Heavens Gate

酸性元素

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レド編

ボクラハカラッポ

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「あー…今日は無理っすね…はいすいません。」
電話越しにケインの謝る姿をレドは見ていた。まるで昔の母のようだ。誰かのために謙って破滅していく。そんな未来が容易に浮かぶ。と、レドは自己嫌悪を交えつつ、ケインを心の内で罵倒した。
「バイトは休むのかい?」
クレアは電話を終えたケインに問う。
「まー今夜は以来だしな。じゃあ今夜の以来の話に入るぜ。」
「了解。」
クレアは表情を変えず、ケインの話に耳を傾ける姿勢だけをとった。レドも流されるようにケインの側に少し近寄る。
「調査に行く工場について調べた結果だが…近隣じゃ幽霊工場だの赤サビ工場だの、あんまりいい印象は無いらしい。ただ妙なのは…魔族らしいものの目撃証言が無いって事だ。」
「へえ…最近出たにしても少しくらい噂が立っても良いものだと思うけどねえ…」
「依頼者のエルザさんについてだが…現在28歳…ごく普通の会社員って感じだな。父親の死因についは病死で…魔堰蝋症ませきろうしょう…なんだっけかそれ。」
「体内の魔力が血管なんかに蓄積していって凝固して、そこに流れる物を堰き止めちゃう病気だね。魔道士の才能のある人間なんかに多いね。魔法の才能のある人間が魔導系の資格を取るように推奨されてるのはこう言う魔力による身体的影響が大半になってる。父親は魔法機関師資格を取ってたらしいからね…多少魔力が少し高かった可能性はあるかも。ただ見る感じだと…何というか…」
クレアは2枚の資料を凝視しながら言葉を濁す。
「なんだよ?」
「いや、確信が持てない。色々終わってからにしよう。」
「なんじゃそりゃ。」
「どうせ君は分かってるんだろう?彼女は何かを隠している。分かったとして…君はどうする?私はよっぽどでない限りは放っておくが…君は真逆だろう?」
「まあそうだが…わかった時には俺の方針で行くぜ。一応あの人がいない時には俺が代わりにやる事になってるし。」
「……いつ言われたんだいそんな事?」
「…るせ。」
「君は背負すぎだと言いたいんだよ私は!そうやって無理をするからガタが来る。もう少し休みた前。」
「お前にだけは言われたくねえわ!」
ケインは少々苛立った様子で自身の部屋へ足を運んだ。既に時刻は依頼場所へ行く一時間前まで差し迫っていた。
「あの…僕は何を準備すれば良いんですか…?」
先ほどまでソファから動かなかったレドが突如立ち上がり、クレアに問いかける。
「ふう…少し待ちたまえ。」
クレアは少しため息を付くと自身の部屋に行き、その中から細長い魔装銃を持ってレドに渡す。
「君はまあ…地下鉄でStage3の魔族を一体撃破したとは言え余り強いとは言えないからね…。君に合った魔装機関を作ってきた。」
「作ってきた…?」
「ああ…私の魔能力(スキル)は…まあ簡単に言えば対象者に最も適切な魔装機関を精製できる。ほら、前に君の血液を採取しただろ?私の魔能力は対象の遺伝物質を元に作るからそのためだったというワケさ。」
「それ血液である必要ないんじゃ…」
「おっとそれは言わないお約束だ。」
「っていうかこれが一番合ってるって…これ低級魔道士が使ってるのと同じなんじゃ…。魔能力無しの低級魔道士と魔能力ありの魔道士は取る資格が別ですし…僕これの使い方あんまり…」
「ああ…安心した前。君様に特別に改良してある。一回込めてトリガーを引くだけで良い。何せ君に最も合ってるんだから。……勿論これ以外の機能もあったり無かったり無かったりあったり…ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ…」
不敵な笑みを浮かべるクレアを、レドはあえて無視した。
「……もっと早く渡した方がこう言う依頼の時に使いこなせたんじゃ…」
「おっとそれは言わないお約束だ。」
「……」
レドは目を細めた。
「おい!そろそろ行くぞ!」
ケインが居間に顔を出し、2人に声をかける。
「シュタイン氏…今日が分かれ目だよ?」
「?」
クレアの言葉の意味が、レドは理解できなかった。
都心から少し離れた住宅街を一同はうろつく。
「魔族なんて都心に滅多に出ないもんだからこないだの一件の後にこう言う所で戦うと思うと少し落ち着くね…」
「おい不謹慎だぞ。」
「そうかい?まあ少し黙るよ。」
クレアは軽く笑ってそう言う。
「あそこだ。」
ケインは向こう側を指差す。暗闇に若干紛れつつも、大きく広がったサビと反射する光が工場の大きさを示していた。
「幽霊工場とはよく言ったものだ…。これは怨霊だね。」
クレアは苦笑する。一同は工場の中へと足を運んだ。
「取り敢えずレドは銃持て。クレア、魔力感知貼るぞ。」
「分かってるよ。これは…複数体居るね。それもStage4以上の魔力だ。」
「んじゃ行くか…」
「待ってください。」
レドは突然喋り出し、ケインを引き止めた。
「僕は感知あんまり得意じゃないので、何体居るかとかは分かんないですけど…見た感じ左右に何体かずつ居ます。もし片方から攻撃したのなら、もう片方がその音なんかに反応して工場を破壊する可能性がある。僕の推察じゃ…依頼者は工場に何かしらを隠している。というかお2人方もそうお考えでしょう?それを破壊したとあればどうなるか、ですよ。」
「……そうか…しゃーねー。二手に分かれるか。クレアとレドは左、俺は右だ。」
「先輩、僕は補助って感じでいいですか?」
「ああ…そうだな。…なんとか生き残れよ。」
そう言うとケインは右側へと進んでいった。
「…実はね、私は戦闘員ではないんだよ。」
「え?」
「私に出来る攻撃方法と言ったら魔力による身体強化か魔能力による銃撃かのどちらかなんだよ…。戦闘員はシャーロット氏とケイン氏を除いてもう1人居るんだが…今本国に帰っていてね…。……戦闘中に魔力感知を張るなんて器用な芸当やら、三層攻撃魔法なんてのはケイン氏かそのもう1人の方でないと出来ないものでね。
「じゃあ僕はサポートには…」
「まあ君よりはあるから結局メインは私だが。」
「ああ…はい…。」
内心レドはホッとした。
「さて…本命の魔族だよ。」
クレアは上を指差す。天井に居るソレは、ゆっくりと此方を向くと、天井から飛び降り、着地した。
その正体は、2m程の巨体をした人ならざる何かだった。
「アア…ニンゲンカ…ニンゲン……コロソウ…ソウシヨウ…。」
「白い肌…鱗は…無いな…。尾はやや長いか…。Stage4の…Haurasフラウロスか。どうりで群れをなす訳だ。」
「ナニイッテンダオマエ…?マアイイヤ…ガアアアアアア!」
魔族は雄叫びを上げ、自身の爪をクレアへと振り下ろした。が、何かに阻まれ、爪は空中で停止する。
「私は戦闘要因じゃない。だからこそ用意は怠らないよ?体に魔法防壁シールドを貼っておくなんて常識中の常識だ。」
クレアはそう言うと、間髪入れずに巨大な銃を取り出し、引き金を引いた。銃口から発射された魔弾は対象を高速で追尾する。が、フラウロスは瞬時に飛び上がり、追尾してきた弾を躱した。
「ハハハハハ!ヨワイナアオマエ!」
早い…と言う感じではないな…。Stage3以降の魔族はStageが進むたびに体がコンパクトに、かつ頭も良くなっていく…。これは早いと言うよりは…見切られたと言う方が正しいな…。跳躍力が高い個体か…これに魔法攻撃があるとなると…。
クレアは考えを巡らせる。学習され過ぎてはやられる可能性が高くなる。もっと大きな武器にするにしても工場を壊しちゃ行けない…どうするか…。
「空中で撃ってみるのは…」
クレアは空中で静止するフラウロスに弾を発射する。しかし、フラウロスは自身の尾をパイプに絡ませて上に上がり、銃撃を回避した。そして壁に背中をつけ、張り付くと、こちらをほくそ笑むように睨みつけた。
「くっ…!まずいなこれはしかもStage4以降は核の場所が個体によって違う…。どうやって特定する…?」
「クレアさん。」
突如話しかけてきたレドに、クレアは肩を跳ね上げる。
「なんだい君はもう!突然話しかけないで…」
「ちょっと退いてください。」
レドはクレアの真横で銃撃を発射する。フラウロスは片手で銃撃を防ぐ。
「なっ…!危なっかしいね君は!私に当たったら…」
レドはクレアの言葉を無視する様に銃撃を続ける。フラウロスは避けるまでもないと言わんばかりに、ノーガードでレドへと突進した。彼が飛び上がり、レドへと爪を向けた瞬間、レドはクレアに
「今です。撃ってください。」
と腹の部分を指差してそう指示をした。クレアは咄嗟に引き金を引く。銃撃はフラウロスの体を核ごと貫通し、体が崩れさる。
「どう言う策略だったんだい…?」
「ああ…いえ…大きな攻撃が来た後僕見たいなまるで効かない攻撃が来れば『まずこいつから』と仕留めに来るかなって。敢えて魔法防壁を解除したのもその為です。魔力感知で防壁の存在を知られても困りますし。」
「核の場所は何故わかったんだい…?」
「体の各部位を撃って動きの違いを観察しました。知性がある程度備わっているなら必然的に核の部分を守ろうとするかなあって。」
「そうか…その方法は戦法の一つとして使われるんだが…戦闘経験が殆どない状態で実践できるのは珍しいね。」
クレアはレドの中の狂気を感じ取り、少し身震いした。
「あ、そうだクレアさん。」
「なんだい?」
レドはクレアに作戦を伝える。
「それは…成功するのかい?」
「やってみてダメだったらそれまでです。僕も貴方も死ぬかも。」
死ぬのが怖くないのか、という問いかけがもはや愚問である事をクレアは悟った。
「何体だ…?1、2、…6体くらいか。Stage4が6体か…はー…疲れる。」
「ニンゲンダ…ニンゲンダ…コロシタイナア…」
フラウロス6体の内3体は後ろに控えたまま、残り3体がケインに進撃する。
「頭使ったつもりか?残念ながら…まだダメだ。」
進撃したフラウロス3体は、突然地面に押さえつけられるように倒れ込む。
「相手の魔能力がなんだか知りもせず無闇に突っ込むからそうなる。」
動けない3体を斬ろうとケインは足を進める。
控えにいたフラウロス3体は雄叫びを上げると、自身の爪に魔力を纏う。
「やっぱ遠距離攻撃控えてっか…」
ケインは上に飛び上がる。ケインが空中に飛び上がった瞬間を狙い、フラウロスの爪から魔力の斬撃が放たれた。飛び上がっていたケインは回転し、斬撃を弾くと、空中を蹴るようにして急速に下に降り、フラウロスの懐に潜り込んだ。
「もうちょっと四方八方に狙うとかすりゃ良いのに…。なんだか微妙に頭悪いよなあお前らは。」
ケインは両手に持った刀を振り、フラウロス一体の両手を斬り裂く。青色の血液が両手から噴き出した。
「アアアアアアアアア!イタイ!イタイ!」
フラウロスの叫び声が辺りを包む。それを無視し、奥の2体へ刀の内の一本をケインは投げる。膨大な魔力を纏った刀は奥一体に突き刺さり、体に巨大な穴を開けた。
「…核はそこか。」
空いた穴から露出した核をケインは確認し、高速で核へと迫ると、片手でそれ押し潰した。更に奥に控えていた方、そして両手を斬られた方が同時に挟むように襲い掛かる。ケインは、壁に突き刺さった刀ともう一本の刀の間に魔力を流し込んだ。
「|超.重.力(グラビティヴォイド)!」
刀の間に居た一体は、一瞬の内に押しつぶされてしまった。ケインは襲ってくる残り一体に向き直り、左手を刀の方に向ける。壁に刺さっていた刀一本は彼の手に引き寄せられた。
「……悪いな。核が分からんから何回か斬る。苦しいだろうが我慢しろよ!」
ケインはフラウロスの喉に刀を入れると、そのまま下へと落ちるように一刀両断する。両断されたフラウロスの体からありとあらゆる内臓が吹き出した。その中をケインは見渡す。
「ここじゃねえ…ここじゃねえ…。じゃあ…右肩辺りか?」
ケインは刀を振り、右肩を切り裂く。核が両断されているのを確認し、ケインは一息ついた。
「すまんなあ…出来るだけ痛みは無くして殺すつもりだったんだが…」
ケインは奥の動けない三体に向かおうとし、後ろを振り向く。が、既に3体は死んでいた。
「…?!どうなって…」
「よお…よおよおよおよおよおよおよおよお…よお!!!!」
奥から聞こえた声に、ケインは一歩下がる。
「残ってた奴らはお前が?」
「ああそうさそうに決まってる!お前も雑魚の相手なんぞ懲り懲りだろう?だから殺してやったのさ!むしろ感謝しろよ?まあ本音を言うと別に感謝してもしなくても良いんだが…どうする戦うかい?降伏も選択のひとつってもんさ。だが俺ぁ出来れば殺し合いをしてえ。お前とな。息を乱す暇も脳髄を巡らせる隙もない殺し合いをよお!」
そう言いながら人影は、ケインの前に姿を現した。褐色の肌、紫の瞳、鋭い歯、そのほかの特徴全てがソレの正体を導き出す要因となった。
「お前は…知性魔族か。その割にはボキャブラリーがおかしいが。」
「なーにを失礼な!名は『クロロフォート.ゼルべナード』!私は知性の魔族でごぜえやす!あんた方の言う…Stage5のね?」
クロロは言葉を言い終える前に姿を消し、一瞬のうちにケインの目の前へと距離を縮める。
「……!」
ケインは振り上げられた腕を刀で受け切る。
「これで大体の奴らはやられるんだがねえ…。ニャハハハハハ!やっぱいいよお前!最高ォだ!」
ケインは何か嫌な予感を感じていた。今まで感じた予感の中でも特に嫌な予感を。

「ヨクモヤッタナ…ニンゲン…」
4体のフラウロスは2人の前に立ちはだかると4人同時に2人に襲いかかった。2人は来た道を引き返す形で後ろに走り出す。そしてその数秒後、4体の進行はあっさりと阻まれた。
「ガ…アアア…!」
「やはりワイヤー…効果があったね。」
「武器以外も生成できるんですね、貴方の魔能力。」
「君の言った通りこの個体のフラウロスは壁に引っかかりやすいような肌になっている…。虫の脚なんかに似てるね。だから壁なんかに全身でくっつけるわけだ。」
「肌と同じ作りのワイヤーを数十本張り巡らせておけばくっつき合うし、その粘着力を魔力で強化すればそう離れない。」
「…そう思う?」
「え?」
「一体ぐらいが脱出してるように見えるんだけどねえ。」
「…やっぱりそう上手くは行かないか…」
残った一体は玉砕覚悟と言わんばかりの勢いで、2人に襲いかかる。
「まあでも…。それも想定済みだけど。」
レドは手に持っていたワイヤーを引く。すると、壁の両側についていた魔装銃のトリガーが引かれ、襲いかかってきたフラウロスの背中と首元に命中する。
「……グ…ガアアアアア!」
「核はそこじゃないか…!だが攻撃する隙が出来れば良い!」
クレアはそういうと、自身の持つ銃の引き金を引く。一発、二発、三発…次々と銃撃が浴びせられる。
そして何発撃ったか分からなくなった時、核を撃ち抜かれたフラウロスの体は消滅を始めた。
「イマ…イクヨ…ソコニ…ネエ…サン…」
微かな声で彼はそう言ったが、もはや誰の耳にも届かなかった。
「さて…残りは私がやるよ。」
クレアは魔法防壁を三体の前に貼ると、その中に黒い球を放り投げた。その球体は暫くして爆発を起こしす。魔族だった三体はもはや魔族では無く、燃え盛り、叫び声を上げる炭でしか無かった。
「これはエクスプリターと言ってね…。一定時間で爆発を起こす魔装機関だ。魔人戦争でよく使われた。まあ魔法防壁を貼ってこんな事するのは戦う最中じゃ隙がデカくて出来たもんじゃ無いけどね。……こういう時にだけ私はこれを使うのさ。」
クレアは燃え盛る魔族三体を見て、どこか切なげな表情をしていた。まるでかつて似た光景を見たかのように。
「……えっと…。なんて言ってたんです?すいません聞いてなくて。」
レドがクレアの話になどまるで興味がなかった事を知り、クレアはやはり何処か罪悪感を纏った表情をしていた。魔法防壁を解除した時、クレアは何かを感知する。
「……何か来る。…それも相当な。」
クレアは銃を構える。レドは遅れて立ち上がる。
「へー…結構強かった筈なんだけど…。あの黒髪の人間以外にもやっぱり居るんだねえ…。警戒対象が。」
著したその正体は、間違いなく魔族だった。青色の鱗、3mはあるであろう巨体、そして両手の巨大な爪。間違いなく魔族である事は確かだった。だが、爬虫類のような見た目に見合わない流暢な言語能力が、それら全てを異常なものにさせていた。
「ああ…そうかそうか。名乗らない事には始まらないよね。俺は『ヴァルヴァローニ.ラインヴレイヴ』。そっちは。」
「……」
「こっちが名乗っておいてそっちが名乗らないってマナーとかそれとか色々がおかしくない?!人間さんはみんな魔族は野蛮だって認識を持ってるけどさあ…そんな事もできない時点でそっちなんじゃないの?!良くないよ…。良くないよねえ…ほら…良くないだろ?!守れよそんぐらいよお!」
ヴァルヴァローニは自身の肌を手で掻き毟る。肌から剥がれた鱗は、地面に次々と接触を始める。
「このカスどもがあ!」
次の瞬間、地面に落ちた鱗が変化し、巨大な棘になってレドに襲い掛かる。
「シュタイン氏!」
クレアはレドを守る形で前に飛び出す。クレアに貼られた魔法防壁は一瞬のうちに砕けた。
「っ…!まずい…Stage5がここで…。魔法防壁はもうない…。シュタイン氏は役に立ちそうにない…。」
「殺してやる…殺してやる!お前らのようなカスどもは粛清してやる!」
「クレアさん…奴の核を見つけてください。」
「なっ…!何故突然…!」
「クレアさんなら出来ると思いますので。それと…」
「…!」
レドはクレアにハンドサインを送る。クレアはそれに気づき、目を見開いた。
レドはそういうと、前に飛び出していく。
「…はっ!馬鹿じゃないの?」
ヴァルヴァローニは自身の体につく鱗を再び棘上に変化させる。レドは足場にあったワイヤーを蹴り、上に飛び上がった。ヴァルヴァローニの棘はレドをすり抜ける。
足場にしたワイヤーが切れたと同時に、レドは空中で銃の引き金を引く。弾丸はヴァルヴァローニに当たるが、まるで効いた様子を彼は見せなかった。
「へえ…予想外だけどまあ…自力とかその他諸々がちょっと…おざなりだよねえ!」
ヴァルヴァローニは右足をレドへと振り上げる。レドは咄嗟に魔装銃でガードするが、彼の蹴りはそれを貫き、レドの腹部へと右足はめり込んだ。レドは壁へと叩きつけられ、壁に彼の血液が付着した。
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