ヴィーナスリング

ノドカ

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3章 プライベートランド

3-4

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 おじいちゃんの研究所の敷地に設置されているプライベートランドは、周囲3kmでそのほとんどが森林だった。森林ステージでのパペット戦はパペ部でもよく行っているのでそれほど不安はなかったのだけど、だれもが ”本当に普通の森林か? ”と不安に思っていた。
 「いい? 私と小町で前に出ながら索敵をするから虎之介、あんたは私達のカバーってことでいいわね? 」
 「ああ、問題ない、イノシシが開いた道を追いかけるよ」
 「あんたねえ! まったく、サポートしっかりね。じゃあ、小町、行くわよ! 」
 チームリーダーは自然と美咲になったようだね。小町が何か言ってくるかと思ったけど、美咲がやるなら文句はないようだ。
 3人はハンガーから出るとロザリーの検索をしながら、森のなかを進んでいった。ロザリーはすぐに発見できたけど、この森を知り尽くしているからか、美咲たちから一定間隔で逃げていた。
 「なんで? 一向に追いつけないのだけど、向こうのパペットも同じ仕様よね? 」
 小町は時折ダッシュをしかけて距離を詰めようとするが、ロザリーはうまく動きを合わせて距離を保っていた。
 「おかしいわよね。いくらなんでもこっちの動きを読み過ぎ......」
 美咲は小町とダッシュの感覚について話していたが、エンジェル ”タク” の攻撃アラートに緊急回避をしていた。
 「何? 美咲! 大丈夫? 」
 美咲の動きに呼応して小町もすぐに回避行動を取ったけど、弾丸はおろか、石1つ飛んでこなかった。
 「ごめん、小町。タクが間違ったみたい。今のところ周囲に敵兵なし、このまま進むわ」
 「タクがミス? 美咲、ちょっと待って。虎之介、何か見えた? 」
 「いや、コテツも何もつかめていない。ただ、森全体の温度が上がっているのが気になるな、この辺、この季節にこんなに暑くなるかな? 」
 コテツが示す温度は30度を超えていた、この地域は夏場でも25度を上回ることはないのに。ただ、ランド内での温度は特に問題にならない、美咲たちはあくまでもデータでしかないし、温度をリアルに感じることはない。それに、リアルの美咲たちが控えている部屋はエアコンがかかっているしね。
 「わかった、一旦停止、各パペットの状況確認を」
 「問題無しよ」
 「こっちもOKだ」
 美咲たちはまた進み始める。時折、ロザリーの反応が見えたりするが機体を確認することはできなかった。
 「全くぅ。イライラする、なんで逃げてばかりなの? 時間稼ぎ? すでに5分経過しているけど、最初から逃げまわる戦法? それならステルス装備でおとなしくしていればいいのに、こんなにちょろちょろ動くのを見せるなんて......みんな止まって。一向にロザリーを捕まえられない。やっぱりおかしいわね。タクどう思う? 」
 「これは、恐らくプライベートランドの特性が関係していそうじゃの、森であろうとも、ここまでレーダーが使い物にならないのはおかしい。何か、レーダーを使えなくしているに違いない。それなら......コテツ殿、ムックン殿、こちらのレーダーと合わせて共同で検索してみたいのじゃが合わせてもらえるだろうか? 」 
 タクの提案は3台のパペットによるレーダー波の波長を合わせての一斉照射(パッシブ)だった。敵に位置を知られてしまうが、ここまで来ると早めに見つけないと時間切れになってしまう。
 「美咲、レーダー照射後は敵の攻撃が来るじゃろうから、用意しておくように、では始めるぞい」
 パッシブ・レーダーは3台のパペットによって波長が増幅されプライベートエリア内にまんべんなく行き渡り、4つのパペット反応を掴んだ。
 「4台のパペットがいるわよ! どれがロザリー? 」
 「美咲、落ち着け、まずは場所移動だ、4つの反応のうち、0時にいるパペットに向けて一旦移動しよう! 」
 「わ、わかったわ、虎之介そっちで解析頼める? 私と小町で突っ込むから」
 「ああ、わかってる、こっちのカバーはいらないから、ぶっ飛ばしてこい! 」
 美咲と小町はダッシュで前方にある反応に向かって突撃していく、虎之介はコテツから操作を預かると、解析のために通常移動で二人を追いかけた。
 


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