彼と過ごした 一年間

栄吉

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バレンタイン(1)

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今日はバレンタインだ

今日学校が休みで良かったと思う

僕たちの学校は、三年生はニ月に入ると卒業までは自由登校だ


進路が決まっていない生徒は登校することもあるが
決まった生徒はほぼ登校しない

だから、僕も伊集院君も卒業まで登校しない

もし、、今日学校に登校したら僕は伊集院君が女の子たちからチョコレートを貰うのをみることになっただろう

そしたら、きっと僕は少し悲しい思いをする

そんなことを考えていたら、ドアフォンがなった

伊集院君だった

「どうしたの?」

僕はドアを開けながら聞いた

「話があるんだ」

「入って」

「ハイ、これ」

伊集院君が渡してくれたものは可愛くラッピングされたチョコレートだった

まさか伊集院君からチョコレート貰えるとは思わなかった

「ありがとう、ところで話って?」

「ずっと、陽向に言おうと思ってたんだけど、なかなか言えなかった」

「何?」

「僕の卒業後について、、」

「?」

「陽向の受験が終わったら言おうと思っていたらこんなギリギリになっちゃって」

「うん」

「僕、卒業後は海外に行かなければならなくて」

行かなければならない

そんな言い方をすると言うことは自分の意思ではないのかもしれない

「父親の事業を継がなければならないから」

「そうなんだね」

伊集院君は卒業したら、この街を離れるだろうとは思っていた

でも、まさか、海外だなんて

少し予想外だった








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