聖域を守る少女

可憐

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森の中

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朝日が辺りを照らし始めリックが寝ていた場所にも太陽の光が差し込んで来る。
 リックはゆっくりとは目を覚ます。

「朝か……ん――」

 身体を起こし、腕を上にあげ伸びをして身体を伸ばす。

「やっぱり地べたに寝たらさすがに身体痛いな」

 凝り固まっていた首や肩を軽く回したり押したりし、立ち上がり更に少し身体を伸ばし軽くストレッチをする。
 とりあえず、顔を洗いたいと思い、リックは川まで歩く。

 バシャバシャと顔を洗いタオルで拭き元の場所へと戻り、さっそく地図を広げる。

「次の街までまだかかりそうだな、さすがに途中で食料確保しないとヤバいか……途中で木の実とかあればいいけどな」

 リックは改めてリュックの中身を確認する。
 今、リックが持っているのは……。
 リンゴ2つ。着替えが2日分。ペラペラの布団。多少のお金。地図。火打ち石。水筒。小さなナタ。小刀。

「うーん、やっぱり途中でうさぎでも倒して肉を手に入れたいな……ここじゃあ罠も作れないから、もう少し進むか」

 リックはそう思い、少しでもいいから進むことにした。
 荷物をまとめてリックは立ち上がり、とりあえずは森に向かって進み始めた。

 進みながら、朝食代わりにリンゴをかじる。
 だが周りを見ても平坦な道で森が見当たらない。

「そういえば……村の外には出たことなかったな」

 リックは生まれてまから1度も村から出てはいない。
 亡くなった両親は度々村から出てはいたので、両親からは村の外のことを少しは聞いていたが村の外はこんなに広いとは思っていなかった。
 そんなこと思い出したらなんだか何故か気持ちがワクワクしてきた。

「早くアビィにもこの世界を知って欲しいな」

 そう新たに思いをいだいて、リックは歩き続ける。
 少しして、森が見えてきた。
 リックは肉の調達のために森に向かう。
 迷わないようにあまり奥には入らないようにしてわりと入口から近いところで荷物を下ろし、落ちている木やツルを使って簡単な罠を作る。

「これでよしっ……と、あとは獲物がかかるのを待つだけだ」

 あとは待つだけなので、とりあえず食べられる木の実やあればキノコを探そうとその場を離れる。

「これは食べられるな……これは無理だったな」

 色々探していたら木の実、果実、キノコが取れそれを袋に入れていく。

「これなら大分持つだろう……罠のところはどうなったかな……掛かっていればいいんだけど」

リックは罠のところに行くと罠にはうさぎが1匹掛かっていた。

「よしっ」

 さっそく罠からうさぎを取る。
 とりあえず素早く捌いてその後、この場から離れないと、血の匂いで魔物が来る可能性がある。
 そう思ったリックはうさぎを捌く。

「ごめんな……」

 リックは生きるためには仕方ないとは思っているがこの作業がいつやっても馴れなかった。

 うさぎをある程度捌き、木の実など入った袋と違う袋に入れ一旦その場から離れる。
  
「次の町には……まだかかりそうだな、今日も野宿かな」

 リックは寝られる所がある場所を探していてふと周りを見ると固まった。
 方向が分からない。

「おかしいな、迷わないように奥まで行ってないはずなのに……」
 
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