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しおりを挟む考えることも面倒だからそのまま、項垂れたまま思考を放棄してしまいたかった。
しかし、それを邪魔するのが呼びかけてくる言葉と、鳴りやまないノック音だ。
「……はあ~。もう本当に面倒」
そう一言呟き、何とか足に力を入れ再び立ち上がる。
とりあえず着替えよ。寝巻のままだったことに気づいたウェンディはゆっくりと着替えを始めることにした。
***
それからも終始やむことのない声とノックに、ウェンディはロランダに来てから一番大きなため息をついた。
そして、再びドアを開ける。
「……ああ、領主様!どうか我々に食料をお恵みくださいっ」
そう集まった者たちが口々にウェンディに訴えかける。戦争にまきまれたこの街に住んでいた民間人であろう。
皆薄汚れていて、体も痩せ細っていた。
『くいっ』
ウェンディのワンピースの裾が引っ張られる。
足元でそれを引っ張ったのはあの少女だ。
「りょうしゅ様。また、ごはんください」
はぁ、犯人はこの子だな。
きっと私から食べ物をもらったことを親や周りの大人たちに伝えたのだろう。
ウェンディは頭が痛くなってきた。
こんなに面倒なことは久々なのだ。
「……みな、並んでください。順番にお渡ししますから」
そう言うと、感嘆の声が上がる。
パンやチーズを渡すと涙を流しながら、お礼を言う赤子を抱いた母親。
我慢できずにすぐに口をつける子供たち。勢いよく口に含んだせいかむせる老人。
「りょうしゅ様!ありがとうございますっ」
歯をみせ破顔する少女の笑顔は、出会った中で一番嬉しそうな表情だった。
***
しかし、毎日この調子で住民がきて、食料をねだられればあっという間に底をついてしまうろう。
このままではウェンディも空腹で面倒なことになってしまう。
ああ、彼らのことを考えるのは面倒だ。
しかし一番面倒なのは自分が空腹になることだ。
彼らが自分たちで食料を調達できるようにしなければ、このままでは毎日面倒なことに悩まされてしまう。
どうにか、どうにか方法を考えなければ。
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