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幕間
幕間②
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「さて…この素材は一体何処で?」
その場で正座をするクレアを、レドは見下ろしながら問い詰める。
「えーっとその…アレだよ…裏のルートで…」
「思いっきりアウトじゃないですかそれ…」
「散々やってきたんだから今更だと思います」
「急に冷静になって開き直るな。」
顔色を一才変えず言い放つ。
「さーせんしたー!」
クレアは、地面に頭をぶつけんばかりの勢いで土下座した。
「……聞くつもりは無かったんですが、そもそもどうしてそこまで実験やらにこだわるんです?」
「あー…やっぱりそこ聞いちゃうかい?」
「嫌なら良いです。」
2人の会話に割って入るように、玄関の扉が開いた。
「よし、お前ら依頼だ。」
シャーロットはタバコを片手にソファに座った。
「毎回ドアを蹴飛ばすのなんとかならないんですか?」
レドは目を細めて言う。
「どーにもならんな、癖だ。」
「器物損壊で訴えられたらその言い訳は効かないですよ?」
「で、内容は何なんだい?シャーロット氏。」
「猫探しだ。」
若干緊迫していた空気は、途端に緩和された。否、むしろあまりの拍子抜け具合に緊迫さが増したとも言える。
「そこんとこお前ら得意だろ?頼むわ。俺と戦闘馬鹿2人にゃ無理だ。」
当然のように戦闘馬鹿と一蹴されたケインを、レドは気の毒に思った。
「やだね。」
しかし、その頼みをクレアは冷徹に返す。
「そりゃなんで?」
「つまらないからだよ。猫で実験してもそんなに良いことも無いし。シュレディンガーで十分だっての。」
「だからと言ってお前がいないとなあ…」
「じゃあそっくりの自動人形でも作るかい?数ヶ月はバレないと思うよ?鳴き声までは間に合わないし…私が録音するさ。大丈夫、案外演技は上手いんだぜ?活動停止しても、年齢によっては老衰って事にもできるさ。」
「はあ……相変わらずだなお前。興味ないことにはいっつもこれか。」
「はあ…まあやるよ。私も自分の欲望100%ってワケじゃないからね。」
クレアはそう言うと、自室の奥に眠っていた装置の電源を入れる。
「で、特徴は?」
「体重7キロのオス黒猫。ハートの鈴の首輪を付けてるらしい。こんなデザインだ。オーダーメイドたから被る事もないんだと。」
「…随分太ってるなぁ。よし、見つかった。」
装置に取り付けられたレーダーの中で、赤い点がチカチカと点滅する。
「マジか。流石だな。」
「ああ、国中に仕掛けた極小のカメラと感知器があるからね。」
「許可は?」
「されてない。」
「マジか。最低だな。」
シャーロットの態度は180度ひっくり返った。
「さて…あとは探すだけだ。シュタイン氏、行こう。」
「分かってますよ。」
レドはとうに支度を終え、玄関で靴を履き始めていた。
「……いた。」
クレアはその場でしゃがみ込み、ベンチであくびをする猫に銃口を向ける。
「実銃じゃないでしょうね?」
レドは小声で耳打ちする。
「いや、普通に実銃。」
「はい?」
「聞くところによると依頼者は富裕層らしいじゃないか。富裕層の猫は銃声どれほどビビるのか試してみたかったんだよ。」
「あのねぇ…もうちょっと計画性ってのを…」
「大丈夫大丈夫。捕まえてからするから。」
「そう言う問題なのかなあ…あ。」
ベンチにいた猫の姿が無い。
「まずいやらかした。」
クレアは全速力で猫を追跡する。
そう言えば彼女が走る姿は中々見ないな、と思いながらレドは彼女の背中を追った。
「はあ…はあ……よーやく捕まえた……」
クレアは猫にジリジリとにじり寄る。
「ん?待ってください、何か居ますよ。」
草むらの奥の影、猫以外の何かが…いや、他の猫がいる。
「なるほどねえ…子供作っちゃったのか。」
「あー…」
「君が母親か…見たところ危険区域周辺の猫だね……どうしたもんか。」
「取り敢えず持ち帰りましょう。」
「その前に子猫にも銃声を…」
「入れる籠ってこれで良いですか?」
「話を聞いて…ってそれは精魂叩いて作った圧縮収納BOX!待って!そこでトイレでもされたら…ああー終わった…ジョージ…さよなら…」
相変わらず制作物に名前をつける癖は治っていないらしい。
「……」
ブスッと拗ねた表情でクレアはソファに座っていた。
消毒処置の施された収納BOXは、部屋の隅に追いやられていた。
「あー…コーヒーいります?」
「あーなるほど謝らないと来たかい若人め!徹底抗戦だこんチキショー!」
「そもそもこれを作るための金もここからじゃないですか。」
「うっ…」
「良かったじゃないですか、貢献できて。これで名誉挽回ですよ?」
「…………どうも。」
『ろ、論破されてる…!』
花織、シャーロット、ケインは吹き出さないように必死で口を押さえた。
「ごめんください…ウチのジョセフちゃんが見たかったらしいわね。」
依頼者が玄関から図々しく中に入ってきた。
その風貌は、まさに社長夫人といった感じ。
化粧の臭いが彼女の周囲を包み込んでいた。
「ああ…はい。それでですね…」
「あら…なんなのこの汚い猫。」
「子供を作ってしまったらしく…」
「はあ?!聞いてないわよアタシ!大体可愛くないわこんなの!どうにかして頂戴!」
「……」
レドはため息をつく。富裕層とは皆こうなのか?辟易してしまう。
「はあ…もしかしてあの貧民たちのとこの猫なの?最悪…ウチのジョセフちゃんがこんなに汚物と…要らないわ、この猫。」
途端、周囲がピリつく。
全員揃って家庭環境に何かしら抱えている。そうなればこうなるのも必然である。
だが、最初に行動を起こしたのは、予想に反し、クレアだった。
「ふむ…良いんですね?私は貴方の旦那様と知り合いでして…まあ貴方が起こした問題行動をリークする事も出来るんですが…」
「な、何よ…」
「例えば貴方が夜に誰と何をしているかも、ね。」
「……!」
「厚かましい、と返すかもしれないですが、貴方方の資産なら飼うだけの余裕は十分あるでしょう。貴方の旦那様も懐の深いお方だ…その程度でいちいち何も言わない。…大体ね、おたくの猫が脱走したのも貴方の杜撰な管理状態からだと普段の状況からも分かっていますよ。」
「い、一体何処で…」
「人脈の広さが私のウリですから。」
「………分かったわよ。」
子供、親子含め、猫は運ばれて行った。
夜、レドはクレアと会話を交わした。
「あの婦人、本当に大事に育てるんですかね?」
「さあ?ウチに押し付けられるのが嫌だから言っただけだからね。なんとも言えないさ。」
「アレほど食ってかかったのは何故ですか?貴方にそれ程の思いやりがあるとも思えない。」
「うーん…まあ、ね。なんと言うか……私はね、それができるだけの才能と資格がありながら、それを放棄して害を為すだけの人間が嫌いなんだよ。」
「ああ…通りでシャーロットさんとだけ極端に会話が少なかった訳だ。」
「よく分かったね…気持ち悪いという感想をくれてやろう。…まあなんと言うかね…いくら葛藤や背景があったとは言え、アレだけの圧倒的な力を持ってして、無気力を貫いて介入し切らない彼女の姿勢が気に入らなかったのさ。だからここに入った。」
「じゃあ僕にアレほど興味を持っていたのも…」
「ああ、気持ち悪かったからだ。だってそうだろ?君だってアレだけの頭脳を放棄していたんだから。」
「はいはい弁解の余地もありません。」
こりゃ本心だな、とレドは呆れ返った。
待てよ、となれば。
「先輩は大好きって訳ですか?」
「ああ、その通り。彼は最高だ。矛盾の塊なのに全部押し倒そうとしてる。
救いたいと望んでおきながら他者が救われれる事を望んでいない。
正義の味方ではなく正義な自分の味方!
孤立が嫌いなのであって悪が嫌いなのではない!
最高で最悪のエゴイストさ!まさしく悪行を成していないだけの悪役!救済という形でしか行動できない悪魔だよ!」
まるで大衆に演説するかのように熱く語りだしたクレアを宥めるように、レドは彼女の言葉に割って入った。
「貴方は何を追っているんですか?」
途端に彼女の表情は冷徹なものへと変わる。
まずい、墓穴を掘ったか?
「うーん…まあまず、父と母は研究者だったんだよ。それもかなり優秀な。私も幼少期から頗る期待されてね。
だが突然だった。とある実験の成功がきっかけで政府に圧をかけられた。
だがどうしたと思う?両親は押し通したのさ。
彼らはよく語っていたよ。
『資格を持っているなら、それを全うするべきだ。資格とは、それ即ち使命なのだ。』とね。
それは後に魔装銃の簡略化理論として世間に知れ渡った。
結果として素人でも簡単にこれが扱える時代の到来だよ。
……まあ彼らのした事は割と一部じゃ批判されてる。
だけどね、私はそれを美しいと思ったんだ。いつか私も指名を全うして死にたいと。全うせずして生きるなど死以上の屈辱だと、ね。」
「で、その使命というのは?」
「好き勝手にgive&take。父親の望みだったからね。私もそうしたいと思ったのさ。世間がどう言おうが知ったことか。私はこの先も好き勝手にやらせてもらう。
「…成程。」
彼女の両親の最後がどう出会ったかは想像に難くない。
ただ、過去を語る彼女の瞳は、誰よりも輝いていた。
「…時にシュタイン氏。世界か私たちのどちらかを選べと言われたら…どちらにする?」
「…?そりゃ後者でしょう。」
「言ってくれると思ってたよ。……おや、もう寝るのかい?」
「ええ、おやすみなさい。」
レドは自分の部屋へと戻って行った。
『君の名は昨日からクレアだ。やるべき事はわかっているね?』
父親の声を思い出しながら、クレアは月を眺めていた。
その場で正座をするクレアを、レドは見下ろしながら問い詰める。
「えーっとその…アレだよ…裏のルートで…」
「思いっきりアウトじゃないですかそれ…」
「散々やってきたんだから今更だと思います」
「急に冷静になって開き直るな。」
顔色を一才変えず言い放つ。
「さーせんしたー!」
クレアは、地面に頭をぶつけんばかりの勢いで土下座した。
「……聞くつもりは無かったんですが、そもそもどうしてそこまで実験やらにこだわるんです?」
「あー…やっぱりそこ聞いちゃうかい?」
「嫌なら良いです。」
2人の会話に割って入るように、玄関の扉が開いた。
「よし、お前ら依頼だ。」
シャーロットはタバコを片手にソファに座った。
「毎回ドアを蹴飛ばすのなんとかならないんですか?」
レドは目を細めて言う。
「どーにもならんな、癖だ。」
「器物損壊で訴えられたらその言い訳は効かないですよ?」
「で、内容は何なんだい?シャーロット氏。」
「猫探しだ。」
若干緊迫していた空気は、途端に緩和された。否、むしろあまりの拍子抜け具合に緊迫さが増したとも言える。
「そこんとこお前ら得意だろ?頼むわ。俺と戦闘馬鹿2人にゃ無理だ。」
当然のように戦闘馬鹿と一蹴されたケインを、レドは気の毒に思った。
「やだね。」
しかし、その頼みをクレアは冷徹に返す。
「そりゃなんで?」
「つまらないからだよ。猫で実験してもそんなに良いことも無いし。シュレディンガーで十分だっての。」
「だからと言ってお前がいないとなあ…」
「じゃあそっくりの自動人形でも作るかい?数ヶ月はバレないと思うよ?鳴き声までは間に合わないし…私が録音するさ。大丈夫、案外演技は上手いんだぜ?活動停止しても、年齢によっては老衰って事にもできるさ。」
「はあ……相変わらずだなお前。興味ないことにはいっつもこれか。」
「はあ…まあやるよ。私も自分の欲望100%ってワケじゃないからね。」
クレアはそう言うと、自室の奥に眠っていた装置の電源を入れる。
「で、特徴は?」
「体重7キロのオス黒猫。ハートの鈴の首輪を付けてるらしい。こんなデザインだ。オーダーメイドたから被る事もないんだと。」
「…随分太ってるなぁ。よし、見つかった。」
装置に取り付けられたレーダーの中で、赤い点がチカチカと点滅する。
「マジか。流石だな。」
「ああ、国中に仕掛けた極小のカメラと感知器があるからね。」
「許可は?」
「されてない。」
「マジか。最低だな。」
シャーロットの態度は180度ひっくり返った。
「さて…あとは探すだけだ。シュタイン氏、行こう。」
「分かってますよ。」
レドはとうに支度を終え、玄関で靴を履き始めていた。
「……いた。」
クレアはその場でしゃがみ込み、ベンチであくびをする猫に銃口を向ける。
「実銃じゃないでしょうね?」
レドは小声で耳打ちする。
「いや、普通に実銃。」
「はい?」
「聞くところによると依頼者は富裕層らしいじゃないか。富裕層の猫は銃声どれほどビビるのか試してみたかったんだよ。」
「あのねぇ…もうちょっと計画性ってのを…」
「大丈夫大丈夫。捕まえてからするから。」
「そう言う問題なのかなあ…あ。」
ベンチにいた猫の姿が無い。
「まずいやらかした。」
クレアは全速力で猫を追跡する。
そう言えば彼女が走る姿は中々見ないな、と思いながらレドは彼女の背中を追った。
「はあ…はあ……よーやく捕まえた……」
クレアは猫にジリジリとにじり寄る。
「ん?待ってください、何か居ますよ。」
草むらの奥の影、猫以外の何かが…いや、他の猫がいる。
「なるほどねえ…子供作っちゃったのか。」
「あー…」
「君が母親か…見たところ危険区域周辺の猫だね……どうしたもんか。」
「取り敢えず持ち帰りましょう。」
「その前に子猫にも銃声を…」
「入れる籠ってこれで良いですか?」
「話を聞いて…ってそれは精魂叩いて作った圧縮収納BOX!待って!そこでトイレでもされたら…ああー終わった…ジョージ…さよなら…」
相変わらず制作物に名前をつける癖は治っていないらしい。
「……」
ブスッと拗ねた表情でクレアはソファに座っていた。
消毒処置の施された収納BOXは、部屋の隅に追いやられていた。
「あー…コーヒーいります?」
「あーなるほど謝らないと来たかい若人め!徹底抗戦だこんチキショー!」
「そもそもこれを作るための金もここからじゃないですか。」
「うっ…」
「良かったじゃないですか、貢献できて。これで名誉挽回ですよ?」
「…………どうも。」
『ろ、論破されてる…!』
花織、シャーロット、ケインは吹き出さないように必死で口を押さえた。
「ごめんください…ウチのジョセフちゃんが見たかったらしいわね。」
依頼者が玄関から図々しく中に入ってきた。
その風貌は、まさに社長夫人といった感じ。
化粧の臭いが彼女の周囲を包み込んでいた。
「ああ…はい。それでですね…」
「あら…なんなのこの汚い猫。」
「子供を作ってしまったらしく…」
「はあ?!聞いてないわよアタシ!大体可愛くないわこんなの!どうにかして頂戴!」
「……」
レドはため息をつく。富裕層とは皆こうなのか?辟易してしまう。
「はあ…もしかしてあの貧民たちのとこの猫なの?最悪…ウチのジョセフちゃんがこんなに汚物と…要らないわ、この猫。」
途端、周囲がピリつく。
全員揃って家庭環境に何かしら抱えている。そうなればこうなるのも必然である。
だが、最初に行動を起こしたのは、予想に反し、クレアだった。
「ふむ…良いんですね?私は貴方の旦那様と知り合いでして…まあ貴方が起こした問題行動をリークする事も出来るんですが…」
「な、何よ…」
「例えば貴方が夜に誰と何をしているかも、ね。」
「……!」
「厚かましい、と返すかもしれないですが、貴方方の資産なら飼うだけの余裕は十分あるでしょう。貴方の旦那様も懐の深いお方だ…その程度でいちいち何も言わない。…大体ね、おたくの猫が脱走したのも貴方の杜撰な管理状態からだと普段の状況からも分かっていますよ。」
「い、一体何処で…」
「人脈の広さが私のウリですから。」
「………分かったわよ。」
子供、親子含め、猫は運ばれて行った。
夜、レドはクレアと会話を交わした。
「あの婦人、本当に大事に育てるんですかね?」
「さあ?ウチに押し付けられるのが嫌だから言っただけだからね。なんとも言えないさ。」
「アレほど食ってかかったのは何故ですか?貴方にそれ程の思いやりがあるとも思えない。」
「うーん…まあ、ね。なんと言うか……私はね、それができるだけの才能と資格がありながら、それを放棄して害を為すだけの人間が嫌いなんだよ。」
「ああ…通りでシャーロットさんとだけ極端に会話が少なかった訳だ。」
「よく分かったね…気持ち悪いという感想をくれてやろう。…まあなんと言うかね…いくら葛藤や背景があったとは言え、アレだけの圧倒的な力を持ってして、無気力を貫いて介入し切らない彼女の姿勢が気に入らなかったのさ。だからここに入った。」
「じゃあ僕にアレほど興味を持っていたのも…」
「ああ、気持ち悪かったからだ。だってそうだろ?君だってアレだけの頭脳を放棄していたんだから。」
「はいはい弁解の余地もありません。」
こりゃ本心だな、とレドは呆れ返った。
待てよ、となれば。
「先輩は大好きって訳ですか?」
「ああ、その通り。彼は最高だ。矛盾の塊なのに全部押し倒そうとしてる。
救いたいと望んでおきながら他者が救われれる事を望んでいない。
正義の味方ではなく正義な自分の味方!
孤立が嫌いなのであって悪が嫌いなのではない!
最高で最悪のエゴイストさ!まさしく悪行を成していないだけの悪役!救済という形でしか行動できない悪魔だよ!」
まるで大衆に演説するかのように熱く語りだしたクレアを宥めるように、レドは彼女の言葉に割って入った。
「貴方は何を追っているんですか?」
途端に彼女の表情は冷徹なものへと変わる。
まずい、墓穴を掘ったか?
「うーん…まあまず、父と母は研究者だったんだよ。それもかなり優秀な。私も幼少期から頗る期待されてね。
だが突然だった。とある実験の成功がきっかけで政府に圧をかけられた。
だがどうしたと思う?両親は押し通したのさ。
彼らはよく語っていたよ。
『資格を持っているなら、それを全うするべきだ。資格とは、それ即ち使命なのだ。』とね。
それは後に魔装銃の簡略化理論として世間に知れ渡った。
結果として素人でも簡単にこれが扱える時代の到来だよ。
……まあ彼らのした事は割と一部じゃ批判されてる。
だけどね、私はそれを美しいと思ったんだ。いつか私も指名を全うして死にたいと。全うせずして生きるなど死以上の屈辱だと、ね。」
「で、その使命というのは?」
「好き勝手にgive&take。父親の望みだったからね。私もそうしたいと思ったのさ。世間がどう言おうが知ったことか。私はこの先も好き勝手にやらせてもらう。
「…成程。」
彼女の両親の最後がどう出会ったかは想像に難くない。
ただ、過去を語る彼女の瞳は、誰よりも輝いていた。
「…時にシュタイン氏。世界か私たちのどちらかを選べと言われたら…どちらにする?」
「…?そりゃ後者でしょう。」
「言ってくれると思ってたよ。……おや、もう寝るのかい?」
「ええ、おやすみなさい。」
レドは自分の部屋へと戻って行った。
『君の名は昨日からクレアだ。やるべき事はわかっているね?』
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