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理由
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俺はリック。
木こりだ。
俺は、いつものように木を切って薪を作っていた。
市場に売るためだ。
両親は1年前に流行り病で亡くなってしまい今はひっそりと山小屋のような家で独り暮らしだ。
「ふー、今日はこの位にするか」
俺ははあらかた木を薪にすると、市場に売りに行くために縄で一纏めにし、担ぐ。
さぁ行くかと歩きだそうとした時だった。
ガンっという音が響き、頭に激痛が走った。
俺はその場にうずくまり頭を押さえる。
ヌルッと何か液体が頭から出てきた。
なんだと思い手を見ると、血が付いていてた。
どうやら頭を殴られたらしい…なぜ殴られたのか分からず混乱していると、男の声がしてきた。
「こいつで本当に癒しの水が手に入るのか?」
「あぁ、こいつを痛め付けて聖なる泉のところに行き、虫の息だから癒しの水を下さいと言えばくれるだろう」
「貰った後はどうする?」
「もちろん、高く売り付ける」
声からしておそらく大人の男達。
3人はいる。
俺はこのままじゃヤバイと感じて、逃げようとて体を起こすが頭を殴られていたので体に力が入らず、すぐにその場に倒れこんでしまった。
「おっと、逃げられる前にやらないとな」
俺は殴られ蹴られ踏みつけられた。
どのくらいたったのか分からなかったが、意識が朦朧として体のあっちこっちが痛い。
「このくらいでいいだろう、こいつが死ぬ前に早く行こうぜ」
そういえば聖なる泉の所に行くとか言ってたなと朦朧としている意識のなかで思い出した。
癒しの水を手に入っても俺には使わずに捨てられ俺は死ぬんだろうなと考えていた。
まぁそれも運命か……と考えながら俺は意識を手放した。
「次に目を覚ましたら俺はここにいた」
「そう……」
アビィは悲しそうにうつむいた。
「酷いやつらね……リック、助けてくれたアビィに感謝しなさいよね」
「あぁ、本当にありがとうな、助かったよ」
リックはアビィとアルテッサに笑いかけお礼を言う。
その笑顔になんの曇りもなく純粋だった。
「不思議な人ね……ねぇリック、あなたは初めてこの聖域に入った人よ……ここにはなんでもある……あなたを癒し、傷を治した水に力をつける水、どの水も高く売れるしさっきの人達の仕返しも出来る……リック、あなたは……」
「そんなことしないさ、俺はたとえ、どの水も貰っても売らないし、ましてはいらない……仕返しもしない、まぁちょっとは怒ってはいるけどな」
「怒ってるなら仕返しとかしないの?」
「怒ってはいるけど仕返しまではしないさ……あいつらにいちいち怒っては仕返しとかしてたらきりがないし」
アビィはリックが言った事に驚いた。
なんて人だろうか……こんな人間は初めて会った。
この聖域に来る前も、この聖域に来てからもそんな人間はリックが初めてだった。
「優しいのね……本当に……」
「両親にも言われたよ、お前は優しすぎるってね」
「本当にビックリするくらい純粋で優しいのね……でもアビィ、これからどうするの? リックを聖域に入れたから、リックがもしかしたら聖域から出られなくなってるかもよ?」
「え……俺、ここから出られないのか?」
「あくまで可能性があるってことよ、今までこの聖域に入った人間はアビィ以外いないのよ」
魔獣であるアルテッサは外に出られるが人間はアビィが初めてでアビィ自身は死ぬまで出ることは出来ない。
もしリックもアビィと同じことがおきればこの聖域から出ることは出来なくなる。
アビィはアルテッサに言われハッとしてうつむいてしまった。
「ごめんなさい……! 私ったらなんてことを!」
「アビィ、謝らないでくれ……あくまで可能性があるって話だろ? まだ出られないって決まった訳じゃない」
「とりあえず、外に出られるか試してみましょ……こっちよ」
アルテッサは外に出る出口まで案内するために立ち上がる。
リックは癒しの水から出て、歩き出したアルテッサの後に続く。
「体の痛みが全くない…すごいな」
「癒しの水だからね、どんな傷も痛みも消えるからね」
しばらく歩いていると洞窟見えてきた。
アビィは立ち止まった。
「私はここまで、後は結界が邪魔して私は出られない」
「リックはとりあえずまだ大丈夫みたいね」
「あぁ……アビィ、助けてくれて、ありがとうな」
「うん、元気でね」
リックとアルテッサは洞窟を歩いていく。
アビィはそんな2人の姿が見えなくなるまで見送った。
「リックが外に出られたらいいな……こんなにアルテッサ以外と話をしたのいつぶりだろうな……」
そう考えながら、アビィは2人の姿が見えなくなるといつもの場所へと戻っていった。
木こりだ。
俺は、いつものように木を切って薪を作っていた。
市場に売るためだ。
両親は1年前に流行り病で亡くなってしまい今はひっそりと山小屋のような家で独り暮らしだ。
「ふー、今日はこの位にするか」
俺ははあらかた木を薪にすると、市場に売りに行くために縄で一纏めにし、担ぐ。
さぁ行くかと歩きだそうとした時だった。
ガンっという音が響き、頭に激痛が走った。
俺はその場にうずくまり頭を押さえる。
ヌルッと何か液体が頭から出てきた。
なんだと思い手を見ると、血が付いていてた。
どうやら頭を殴られたらしい…なぜ殴られたのか分からず混乱していると、男の声がしてきた。
「こいつで本当に癒しの水が手に入るのか?」
「あぁ、こいつを痛め付けて聖なる泉のところに行き、虫の息だから癒しの水を下さいと言えばくれるだろう」
「貰った後はどうする?」
「もちろん、高く売り付ける」
声からしておそらく大人の男達。
3人はいる。
俺はこのままじゃヤバイと感じて、逃げようとて体を起こすが頭を殴られていたので体に力が入らず、すぐにその場に倒れこんでしまった。
「おっと、逃げられる前にやらないとな」
俺は殴られ蹴られ踏みつけられた。
どのくらいたったのか分からなかったが、意識が朦朧として体のあっちこっちが痛い。
「このくらいでいいだろう、こいつが死ぬ前に早く行こうぜ」
そういえば聖なる泉の所に行くとか言ってたなと朦朧としている意識のなかで思い出した。
癒しの水を手に入っても俺には使わずに捨てられ俺は死ぬんだろうなと考えていた。
まぁそれも運命か……と考えながら俺は意識を手放した。
「次に目を覚ましたら俺はここにいた」
「そう……」
アビィは悲しそうにうつむいた。
「酷いやつらね……リック、助けてくれたアビィに感謝しなさいよね」
「あぁ、本当にありがとうな、助かったよ」
リックはアビィとアルテッサに笑いかけお礼を言う。
その笑顔になんの曇りもなく純粋だった。
「不思議な人ね……ねぇリック、あなたは初めてこの聖域に入った人よ……ここにはなんでもある……あなたを癒し、傷を治した水に力をつける水、どの水も高く売れるしさっきの人達の仕返しも出来る……リック、あなたは……」
「そんなことしないさ、俺はたとえ、どの水も貰っても売らないし、ましてはいらない……仕返しもしない、まぁちょっとは怒ってはいるけどな」
「怒ってるなら仕返しとかしないの?」
「怒ってはいるけど仕返しまではしないさ……あいつらにいちいち怒っては仕返しとかしてたらきりがないし」
アビィはリックが言った事に驚いた。
なんて人だろうか……こんな人間は初めて会った。
この聖域に来る前も、この聖域に来てからもそんな人間はリックが初めてだった。
「優しいのね……本当に……」
「両親にも言われたよ、お前は優しすぎるってね」
「本当にビックリするくらい純粋で優しいのね……でもアビィ、これからどうするの? リックを聖域に入れたから、リックがもしかしたら聖域から出られなくなってるかもよ?」
「え……俺、ここから出られないのか?」
「あくまで可能性があるってことよ、今までこの聖域に入った人間はアビィ以外いないのよ」
魔獣であるアルテッサは外に出られるが人間はアビィが初めてでアビィ自身は死ぬまで出ることは出来ない。
もしリックもアビィと同じことがおきればこの聖域から出ることは出来なくなる。
アビィはアルテッサに言われハッとしてうつむいてしまった。
「ごめんなさい……! 私ったらなんてことを!」
「アビィ、謝らないでくれ……あくまで可能性があるって話だろ? まだ出られないって決まった訳じゃない」
「とりあえず、外に出られるか試してみましょ……こっちよ」
アルテッサは外に出る出口まで案内するために立ち上がる。
リックは癒しの水から出て、歩き出したアルテッサの後に続く。
「体の痛みが全くない…すごいな」
「癒しの水だからね、どんな傷も痛みも消えるからね」
しばらく歩いていると洞窟見えてきた。
アビィは立ち止まった。
「私はここまで、後は結界が邪魔して私は出られない」
「リックはとりあえずまだ大丈夫みたいね」
「あぁ……アビィ、助けてくれて、ありがとうな」
「うん、元気でね」
リックとアルテッサは洞窟を歩いていく。
アビィはそんな2人の姿が見えなくなるまで見送った。
「リックが外に出られたらいいな……こんなにアルテッサ以外と話をしたのいつぶりだろうな……」
そう考えながら、アビィは2人の姿が見えなくなるといつもの場所へと戻っていった。
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