宇宙人な彼女?!

naomikoryo

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第11話「監視者・クロウの登場」

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星宮ルナは、間違いなく普通の人間じゃない。

 そう確信したのは、昨日の放課後のことだった。
 俺が階段で転びそうになった瞬間、ルナは一瞬で俺の背後に回り込み、軽々と抱き止めた。

 あんな動きができる人間なんて、聞いたことがない。
 まるで瞬間移動でもしたみたいに。

 俺は思わず口にしてしまった。

 「お前、宇宙人なんじゃ……?」

 その時、ルナの瞳が、ほんの一瞬だけ揺れた。

 だが、彼女はすぐに涼しげな微笑みを浮かべ、**「まぁ、ご冗談を」**と誤魔化した。

 けれど、俺はもう確信していた。
 ルナは何かを隠している。

 そして、その真実にさらに踏み込むことになるのは、翌日の朝だった。

朝、自宅の庭にて
 朝の空気はひんやりとしていて、俺は軽く伸びをしながら玄関を出た。

 今日もまた、家の前には白いリムジンが停まっているのだろう。
 ルナが「恋人としての監視」のために、俺を毎朝迎えに来るようになってから数日。
 もう慣れた……とは言いたくないが、諦めるしかなかった。

 俺はため息をつきながら、玄関を開けた。

 しかし、その瞬間――

 「……ん?」

 何かの視線を感じた。

 嫌な予感がして、そっと庭の方を覗く。

 そこには――

 黒猫が座っていた。

 黒猫はじっと俺を見つめている。

 ただの野良猫……かと思ったが、何かが違う。
 その目には明らかに知性を感じた。

 そして――

 「……やれやれ。お前、余計なことに首を突っ込みすぎだな」

 「!?」

 俺は飛び上がった。

 「今……喋った!?」

 黒猫は、まるで「当然だろ?」と言わんばかりに尻尾を揺らした。

 「ふん。そんなに驚くことか?」

 「いや、普通に驚くわ!!!」

 猫が……喋ってる!?

 いや、待て。落ち着け。
 ルナが動物と会話できるのはすでに知っている。
 もしかして、この猫も……?

 俺が呆然としていると、黒猫は深くため息をついた。

 「……やれやれ。お前、本当にあの姫様と付き合ってるのか?」

 「……姫様?」

 俺はその単語に引っかかった。

 黒猫はじっと俺を見つめると、低く唸るように言う。

 「お前は、何も知らない方がいい」

黒猫・クロウの正体
 俺はしゃがみ込み、黒猫――クロウと名乗るその猫と向き合った。

 「お前、何者なんだ?」

 クロウは、しばらく俺を見つめていたが、やがて静かに口を開いた。

 「俺はクロウ。ルナお嬢様の護衛兼監視役……つまり、彼女の秘密を守るための存在だ」

 護衛? 監視役?
 なんだそれは。

 俺が困惑していると、クロウは冷たく言い放つ。

 「お前、ルナの正体に気づいたんじゃないのか?」

 俺はドキリとした。

 昨日、確かにルナに「お前、宇宙人なんじゃないのか?」と問いかけた。
 まさか、それをこいつが知っているのか?

 クロウは俺の反応を見て、鋭く言葉を続ける。

 「……忠告しておく。お前がこれ以上ルナの秘密に踏み込むのは、得策じゃない」

 「どういう意味だ?」

 クロウはしばらく黙ったあと、小さくため息をついた。

 「あの姫様が、お前にどこまで話すつもりなのかは知らないが……これ以上深入りすると、地球人の暮らしが続けられなくなるぞ?」

 俺は背筋がゾクリとした。

 地球人の暮らしが続けられなくなる……?
 どういう意味だ?

 「おい、ちゃんと説明しろよ!」

 俺が詰め寄ると、クロウはピクッと耳を動かし、ふっと目を細めた。

 「……ルナお嬢様が来たようだな」

 次の瞬間――

 リムジンが静かに目の前で停車した。

 スーッと開くドア。

 そして、銀色の髪を持つ少女が、優雅に微笑んでいた。

 「おはようございます、悠真」

ルナの警戒
 ルナは、クロウと俺が向かい合っているのを見て、微かに目を細めた。

 「クロウ……あなた、また勝手なことを?」

 クロウはルナの前まで歩き、ぴょんと軽く跳ねてリムジンの座席に乗った。

 「ふん。お前こそ、こんな地球人と遊んでいていいのか?」

 「遊びではありませんわ」

 ルナは少しだけ真剣な表情になり、俺の方をちらりと見た。

 「悠真は、もう“秘密”に気づきかけていますの」

 クロウは鼻を鳴らした。

 「だから言っただろ。これ以上深入りさせるなって」

 俺は二人のやり取りを見ながら、はっきりと理解した。

 ――ルナは、本当に“地球の存在”じゃないんだ。

 俺が何か言おうとした時、ルナはすっと俺の手を取った。

 そして、微笑みながら言った。

 「さぁ、悠真。行きますわよ?」

 俺は、ルナの瞳をじっと見つめた。

 こいつは、何者なんだ?
 そして、俺はこれからどうなるんだ?

 ――俺は、ルナの秘密に踏み込む覚悟を決めた。
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