おっさん、ドローン回収屋をはじめる

ノドカ

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第3章 T50という小悪魔

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 株式会社ドリームキャッチ。社長の他家躁率いるドローン回収屋であるが、回収屋とは名ばかりのドローンに関して何でもやる裏稼業が噂されている会社だ。

 裏稼業と言っても人を殺すようなことはせず、不正ドローンの流通、不正改造などが噂されている。ただし、ドローンの不正改造等は国の機関が目を光らせているのだが、登録しないで流注している個体も多くあるため取締はいたちごっこになっている。

 ドリームキャッチはメンテナンスガレージも表家業の割には立派であり、建物内部が見えない構造もあって怪しい噂は絶えない。

 フィーがドローンに乗って到着したのは午前9時。大抵の会社ならガレージ含め人の動きがあるものだが、ドリームキャッチはまったく動きがない。

「いいわねえ、儲かってる会社は出勤時間も自由なのかな? おっさんのとことは大違い」 
「うっさいわ、うちは俺が起きたら始業時間なんだよ。朝6時だろうが5時だろうがね、電話で起こされたらそこから開始」
「うわぁ、ブラックすぎて笑えない」


 フィーの言語機能はよどがチューニングしていることもあって、よどがもうひとり増えた感じがする。いよいよウチの会社も世代交代だろうか。

「世代交代もなにもそんな会社いらないわよ」
 フィーの動きを自分と一緒にモニターしてるよど様からありがたいお言葉。自分、この会社でまだまだ働けそうです。

 フィーは高度を保って見張っているが、バッテリーのこともあり、近くの木に上手に着陸。モーターを止め長時間モニタリングモードにはいった。

「おっさん、暇だからなんか芸してよ」
「フィーさん? 年上に芸しろとか、そんなふざけた態度とってると電源止めるぞ」
「いやぁ怖い! いたいけなフィーちゃんになんてこと言うの?」

 フィーのふざけた会話はA.iとして間違った方向に成長してる気もするが、スルーすることにする。教育的に指導してもいいが、最近は若い奴らに教えるとか時代遅れらしいのでほっとくことにする。
「ドリームキャッチの他家躁を目視で確認」
「出たでた。あいつ普段は着たことがない作業服だな、ん? 持っているのはドローン? 怪しいな、不正ドローンを売りに行くのかもしれない、後を追ってくれ」

「了解」


 フィーはモーターを静音モードで起動させると他家躁が運転する自動車を追尾する。追尾と行っても上空からであり、他のドローンも多数飛んでいるので気づかれることはほぼない。

 他家躁は自社を出ると市街地を抜け、山道を入っていく。そこはこの地域の富豪が持つ山の一つだった。

「フィー、上空の飛行許可は取っていない、一旦そこで待機だ」
「えぇ、そんなことしてたら逃げられちゃうよ」
「そうよ、フィー上空が飛行禁止なら低空モード+森林飛行モードで追跡開始よ」

 この時代、ドローンの飛行には自由がほぼなくなった。自動車と同じで台数が増えたから。高さが決められて自由に飛べた時代はとっくに終わり、飛ぶ際には私有地を含め許可がいる。

 ドローン回収をしていると私有地以外の飛行許可は年単位で申し込めるのだが、私有地の許可は警察、国家ではないとそうそう降りない。

 ではどうするか? 自動車と同じことをする。地上から2,3mのところを飛ぶ。飛行だろ? と思われるかもしれないが、自動車と同じ高さなので制限は実はない。もちろん、私有地に入る場合は高さ以前の問題で不法侵入なのだが。

「怒られるのはおっさんだから。フィー、逃したらだめよ!」
 よどさん? 年はとっても前科は取りたくないんですがね......

 おっさんの戯言は聞いてもくれず、フィーは他家躁を追いかける。山道とはいえ、富豪の別荘があるようで舗装がしっかりなされている。いくつかのコーナーもガードレールが設置され、ラリーで使えば楽しそうな道になっている。後でそっときてみよう。


 他家躁が運転する車は超がつくほど安全運転であり、10分運転しても別荘に着く気配はなかった。自動運転させているのかもしれないが、私有地でこの速度は遅すぎる。

「まさかとは思うけど、フィー、ドライバーを確認して!」

 よどの勘はよく当たる。今回も気づけば運転していたはずの他家躁がいなくなり、ドライバーなしで荷物運搬モードで自動車は走行していた。

「やられたぁ! こっちの尾行に気づいてたわね。でも、どこで?」

 山道に入るまでは他家躁が運転していたのは確認済み。では山道に入ったところで降りた? 

「いやいや、フィーが目を話したのは数分、降りたなら熱センサーで気づくわよ」
「よどが言うのももっともだ、だが、他家躁はいなくなった」


 よどと周辺の地図をチェックし始めたとき、フィーが山道をちょっと入ったところで不審な熱反応を見つけた。

「森の一部からモーターらしき熱源を発見、目視で確認します」

 山道を少し入ると左手に木が倒れるように動く仕組みがあり、木が動くと道路が現れる仕組みだった。
「サンダーバードの見過ぎじゃない? なにこれ、こっちが正規ルートってことかな、いいわ、フィーこっちの道路を進んでみましょう」

 フィーが木を避けて道路に沿って進むとすぐに別荘が現れた。

 別荘は周りを木で囲まれ、別荘の上空には衛星からも発見されづらいであろうネットと木材を匠に使ったカモフラージュが施されていた。

「これじゃ、今まで誰にも見つからないわけね。それに別荘の横にあるガレージ、あやしいわね。フィー? 気付かれないようにガレージを覗ける?」
「おいおい、そこまでやったらやばいって」
「何いってんの、おっさん、不正ドローン見つけたら報奨金でるのよ?」
「だからってなあ」


 不正改造されたドローンは通報者に報奨金がでる。不正ドローンの多くが盗難された後に不正改造されることもあって、罰則も厳しい。だが、盗難ドローンは機体を部品にばらし、複数の機体で組み直すこともあって見つけるのが難しくなっている。

 別荘にあるガレージはうちのガレージはもとより、研究所レベルの大きさだし、この地域の不正ドローンの一大製造工場の可能性が高い。

「フィー慎重にね」
 フィーがガレージに近づき、窓から中をカメラでチェックすると多数のドローンの部品が整然と並んでいた。
「当たりね。警察に通報するわ、フィーは証拠映像をさらに録画して」

 フィーが赤外線カメラも利用して撮影を始めたところで通信が途絶えた












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