18 / 293
第1章 誘い
初夏のプレリュード 1
しおりを挟む
伝統的な書院造りの一室は深い闇に包まれていた。その部屋の中ほどで、小さな灯の玉が畳表の山を浮き立たせる。やがてその灯は意思を持つかのようにゆっくりと動きだし、古めかしい日本列島の地図が照らし出す。模造紙程度の大きさに貼り合わされた和紙に全て手描きで描かれたものだ。
灯は紀伊半島の一帯を照らし『奈良』、『京都』といった地名を確認するかのように舐めていく。地図には随所に呪術の一説のような文言が記され、何を意味するのか、幾何学的な線形が幾重にも描き重ねられている。何代にも渡って受け継がれてきた代物である事が、多様な筆跡や紙、墨、インクの劣化度合いから見て取れる。
灯はそのまま北上し、日本海に沿って北上していく。その蝋燭の灯が微かに揺らめくと、その灯に導かれていた男の手が止まる。
「鳥海山……」
男はその周辺に何かを感じ取っていた。そのポイントを更に絞り込むように意識を研ぎ澄ませていく。
灯がやや海岸線の方へと引き返すと、再び蝋燭の火が揺らめいた。
「ここは……ふふ、見つけましたよ」
****
「転移完了! 時空間安定を確認」
「ランディングギア、タッチダウン! ガントリーローダー固定」
異空間より帰還する<アマテラス>。
アランとティムは手慣れた手順で<アマテラス>を発着エリア(トランジッションカタパルト最奥部)の帰還ポートに帰港させた。
ガントリーローダーに載せられた<アマテラス>は、メンテナンスエリアに搬入される。
<アマテラス>上部のハッチカバーが開き、タラップが渡されると、開いたハッチの底から、昇降エレベーターがせり上がり、インナーノーツの五人をタラップまで送り届けた。
「んーっ!」と、密閉された船内から出た解放感からサニは大きく伸びをした。
五人はタラップを渡って下船していく。
「今日もお疲れさん!」
タラップの先にはアルベルトが部下を連れて待ち構えていた。
「あと、頼みまっせ!」アルベルトに軽くハイタッチして返すティム。彼らと入れ替わりで、メンテナンスチームが船内へ向かう。
「そうそう、コーゾーが呼んどったぞ。所長室だ」
アルベルトは再び下に下がる<アマテラス>の昇降エレベーターから言葉を投げかける。
「所長が? わかりました」
カミラの返答に手振りで返すアルベルトはそのまま船内へ姿を消した。
「えー、これから? お腹空いたのにぃ……」
時間は午後1時に差し掛かったところだ。サニは不満を漏らす。
「まあまあ、とにかく早く着替えて行きましょう」
カミラはサニを適当になだめると、そのままIN-PSID中枢区画の地上棟に直通するエレベーターへ向かう。「お先」と、ティムはサニの肩をポンと叩いてカミラに続き、その後ろに直人、アランも続く。
「あっ! 待ってよぉ~!」無情にも閉まり始めたエレベーターのドアに、サニは慌てて身をねじ込んだ。
南天に日は高らかに昇り、一層深みを増した樹々の青さに強いコントラストを生む。日本海から吹き付ける生暖かな潮風は、夏の到来を告げていた。
軽妙なチェロの音色が、青く澄み渡る空に浮かんでいく。日本海の波は穏やかにその上行と下降を繰り返す音階の軽妙なリズムに合わせ、ダンスを舞う。
バッハ作曲、無伴奏チェロ組曲第一番『プレリュード』。
藤川はチェロを手にして間もない頃から弾き続けている。
IN-PSID中枢区画の六角推台部最上階。所長室はその北西の一角にある。(藤川は、ほぼこの部屋で寝起きしている)隣接して南側が接客や会議に使用するラウンジと集会室、北側は藤川のラボがあり、東側はVIP宿泊施設などがある。インナーノーツらはそのチェロの音色に誘われるように所長室へと向かう。扉の前に彼らが到着するのとほぼ同時に、『プレリュード』の最後のコードが静かに消えた。
「インナーノーツ、参りました」カミラが扉脇のインターフォン越しに声をかける。
「どうぞ」という返事と同時に扉が開いた。
藤川はいそいそとチェロをスタンドに立て掛けながらインナーノーツらを迎え入れる。
「所長のチェロ、久しぶりです。相変わらずいい音ですね」カミラは率直な感想を述べる。
「いやいや、このところロクに弾けなかったのでな。年をとるとすぐに衰える……まあ座ってくれ」
その言葉に従い、カミラ達はテーブルを囲うように置かれた接客用の椅子に腰を下ろす。
藤川は机から古ぼけた数冊の冊子を持って、彼らの方へやって来ると、「秋のフェスなんだが、これをやろうかと思うんだが……」と、カミラ、直人、サニにそれぞれその冊子を渡す。
「ベートーヴェンのカルテット十五番……それにシューマンのピアノ五重奏?」渡されたのは、そのパート譜だ。ファーストバイオリンをカミラ、セカンドバイオリンを直人、ビオラをサニが受け取る。
カミラは10代の頃通っていたミッションスクールでバイオリンを学んでおり、確かな演奏技術を持つ。
直人も少年の頃を過ごした松本でバイオリンを習っており、特に母が熱心になって、教室に通わせた。亡くなった父親が趣味で弾いていたらしく、母は彼を音楽の方に進ませたかったようだ。直人が今使っているバイオリンも、父の形見と聞いている。
サニは元々音楽の素養があり、藤川の勧めでビオラを弾くようになった。ビオラに惚れ込んだのか、手にしてから一年ほど相当入れ込み、インナーノーツの訓練以外はほとんど楽器を弾く時間に当てていたらしい。
三人は、藤川とは年一回、秋に催される『IN-PSID カルチャーフェスタ』で室内楽を披露するなど、良き音楽仲間でもある。
藤川は、楽譜に関してはデータ化されたものは好まず、昔ながらの紙に印刷されたものを愛好しており、またそれは彼にとって大切なコレクションでもあった。五十年ほど前の復刻版であるが、出版物自体が骨董的価値のあるこの時代においては貴重な代物である。
「うむ。カルテットは三楽章。五重奏は一楽章をやろうと思う。……ピアノは真世が引き受けてくれた」
真世の名前に一瞬、反応する直人。
サニはそれを見過ごさない。
「忙しいだろうが……どうかね?」
「わたしは構いません。是非。あなた達は?」
「センパイもやる気満々のよーですし、ま、いいですよ」カミラの問いに空かさずサニが答える。
「おい、サニ! どういう……」サニの答えに直人は動揺を隠せない。
「ん? 駄目か? 他の曲でも良いんだが……」
所長は直人の動揺から、選曲が難しかったか? 好みではなかったか? と訝しんだ。
「い、いえ! 大丈夫です、やります!」直人は咄嗟に返事を返す。
「ありがとう。練習は折をみて声をかけるのでサラっておいてくれ」
「あのぉ……」
はい、とカミラが返事しかけたところで、ティムが不満そうに口を挟む。
「横からすんませんが、用って、こういう?」
「おっとこれは失敬……」
そういうと藤川は振り返り、机上のインターホンの受話器をとる。別の部屋を呼び出しているようだ。
「私だ。準備の方は? ……ん、わかった」短いやり取りの後、藤川は受話器を置いて向き直った。
「いいみたいだ」
新たなミッションの打ち合わせだろうか……インナーノーツは藤川の言葉をじっと待つ。
「みんな、お腹は減らしてきておるな?」
意外な藤川の言葉に、一同は拍子抜けした表情を返すのみであった。
灯は紀伊半島の一帯を照らし『奈良』、『京都』といった地名を確認するかのように舐めていく。地図には随所に呪術の一説のような文言が記され、何を意味するのか、幾何学的な線形が幾重にも描き重ねられている。何代にも渡って受け継がれてきた代物である事が、多様な筆跡や紙、墨、インクの劣化度合いから見て取れる。
灯はそのまま北上し、日本海に沿って北上していく。その蝋燭の灯が微かに揺らめくと、その灯に導かれていた男の手が止まる。
「鳥海山……」
男はその周辺に何かを感じ取っていた。そのポイントを更に絞り込むように意識を研ぎ澄ませていく。
灯がやや海岸線の方へと引き返すと、再び蝋燭の火が揺らめいた。
「ここは……ふふ、見つけましたよ」
****
「転移完了! 時空間安定を確認」
「ランディングギア、タッチダウン! ガントリーローダー固定」
異空間より帰還する<アマテラス>。
アランとティムは手慣れた手順で<アマテラス>を発着エリア(トランジッションカタパルト最奥部)の帰還ポートに帰港させた。
ガントリーローダーに載せられた<アマテラス>は、メンテナンスエリアに搬入される。
<アマテラス>上部のハッチカバーが開き、タラップが渡されると、開いたハッチの底から、昇降エレベーターがせり上がり、インナーノーツの五人をタラップまで送り届けた。
「んーっ!」と、密閉された船内から出た解放感からサニは大きく伸びをした。
五人はタラップを渡って下船していく。
「今日もお疲れさん!」
タラップの先にはアルベルトが部下を連れて待ち構えていた。
「あと、頼みまっせ!」アルベルトに軽くハイタッチして返すティム。彼らと入れ替わりで、メンテナンスチームが船内へ向かう。
「そうそう、コーゾーが呼んどったぞ。所長室だ」
アルベルトは再び下に下がる<アマテラス>の昇降エレベーターから言葉を投げかける。
「所長が? わかりました」
カミラの返答に手振りで返すアルベルトはそのまま船内へ姿を消した。
「えー、これから? お腹空いたのにぃ……」
時間は午後1時に差し掛かったところだ。サニは不満を漏らす。
「まあまあ、とにかく早く着替えて行きましょう」
カミラはサニを適当になだめると、そのままIN-PSID中枢区画の地上棟に直通するエレベーターへ向かう。「お先」と、ティムはサニの肩をポンと叩いてカミラに続き、その後ろに直人、アランも続く。
「あっ! 待ってよぉ~!」無情にも閉まり始めたエレベーターのドアに、サニは慌てて身をねじ込んだ。
南天に日は高らかに昇り、一層深みを増した樹々の青さに強いコントラストを生む。日本海から吹き付ける生暖かな潮風は、夏の到来を告げていた。
軽妙なチェロの音色が、青く澄み渡る空に浮かんでいく。日本海の波は穏やかにその上行と下降を繰り返す音階の軽妙なリズムに合わせ、ダンスを舞う。
バッハ作曲、無伴奏チェロ組曲第一番『プレリュード』。
藤川はチェロを手にして間もない頃から弾き続けている。
IN-PSID中枢区画の六角推台部最上階。所長室はその北西の一角にある。(藤川は、ほぼこの部屋で寝起きしている)隣接して南側が接客や会議に使用するラウンジと集会室、北側は藤川のラボがあり、東側はVIP宿泊施設などがある。インナーノーツらはそのチェロの音色に誘われるように所長室へと向かう。扉の前に彼らが到着するのとほぼ同時に、『プレリュード』の最後のコードが静かに消えた。
「インナーノーツ、参りました」カミラが扉脇のインターフォン越しに声をかける。
「どうぞ」という返事と同時に扉が開いた。
藤川はいそいそとチェロをスタンドに立て掛けながらインナーノーツらを迎え入れる。
「所長のチェロ、久しぶりです。相変わらずいい音ですね」カミラは率直な感想を述べる。
「いやいや、このところロクに弾けなかったのでな。年をとるとすぐに衰える……まあ座ってくれ」
その言葉に従い、カミラ達はテーブルを囲うように置かれた接客用の椅子に腰を下ろす。
藤川は机から古ぼけた数冊の冊子を持って、彼らの方へやって来ると、「秋のフェスなんだが、これをやろうかと思うんだが……」と、カミラ、直人、サニにそれぞれその冊子を渡す。
「ベートーヴェンのカルテット十五番……それにシューマンのピアノ五重奏?」渡されたのは、そのパート譜だ。ファーストバイオリンをカミラ、セカンドバイオリンを直人、ビオラをサニが受け取る。
カミラは10代の頃通っていたミッションスクールでバイオリンを学んでおり、確かな演奏技術を持つ。
直人も少年の頃を過ごした松本でバイオリンを習っており、特に母が熱心になって、教室に通わせた。亡くなった父親が趣味で弾いていたらしく、母は彼を音楽の方に進ませたかったようだ。直人が今使っているバイオリンも、父の形見と聞いている。
サニは元々音楽の素養があり、藤川の勧めでビオラを弾くようになった。ビオラに惚れ込んだのか、手にしてから一年ほど相当入れ込み、インナーノーツの訓練以外はほとんど楽器を弾く時間に当てていたらしい。
三人は、藤川とは年一回、秋に催される『IN-PSID カルチャーフェスタ』で室内楽を披露するなど、良き音楽仲間でもある。
藤川は、楽譜に関してはデータ化されたものは好まず、昔ながらの紙に印刷されたものを愛好しており、またそれは彼にとって大切なコレクションでもあった。五十年ほど前の復刻版であるが、出版物自体が骨董的価値のあるこの時代においては貴重な代物である。
「うむ。カルテットは三楽章。五重奏は一楽章をやろうと思う。……ピアノは真世が引き受けてくれた」
真世の名前に一瞬、反応する直人。
サニはそれを見過ごさない。
「忙しいだろうが……どうかね?」
「わたしは構いません。是非。あなた達は?」
「センパイもやる気満々のよーですし、ま、いいですよ」カミラの問いに空かさずサニが答える。
「おい、サニ! どういう……」サニの答えに直人は動揺を隠せない。
「ん? 駄目か? 他の曲でも良いんだが……」
所長は直人の動揺から、選曲が難しかったか? 好みではなかったか? と訝しんだ。
「い、いえ! 大丈夫です、やります!」直人は咄嗟に返事を返す。
「ありがとう。練習は折をみて声をかけるのでサラっておいてくれ」
「あのぉ……」
はい、とカミラが返事しかけたところで、ティムが不満そうに口を挟む。
「横からすんませんが、用って、こういう?」
「おっとこれは失敬……」
そういうと藤川は振り返り、机上のインターホンの受話器をとる。別の部屋を呼び出しているようだ。
「私だ。準備の方は? ……ん、わかった」短いやり取りの後、藤川は受話器を置いて向き直った。
「いいみたいだ」
新たなミッションの打ち合わせだろうか……インナーノーツは藤川の言葉をじっと待つ。
「みんな、お腹は減らしてきておるな?」
意外な藤川の言葉に、一同は拍子抜けした表情を返すのみであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】結婚式の隣の席
山田森湖
恋愛
親友の結婚式、隣の席に座ったのは——かつて同じ人を想っていた男性だった。
ふとした共感から始まった、ふたりの一夜とその先の関係。
「幸せになってやろう」
過去の想いを超えて、新たな恋に踏み出すラブストーリー。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる