禁忌魔術師

bokuzyuu

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俺のことを憧れと言ってくれていた、セリナにあんな姿見せてしまったな、、、



セリナにあの魔術を見られたのは八年前のことだったな、、、。

追放された帰り道、俺は人生で最初で最後の禁忌魔術を使ったあの日のことを思い出していた。



魔術の名家で生まれたことから、将来優秀な魔術師になることを期待され、父から朝から晩まで厳しい魔術指導を受ける日々が続いていた




そんなある日、、、とうとう父の指導に耐えかねた俺は、すきを見て近くの街へと逃だした。

そして、なんとか街へとついたが、やることもないので歩いていると、後ろから男の叫び声が聞こえてきた



「盗賊だあーーー!!」



後ろを振り返ると、ローブをかぶった男がこちらの方向へと走ってきていた。そして、ものすごいスピードで俺の隣を駆け抜けていった。そして、俺を通り越した数秒後、ローブの男の一人が,目の前を歩いていた老婆とぶつかった。



「チッ、邪魔なんだよ」

とローブの男は老婆にそう言って、すぐに走り去っていってしまった。



倒れ込んだ老婆に俺はすぐに近づき、問いかけた。



「大丈夫か!婆さん!」

すると、老婆は立ち上がりながら、答えた。



「大丈夫だよ、、心配してくれてありがとね、坊や。これくらい、、、あたたた、、」

しかし、老婆はまた地面に腰をつけてしまった。




「婆さん、今から俺が、回復魔術をかけるから安心してくれ」

と言うと、老婆は驚いた声で言ってくれた。



「ありがとうね坊や、その年で、回復魔術を使うことができるだなんて、凄いね、、さぞ頑張ったんだろうね、、」




その何気ない一言を聞いた俺は、涙が出そうになっていた。両親にずっと言って欲しかった「凄い」や「頑張った」を初めて言ってもらえた。その嬉しさが俺に力た。更に今までは「使わされる魔術」であったが、今は「誰かのために使う魔術」という初めての経験がまた更に力をくれた。

そして、この二つの要因が合わさり、その瞬間に膨大な力を俺は体感していた。



しかし、この膨大の力こそがこの事件の引き金だった、、、



回復魔術を発動した俺と、老婆を見たこともない巨大な緑の魔法陣が取り囲んだ。

そして、その魔法陣から、この世のものとは思えない、巨大な美しい花が現れ、老婆に向けて一滴の水を垂らした。すると老婆の傷や痛みを引かせるどころか、肉体が若返り始め、魔法陣が消えた頃には、老婆は美しい二十歳ぐらいの女性になっていた。




自身の体を見た元老婆は「おや、、、まあ、、」と状況を理解できていなかった。




俺も状況が全く理解ができていなかった。その時俺を襲ったのは、紛れもなく恐怖心だった。

そして、訳が分からなくなった俺は、元老婆に「すいません!」と言いながら、深く頭を下げ、逃げるようにその場を後にしてしまった。




走り続けて、ついたのは家の大きな門の前だった。

そして父は門の前に立っている俺に気づき「お前っ、、」と言いながらすぐに近づいてきた。

きっと魔術の訓練の途中に抜け出したことを怒っているのであろう。



しかし、父は青ざめていた俺の顔を見て、すぐに心配そうな表情に変わり言った。



「なんだ、体調が悪かったのか、、?すぐに家に入って安め」

と言い、俺を担ぎベットへと連れて行ってくれた。



ベットに寝かされた俺は、様々な感情が入り乱れる中だったが、あの膨大な魔術を発動させた疲れからか,すぐに眠ってしまった。



数時間後、目覚めた俺は、玄関の方向から父と母が誰かと話す大きな声が聞こえてきた。



「うちの息子が禁忌魔術を、、、まだあの子は八歳ですよ!?」



「そうだ、、、!これはきっと何かの間違えだ!」




そう言っている両親を押しのけ、5人の重装備を身に着けている兵士が家に押し入り、その様子を見ていた俺の前に近づいてきた。

そして先頭にいた中年の兵士が俺を見て言った。



「君が、ヘスラート・ルシア君で間違えないかな」

急に投げかけられた質問に、直感的に俺は、「はい、、、」と答えてしまった。



その瞬間中年の兵士は、突然俺の手に鎖をつけ、家に響き渡る声で言った。



「この者を、『大罪・禁忌魔術使用罪』を犯したとして、城へと連行する。」

それを聞いた瞬間、父は二人の兵士に取り押さえられながらも必死に抵抗し、母は泣き崩れていた。



そんな、二人の両親を見た俺は、頭が真っ白になりながらも城へと向かう馬車へと乗せられた。

その時の両親の「ルシア、ルシア!!」という叫び声は今も忘れられない。



城に連れてこられた俺は、直ぐ様に、地下牢と思われる薄暗い部屋に入れられた。

そこで俺は、一ヶ月ほど過ごすことになるのであった。食事は、黒がかったパンなど、非衛生的なものが多く与えられ、そして何より、これからどうなってしまうのかという恐怖心が日々襲ってきていた。




牢屋の中で、感覚もない一日が過ぎるたびに、自分が犯した罪の重さを実感していた。

そして、一ヶ月が経過した時、いつも一人でご飯を運びに来るはずの兵士が二人組みでやって来た。

すると一人の男が牢の鍵を開け、俺に向かって言った。



「出ろ」と、、、



その言葉に、俺は体を震えさせながらも応じ、兵士の後をついて行った。

着いた先は、この国の王様が待つ部屋だった。そして王様は、六十歳ぐらいの太った体型で、「王様」というイメージどうりの姿だった。



そして、王様の前に俺は突き出された。



「こいつが、禁忌魔術を使ったのか、まだ少年だというのに、、、なんと恐ろしい。」

王様は自前の白いひげを触りながら言い、その後、震えた俺を見て再び口を開いた。




「そう震えんでも良い、私の言うことを聞けば、お前を両親の元へかえしてやろう」

、、、!その言葉に俺の震えは、少し収まった。




「そしてお前の出所の条件、それは、、、!」

と王様に提示された条件は、以下の三つであった。



・禁忌魔術をこれから一生涯使わないこと。もし使った場合、この国からの追放、又は処刑とする。



・国からの要請があった場合、必ずそれに素直に応じること。



・禁忌魔術師であることを他人に口外しないこと。



この二つ目の条件こそが、今回の勇者パーティーに参加させられた理由だった。



その頃の俺は、その条件にすぐに首を縦に振った。

すると、王様は約束通りすぐに俺を両親の元へ返してくれた。



釈放された俺を待つかのように両親は、城の前で立って待っていてくれた。

その時俺は、「怒られる」、「そもそも受け入れてくれるのか」と様々な感情が、脳を駆け回る中、泣きながら両親のもとへと走った。


走ってきた俺を母は抱きしめてくれて、父は母ごと俺を抱きしめてくれた。そんな二人が最初に発した言葉がこれだった。



「ごめんね」と「ごめんな」

そう何度も言いながら、両親はひたすらに俺を抱きしめてくれた。



その後、久しぶりの我が家に帰ることができ、いつも通りの日常を送ることができるようになった。

しかし、いつも通りでないことが一つだけあった。それは、「魔術の訓練」がなくなっていたことだ。



魔術訓練がなくなった日々を過ごし始め、半年がたった頃だった、夕食時に父が俺に真剣な顔で話しかけてきた。



「シルア、、気が向いたらでいい、、また少しずつ、魔術の訓練始めてみないか、、?」

という問い掛けに俺は応じ、そして数日後に半年ぶりの魔術訓練をすることになった。



しかし、、その訓練で、俺は全く魔術を使うことができなかった。「トラウマ」というものだろうか。

そして、魔術訓練を一週間ほど続けたが、結局一つの魔術も使えずに終わってしまった。



そんなある日の夜だった、俺はふと目を覚ました。すると、リビングから両親が話す声が聞こえてきた。俺の話だった、、、きっと魔術を使えず呆れられているのであろう、、、



当然だ。魔術の名家であるこの家の一人息子が魔術を使えないということであれば、大問題というレベルの話ではないのだ、、、





そして、俺は両親の話を俺は、恐る恐る耳を傾けた。



「やはり、シルアが、魔術を再び使うことは難しそうだな、、、」

「そうですか、、、、」




少し黙り込んだ母が、次に発した言葉は予想外のものだった。




「私、シルアに魔術以外の勉強を教えてみようと思うんです」

「私達があの子を、一人で立派に生きていけるように育てるには、魔術しかないと思っていましたが、きっと他の道もあると思うんです、、、!」



そう言った母に対して、父は笑顔で答えた。




「そうだな、、、そうだよな!俺たちが別の道を作って上げれば良いんだよな。明日知り合いの教師を当たってみるよ」




その二人のやり取りを聞いていた俺は目から、涙が溢れていた。

しかし、魔術の名家であるこの家にとって、その選択は、苦渋の決断だろう、、、。

その時俺は心のなかで誓った、、、、



なんとしても、魔術を再び使えるようになると、、、




それから、八年の月日が立ち、大半の魔術は人並みに使えるようにはなっていた。

しかしトラウマの元凶である回復魔術はまだ使えずにいた。



と昔のことを思い出しながら歩いていると、立派な城の前についていた。

ここで今から、王様に、勇者に追放されたことを告げなければならない。

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