生が出て行き、祥吾が昼飯を食べ終わるのを待つ間、俺は、今朝の北峯君に言われたことを思い出していた。
彼とは関わるな、って、どういうことだろう……
しかもあの二人、ただならぬ因縁があるみたいだったし。
「柊?何考えてるの?」
「……え?あー、その、今朝起きたことがちょっと気になって」
「なんかあったの?」
俺は、祥吾に今朝あったことを話した。
「ああ、あの二人ね。親戚同士らしいよ?」
「親戚?」
「うん。なんか、北大路っていう、この辺じゃ有名な大きい家があるらしくて、金髪不良はその嫡男。で、その金髪不良に因縁付けてたっていうインテリは、その北大路家の分家の子なんだってさ~」
「はあ……成程」
北大路家の沽券にかかわる、とかいってたのはそういう理由だったのか……。
どうやら彼は、いつも色んな不良チームと喧嘩をしているらしく、この辺りでは族潰しとして恐れられているらしい。
それなら、クラスメイトたちのあのつぶやきも納得がいく。
だけど……俺には、彼がそんな怖い人だなんて、とても思えない。
――だって彼は、俺を二回も助けてくれたのだから。
そう祥吾に言うと、祥吾は思いっきり眉間に皺をよせた。
「何だよその顔」
「確かにそうだけど、だからこそ悔しい!!」
「は?」
「柊を助けるのはオレの役目なのに!!あんなぽっと出の男に取られるなんて!!柊のすべてはオレのものなのにいいいいい!!!」
「……あー、始まった……」
祥吾はその場でひれ伏し、悔しそうに床を叩きながら叫んでいた。
ブラコン暴走モードが始まってしまったので、俺は少しずつ後退し、医務室から逃げた。
きっとそのうち収まるだろう。
***
高等科は教室がある本棟と、化学室や音楽室なんかの特別教室がある特別棟に分かれていて、医務室は特別棟にある。
教室に戻るには、二つの校舎を繋ぐ渡り廊下を渡らなければいけない。
その渡り廊下を歩いている時だった。
――にゃあ……
「!」
かすかにだが、猫の声がした。
猫……まさか、ここに来た初日に助けたあの猫だろうか?
初日に会って助けた後は、何処かへと行ってしまったが、もしかして今の声はあの猫で、また木に登って下りられなくなってたりしているのではないだろうか。
どうしても気になってしまった俺は、そのまま中庭に出た。
辺りを見回していると、また猫の声がした。
やっぱり居る。でもどこだ?
すると、校舎の裏側へ消えていく尻尾が見えた。
「あ!いた!」
尻尾の先を追いかけ校舎の裏側へ入ると、そこにはすでに先客がいた。
「あ……!」
――あの金髪の彼が、校舎の壁に背を預けて座っていた。
まさかこんなところに居るとは思わず、心臓がどきりと高鳴った。
「ごめんなさいいい」
「次やったら一週間口きかねえからな」
「ええ!それは嫌だ!絶対しない!しないから許して!」
席を片付けたあと、俺は医務室で昼食をとりながら祥吾に説教していた。
「もしもし~?痴話げんかするならよそでやってね~?」
その奥で、医務室の主である養護教諭で医師の篠北正樹先生が、のんびりとした声で言った。
「す、すみません」
「まあいいけどね~。食べ終わったなら診察するよ~?」
「あ、はい」
俺は口をティッシュで拭った後、篠北先生の前の丸椅子に腰かけた。
何で医務室で食べているのかといえば、診察を受けるためだ。
俺がこの学校に居る間の決まりとして、一日一回必ず医師である篠北先生の診察を受けることになっているからだった。
そのついでで医務室で昼食を食べさせてもらっているというわけだ。
まず口を開けて喉の状態をチェックされ、次に下瞼を引っ張られて血行をチェックされた。
「じゃあ次は音聞くからね。シャツ上げて」
「はい」
言われた通りシャツをたくし上げたところで、視線を感じた。
横を見ると、少し鼻息の荒い祥吾が俺を……正確にはシャツがたくし上げられた俺の腹のあたりをガン見していた。
「……何見てんだ、祥」
「気にしないで」
「気になるに決まってんだろ」
鼻息を荒くして俺の腹のあたりをガン見している祥吾の顔は正直言って怖かった。
……うちの弟、いつからこうなっちゃったんだろう……
「はい、ちょっと冷たいよ~」
しかし篠北先生は全く祥吾のことなど気にせずに診察を続けていた。
「はい、診察終わり。今のところは異常なしだね」
「ありがとうございました」
「でも油断はしないでね、少しでも不調を感じたらすぐに来ること!もう入学式のようなことはしないよーに!」
「は、はい……」
俺は何も言えず、その場に縮こまった。
「それじゃ診察も終わったし、僕、職員室に行ってくるから、あとよろしくね~」
「あ、はい」
篠原先生が出て行き、祥吾が昼飯を食べ終わるのを待つ間、俺は、今朝の北峯君に言われたことを思い出していた。
彼とは関わるな、って、どういうことだろう……
しかもあの二人、ただならぬ因縁があるみたいだったし。
「柊?何考えてるの?」
「……え?あー、その、今朝起きたことがちょっと気になって」
「なんかあったの?」
俺は、祥吾に今朝あったことを話した。
「ああ、あの二人ね。親戚同士らしいよ?」
「親戚?」
「うん。なんか、北大路っていう、この辺じゃ有名な大きい家があるらしくて、金髪不良はその嫡男。で、その金髪不良に因縁付けてたっていうインテリは、その北大路家の分家の子なんだってさ~」
「はあ……成程」
北大路家の沽券にかかわる、とかいってたのはそういう理由だったのか……。
どうやら彼は、いつも色んな不良チームと喧嘩をしているらしく、この辺りでは族潰しとして恐れられているらしい。
それなら、クラスメイトたちのあのつぶやきも納得がいく。
だけど……俺には、彼がそんな怖い人だなんて、とても思えない。
――だって彼は、俺を二回も助けてくれたのだから。
そう祥吾に言うと、祥吾は思いっきり眉間に皺をよせた。
「何だよその顔」
「確かにそうだけど、だからこそ悔しい!!」
「は?」
「柊を助けるのはオレの役目なのに!!あんなぽっと出の男に取られるなんて!!柊のすべてはオレのものなのにいいいいい!!!」
「……あー、始まった……」
祥吾はその場でひれ伏し、悔しそうに床を叩きながら叫んでいた。
ブラコン暴走モードが始まってしまったので、俺は少しずつ後退し、医務室から逃げた。
きっとそのうち収まるだろう。
***
高等科は教室がある本棟と、化学室や音楽室なんかの特別教室がある特別棟に分かれていて、医務室は特別棟にある。
教室に戻るには、二つの校舎を繋ぐ渡り廊下を渡らなければいけない。
その渡り廊下を歩いている時だった。
――にゃあ……
「!」
かすかにだが、猫の声がした。
猫……まさか、ここに来た初日に助けたあの猫だろうか?
初日に会って助けた後は、何処かへと行ってしまったが、もしかして今の声はあの猫で、また木に登って下りられなくなってたりしているのではないだろうか。
どうしても気になってしまった俺は、そのまま中庭に出た。
辺りを見回していると、また猫の声がした。
やっぱり居る。でもどこだ?
すると、校舎の裏側へ消えていく尻尾が見えた。
「あ!いた!」
尻尾の先を追いかけ校舎の裏側へ入ると、そこにはすでに先客がいた。
「あ……!」
――あの金髪の彼が、校舎の壁に背を預けて座っていた。
まさかこんなところに居るとは思わず、心臓がどきりと高鳴った。
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