Heavens Gate

酸性元素

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レド編

ボクラハカラッポ③

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「ヒョウッ!」
クロロはケインに爪を振り上げる。ケインは剣でそれを受け止める。
「良いねえ!悪くねえ!んじゃ…俺の魔能力…見せてやるよ。」
クロロの爪が巨大化し、黒い魔力を帯びる。
「これが俺の魔能力・黒狩猫シュバルツ・カーターだ。まだ何段階か強くできるぜ?」
「なんで自分で魔能力明かすんだよ。…つーかなんだその技名。痛々しいなぁ…」
「ふびょーどーだろ?だからさ…てめえも言えよ!自分の魔能力をよお!」
「言わねーよ。あの人はこう言う状況だったら明かすだろうが…それはそれだけは無理だね。正々堂々だの知ったこっちゃねえ。自分のできる全力を尽くすのが正々堂々なら明かさねえのも正々堂々ってもんさ!」
ケインはそう言うと、クロロへと刃を向ける。
「ニャハハハ!そうでなくっちゃなあ!」
クロロが爪を振り上げたその瞬間、突如彼の両手は地面に向かって引き寄せられた。
『これは…こいつの魔能力か!さっきの無知性どもの感じからなんとなく分かっちゃいたが…。』
「てめえ…無知性どもに使ったのより強いじゃねえかこれ。」
「ったりめーだ。雑魚相手なら魔力消費くらい抑えるわ。」
ケインはクロロに刀を振り上げる。が、クロロは自身の体を後ろに倒し、自身の両腕を引きちぎって重力の束縛から脱出した。
「はい脱出ぅー。さーあどうする?次は?」
既に彼の両腕は治癒しきっていた。
「…っは!今まで攻撃を受け切った理由…分からなかったのか?」
「?」
クロロが首を傾げようとしたその瞬間、彼の体は後ろに引っ張られた。壁に打ち付けられた事を彼が理解したその直後、天井へと叩きつけられる。そして床、後ろ、左、右……全方向へと動かされる中、クロロは未だ笑い続けていた。ケインは自身の元へとクロロを引き寄せ、右足の蹴りを彼の腹部に与える。引き寄せられた勢いと彼の蹴りがかけ合わさった攻撃に、クロロは呼吸を止める。
そのまま奥までクロロは蹴り飛ばされる。
「……」
ケインは刀を構えた。彼が予想していた通り、クロロは奥から姿を現した。彼の両手の爪はより巨大に、かつ鋭利に変化し、その爪は両脚にも追加されていた。
「ははは!分かったぜ?お前の魔能力。重力操作だろ?お前の攻撃は普通の人間の攻撃とは明らかに威力が違う。だが見た感じでは体に魔力を纏った身体強化でもない。つまり…攻撃の瞬間に重力を操作して自分の攻撃を重くしてんじゃねえのか?そしてそれは他人にも付与できる。その刀で触れた対象の重力を操作できる。しかも重ねがけが可能…こんなとこだろ?」
「…さあな。」
ケインは地面を強く蹴り、クロロとの距離を縮める。
「おっと…喰らっちゃいけねえ。」
クロロはケインの刀を交わすと、彼の手首を爪で切断する。同時に彼の持っていた刀が彼の手を離れ、天井に刺さる。
「痛ッ…!」
「おっ…右手丸ごと狙ったつもりだったんだが…手首までで済んだか。」
「……」
「んだよこの程度で怖気付いたのかよー…。カンベンしてくれよほんとによー。」
「はぁー…クッソ…しゃーねー。クレア悪いな…。ここ壊すぜ。」
ケインは髪を髪むしってそう言うと、地面を強く踏んだ。それによって砕かれた地面は下の階へと落下し、同時に足場が消えたクロロは空中へと放り出される。
「ここからだ…俺の本気は…」
ケインは落下した瓦礫を空中で静止させる。
「重力操作…あれは正解っちゃ正解だ。だが…俺は物体を空中で静止させられる。」
「ニャハハハハ!結局言ってんじゃねえか自分の魔能力をよお!」
クロロは瓦礫を蹴ると、ケインの攻撃を飛んで交わす。ケインは間髪入れずに周辺の瓦礫をクロロに引き寄せた。クロロは再び飛び上がると、瓦礫の隙間を潜り抜け、そのまま右足の爪をケインへと叩き込んだ。ケインはその蹴りを間一髪で交わすと、左手でクロロの右足に刀を滑り込ませる。刀が掠めた彼の右足は、そのまま空中に固定される。間髪入れずケインは、クロロの腹部に刀を向けた。クロロは自身の体を横に大きく捻り、ケインの攻撃を交わす。そしてその体制のまま、ケインに両爪を振り上げた。が、クロロの足場だけが突如崩れる。
「付与対象に一定時間重力を操れるって事は…俺の固定してる瓦礫の一部分だけ重力を強くすることも可能なわけだ。」
ケインは持っていた刀をクロロに投げる。クロロは咄嗟に防ごうとするが、それらを全て貫通し、クロロの両腕、腹部が損傷する。
「がっ…!」
ケインは瓦礫を蹴ると、クロロの顔面に蹴りを入れる。蹴りの勢いに任せ、そのまま彼の頭と首を分離させる。
付与の制限時間が過ぎた瓦礫が、一斉に地面に落ちた。ケインはゆっくりと地面に降りる。
「さて…あいつは…」
そう振り返った瞬間、彼に密着とまで言える距離まで、クロロは迫っていた。
「フヒヒ!」
ケインは攻撃を交わしきれず、首元に彼の爪を食らう。彼の首元から血が噴き出した。
「…驚いたか?さっきより爪が小せえってのが。これはなぁ…幾らでも大きさを調節出来るんだよ。だから間合いをとっても意味はない!」
クロロは後ろに大きく下がる。が、クロロの爪は彼の腹部へと伸び、彼を貫こうとする。その瞬間、激しい金属音が鳴った。
『金属音…?いや待て、何故こいつは刀を持っていない!』
敗れた彼の服から見えたのは、先ほどまで彼が持っていた刀だった。
「…あばよ、楽しくは無かったぜ。」
クロロは強く地面へと引き寄せられる。そして、天井に刺さった刀と自信の刀の間に魔力を発生させ、ケインはこう叫んだ。
「『超.重.力グラビティヴォイド!』」
クロロの上半身を除く全てが押しつぶされる。
「…がっ!」
クロロは下半身を核ごと押し潰され、床に転げ落ちる。
「はあ…はあ…負けか…俺の……ってぇ~!核潰されるってクッソいてーのな…。ってかヴァルの野郎は…。……!死んだか…あいつは魔力遮断するようなのは嫌うし…魔力感知に反応ねーってのは…そう言うことだろうな。…畜生。」
「やっぱ他の奴が居たか。」
「まあ…今回ここに来たのは俺の独断だ…本来はアイツだけだった。悪いことしたなあ…アイツには…。俺のエゴで…戦力削っちまう事になって…素直にあいつの言うことに従っときゃ良かった…。」
「俺がそいつの元に居たら一瞬でやられてたと思うがな。」
「ハハ!ちげえねえ!あいつは弱いからな…俺らん中じゃ…。俺も大概だが…。あー…最悪だ…」
クロロは涙を流した。仲間を失い、自身の愚かさを呪い、涙が出た。
「やっぱ…死にたくねえなあ…。あいつに会いてえよ畜生…!あの女を黙って殺してりゃこんな事には…」
「…さては馬鹿だろお前。」
「…そうだな…俺ぁ…とんでもねえ無能だと自覚してるよ…」
ケインは頭部だけになったクロロの前に座り込んだ。
「…ま、お前のお陰で俺は大怪我だよ。強かったぜ。」
「へっ…そうかよ…」
クロロは満足げな表情で消えていった。

「あ、ケイン氏、そっちは片付いたかい?」
「…すまん、壊しちまった。」
「まあ君は『攻撃規模が大き過ぎて動けないあの人の代わりに俺が居るんだー!』とか言っといて結局毎回そうだしね。」
「腹立つなその言い方。レドは…生きてるか?」
「ああ、あそこで座ってるよ。」
「…!良かった…生き残ったのか…あいつ…。…なんか変だな。」
「まあ…放っておいた方がいいよ。今はね。」
「………」
レドは自身の子供時代を思い出していた。いや、思い出させられてしまったと言う方が近かった。過去の記憶など、自分自身の空虚さそのものでしかないのだから。
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