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第51話:“正しさ”を盾にした黒幕(4/5)
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~正しさをふりかざす者の、正体とは~
金曜日の放課後――
校舎裏の資材倉庫前に、3人の影が潜んでいた。
マコト、佐伯、そして風紀委員長の鳴海陽向。
空は灰色に沈みかけており、時折吹く風が落ち葉を舞わせていた。
「この倉庫、使われてないけど、開くようにはしてある。
風紀委員の一部は、書類保管庫として使ってたらしい」
とマコトがささやく。
「で、昨日、ここに“次の脅迫文を仕込むつもり”のSNS投稿があったわけだ」
佐伯がスマホのスクリーンを指しながら言う。
その投稿はこうだった。
『正しい者がいなくなれば、みんな好きにできる。次は誰が消えるかな』
投稿者のIDは匿名だが、ログから発信IPが「青葉中央駅前のシェアハウス」に集中。
そこは、元風紀委員・荒川 宗一郎が住んでいる地域だった。
マコトは呟く。
「やっぱり、犯人は荒川……“自分だけ処分された”って逆恨みしたってとこか」
鳴海の表情が固くなる。
「彼には……私が最後まで、“風紀の名にふさわしくない”と言ってしまった。
でも、まさかこんな形で戻ってくるとは……」
「委員長。あの時あなたが“正しさ”を選んだのは間違ってない。
でも今度は、その“正しさ”をどう使うかが試される番ですよ」
鳴海は、かすかに目を見開いた。
午後4時12分。
誰もいないはずの倉庫の鍵が、カチャリと鳴る。
影がひとつ、扉を押して中に入った。
すぐさま、マコトが小声で合図。
「……今だ!」
3人が一斉に倉庫前に飛び出す。
「動かないでください、風紀委員会です」
鳴海の声が、風を切った。
中から出てきた男は――
ジャージにフードを被った、見覚えのある男。
「……チッ、バレたか」
■黒幕の正体:荒川 宗一郎
元風紀委員副委員長。
以前、規則違反で処分され、自主退任。
「お前ら、風紀の看板掲げて、正義気取りしてさ……
俺がミスった時には、“これが秩序だ”って切り捨てたじゃねぇか!」
「それは……あなたが、後輩に暴言を吐いていたからです」
「“あれくらいの注意”で暴言って言われるなら、
今の風紀委員なんて全部口封じしてやりたくもなるわ!」
鳴海は、一歩前に出た。
「荒川さん。私は“正しさ”を守ろうとするあまり、
あなたの“悔しさ”に気づけませんでした。
でも……だからって、他の誰かを狙っていい理由にはなりません」
マコトも続く。
「お前が言ってた“正しさ”ってやつ――
それ、ただの“自分が裁く側でいたかった”だけなんじゃねぇの?」
荒川は睨み返したが、
次の瞬間――
「だってさ、じゃないと……俺が、
“ただの小物”になっちまうだろ……」
その声には、ほんのわずかな震えがあった。
■事後処理
後日、荒川は学校側の聴取を受け、
生徒指導室での謝罪と、書面による風紀委員宛の謝罪文を提出することとなった。
鳴海は、事件の記録とともに“風紀委員会の内部改革”を宣言。
それと同時に、生徒会との「非公式連携」も提案された。
「……いやぁ、最初の感じからしたら、風紀委員会と一緒にラーメン食う未来なんて想像もできなかったな」
と、美穂が笑った。
「スカート丈で戦争してたくせに、同じ器のメンマで和解するの、なんかエモい」
佐伯も笑った。
マコトは、記録ノートを開き、最後の言葉を書き込む。
正しさは、誰かを黙らせるために使うんじゃない。
誰かを守るためにこそ、力になる――はずなんだ。
◆つづく◆
金曜日の放課後――
校舎裏の資材倉庫前に、3人の影が潜んでいた。
マコト、佐伯、そして風紀委員長の鳴海陽向。
空は灰色に沈みかけており、時折吹く風が落ち葉を舞わせていた。
「この倉庫、使われてないけど、開くようにはしてある。
風紀委員の一部は、書類保管庫として使ってたらしい」
とマコトがささやく。
「で、昨日、ここに“次の脅迫文を仕込むつもり”のSNS投稿があったわけだ」
佐伯がスマホのスクリーンを指しながら言う。
その投稿はこうだった。
『正しい者がいなくなれば、みんな好きにできる。次は誰が消えるかな』
投稿者のIDは匿名だが、ログから発信IPが「青葉中央駅前のシェアハウス」に集中。
そこは、元風紀委員・荒川 宗一郎が住んでいる地域だった。
マコトは呟く。
「やっぱり、犯人は荒川……“自分だけ処分された”って逆恨みしたってとこか」
鳴海の表情が固くなる。
「彼には……私が最後まで、“風紀の名にふさわしくない”と言ってしまった。
でも、まさかこんな形で戻ってくるとは……」
「委員長。あの時あなたが“正しさ”を選んだのは間違ってない。
でも今度は、その“正しさ”をどう使うかが試される番ですよ」
鳴海は、かすかに目を見開いた。
午後4時12分。
誰もいないはずの倉庫の鍵が、カチャリと鳴る。
影がひとつ、扉を押して中に入った。
すぐさま、マコトが小声で合図。
「……今だ!」
3人が一斉に倉庫前に飛び出す。
「動かないでください、風紀委員会です」
鳴海の声が、風を切った。
中から出てきた男は――
ジャージにフードを被った、見覚えのある男。
「……チッ、バレたか」
■黒幕の正体:荒川 宗一郎
元風紀委員副委員長。
以前、規則違反で処分され、自主退任。
「お前ら、風紀の看板掲げて、正義気取りしてさ……
俺がミスった時には、“これが秩序だ”って切り捨てたじゃねぇか!」
「それは……あなたが、後輩に暴言を吐いていたからです」
「“あれくらいの注意”で暴言って言われるなら、
今の風紀委員なんて全部口封じしてやりたくもなるわ!」
鳴海は、一歩前に出た。
「荒川さん。私は“正しさ”を守ろうとするあまり、
あなたの“悔しさ”に気づけませんでした。
でも……だからって、他の誰かを狙っていい理由にはなりません」
マコトも続く。
「お前が言ってた“正しさ”ってやつ――
それ、ただの“自分が裁く側でいたかった”だけなんじゃねぇの?」
荒川は睨み返したが、
次の瞬間――
「だってさ、じゃないと……俺が、
“ただの小物”になっちまうだろ……」
その声には、ほんのわずかな震えがあった。
■事後処理
後日、荒川は学校側の聴取を受け、
生徒指導室での謝罪と、書面による風紀委員宛の謝罪文を提出することとなった。
鳴海は、事件の記録とともに“風紀委員会の内部改革”を宣言。
それと同時に、生徒会との「非公式連携」も提案された。
「……いやぁ、最初の感じからしたら、風紀委員会と一緒にラーメン食う未来なんて想像もできなかったな」
と、美穂が笑った。
「スカート丈で戦争してたくせに、同じ器のメンマで和解するの、なんかエモい」
佐伯も笑った。
マコトは、記録ノートを開き、最後の言葉を書き込む。
正しさは、誰かを黙らせるために使うんじゃない。
誰かを守るためにこそ、力になる――はずなんだ。
◆つづく◆
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