氷の上司に、好きがバレたら終わりや

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スピンオフ編 【悠真、ホワイトデー編】 「悠真、手作りの逆襲!?」

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▶1. 3月14日、ホワイトデーのざわめき

教室は朝からにぎやかだった。

「やばっ、ホワイトデー!返し忘れてた!」
「義理チョコでも返さないとね~、女子こわいし」
「……え、ひよりちゃんにも誰か渡すんかな……?」

その声が聞こえた瞬間、悠真は少しだけペンを止めた。

(ひより……)

本庄悠真(17)は、読んでいた教科書に視線を戻すふりをしながら、斜め前の席をチラリと見た。
そこには、いつもと変わらない表情で座る谷川ひよりの姿。

けれど、その周囲には――男子数人。

「谷川さん、これ、チョコのお返し」
「オレも!ほんとありがとうな~」
「え、俺も手紙つければよかった!」

悠真:(……なんやねんこれ)

(なんでこんな群がられてんねん……)

(渡すなら、いましかないやろ)

 

▶2. 舞子との“特訓”と、決意

昨夜。悠真は台所で、エプロン姿だった。

「もう、ほら卵潰しすぎ~~!入れるのは半分って言ったやん!」

「……だって、初めてやし。こんなん普通男子やらんやろ」

「はい、言い訳しなーい。好きな子のためなんやろ?」

「……べ、別に、そういうんちゃうし」

「はいはい、“そういうんちゃう”って言ってるときはだいたいそうやねんで~?」

(……けど、おれの中では決まってた)

(バレンタインに“本命”もらって、手ぶらで返すとかありえへん)

(だからこそ――ちゃんと作った。おれの手で)

 

▶3. 堂々の登場、宣戦布告のマフィン

教室。昼休み。
まだ男子がひよりの席に群がっていた。

「谷川さん、これもらって」
「手作りじゃないけど、気持ちは本物でーす」

悠真はその人だかりを、無言で通り抜け――
まるで“センターへ立つように”彼女の前へ立った。

「ひより」

ひより:「……悠真くん?」

一瞬で教室中が静まり返る。

悠真は小さなラッピング袋を取り出し、
そのまま彼女の机の上に置いた。

「これ。ホワイトデーの。
昨日、おれが作ったやつや。……マフィン、嫌いやなかったら」

ひより:「……えっ、手作り……?」

悠真:「母さんにレシピ教わった。めちゃくちゃ大変やったけどな」

(それに、お前が本気でくれたからこそ、おれも本気で返したかった)

ひより:「……ありがとう。すごく、うれしい」

 

▶4. ザワつく教室と、確かな“納得”

周囲の女子:「ちょっ……今のって……え、本命返しじゃない?」
男子たち:「ガチかよ……」「マフィン手作りとかレベチやろ」
誰か:「いやでも、あの2人……並ぶと最強やな……」

「貴公子と清楚系女神カップル爆誕」
「え、もうそれでドラマ作れるレベルじゃね?」
「納得しかないわ……」

静まった教室に、ふたりのやりとりだけが残っていた。

ひより:「悠真くんって、こういう時、意外と大胆なんだね」

悠真:「……お前が、他の奴らに囲まれてんの、我慢ならんかっただけや」

「てか、マフィン焦げとったら、黙って処分しといて」

ひより:「ううん、食べる。絶対、残したりしない」

悠真:「……おれの気持ち、受け取ってくれてありがとな」

ひより:「うん。これで、お互い“本命”の証、かな」
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