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序章
2.壊れたマチ
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大学の正門を出たところで、リョウはヨッシーと別れた。リョウは駐輪場に停めてあった原付バイクにまたがり、急いでアパートに戻った。
リョウの部屋は、鉄筋コンクリート造3階建ての2階にある。駆け足で鉄製の階段を駆け上がりながら、デニムのポケットから鍵を取り出した。ドアの前に立つと、ガチャガチャと派手な音をたてて鍵を開けた。8畳ワンルームの部屋の中は、汗と煙草と弁当の殻が醸し出す、据えたような匂いが漂っていた。男子学生の部屋は大なり小なりどこも同じような匂いがするものだ。
リョウは背負っていたデイパックをベッドの上に投げ、すぐに北向きの窓を半分だけ開けた。外からは夏の匂いがする新鮮な空気が流れ込んできた。昨夜までの雨のせいで、適度な湿気が混じり、ほのかに甘い香りがした。リョウは小さく深呼吸して、部屋の真ん中にある炬燵兼テーブルの上に置いてあるノートパソコンに目をやった。
パソコンはスリープ状態になっている。リョウはタッチパッドの表面を軽くなでた。カリカリという乾いた音とともに、14インチのディスプレーに3Dの地図画面が浮かび上がった。
「うそだろう…」
リョウが作っていた3つ目の街は、これまでの2つと同様に、無残な形で荒れ果てていた。画面上部には「リョウⅢは破綻しました。もう一度、最初からゲームをやり直して下さい」というテロップが、台風や地震のときのテレビ画面のように右から左へスクロールしていた。
リョウの部屋は、鉄筋コンクリート造3階建ての2階にある。駆け足で鉄製の階段を駆け上がりながら、デニムのポケットから鍵を取り出した。ドアの前に立つと、ガチャガチャと派手な音をたてて鍵を開けた。8畳ワンルームの部屋の中は、汗と煙草と弁当の殻が醸し出す、据えたような匂いが漂っていた。男子学生の部屋は大なり小なりどこも同じような匂いがするものだ。
リョウは背負っていたデイパックをベッドの上に投げ、すぐに北向きの窓を半分だけ開けた。外からは夏の匂いがする新鮮な空気が流れ込んできた。昨夜までの雨のせいで、適度な湿気が混じり、ほのかに甘い香りがした。リョウは小さく深呼吸して、部屋の真ん中にある炬燵兼テーブルの上に置いてあるノートパソコンに目をやった。
パソコンはスリープ状態になっている。リョウはタッチパッドの表面を軽くなでた。カリカリという乾いた音とともに、14インチのディスプレーに3Dの地図画面が浮かび上がった。
「うそだろう…」
リョウが作っていた3つ目の街は、これまでの2つと同様に、無残な形で荒れ果てていた。画面上部には「リョウⅢは破綻しました。もう一度、最初からゲームをやり直して下さい」というテロップが、台風や地震のときのテレビ画面のように右から左へスクロールしていた。
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