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◇25 まさかこんなものがあるなんて……!!

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 朝、またあの美味すぎる宿の朝ご飯を平らげて宿を出た。これからここら周辺を歩いて道を覚えようと思っている。お留守番のバリスとトロワの好きそうなものも買っていこうかな。


「結構人間が多いな」

『獣人やドワーフなどとは良心的のはずだが』

「へぇ、でもいないって事はどっかに集まってんのか?」


 何があるんだろ。まぁどうせ考えても分からないんだから考えるのはやめよう。

 確か、人間は魔法のスペシャリストって言ってたっけ。魔法道具も沢山あるって言ってたような。どこにあるかな、魔法道具の専門店とかあるのかな。楽しそうだな、見つけたら行ってみよう。

 俺のいる町は、とても整備が整っていた。もちろんバスみたいなもんもあるけれど、道も整備されているし広場もあって手入れされた植物に大きな噴水まである。これ、もしかして魔法道具か?水の出方とか俺の知ってる噴水とは全然違うぞ。絶対そうだろ。

 てか、さ……


「う、わぁ……」


 俺が今見ているもの……


「これ、デパートみたいな……?」


 これは……窓が5つ縦に並んでるってことはこれは5階建ての建物ってことだ。

 今まで見たものは3階建てまで。それなのに5階建てだなんて、上まで階段で上るのは、結構大変じゃないのか?


「お客様!」

「えっ」


 あ、やばい、この店の玄関前で立ちっぱなしだった。


「さ、いらっしゃいませ」

「あ、いえ」

「当店ではたくさんの魔法道具が集まっています。もしお探しのものがございましたら、きっと見つかると思いますよ」


 へ、へぇ……たくさんの魔法道具、ですか。でも、魔法道具は見たかったんだよな。

 じゃあ、とお店のスタッフお姉さんに付いていった。

 店の玄関を通ると……う、わぁ……なんだこれ、シャンデリアじゃん。広い部屋で天井も高くて、デカいシャンデリアが3つもぶら下がってる。これ結構高いものがあるんじゃないんか?


「さぁ、お客様。こちらにどうぞ」

「えっ」


 フロントみたいなところの隣に、丸くて結構太い柱のようなものがあって。そしたら、お姉さんがそれに触れると開いた。ドアがついていた。え、もしかして、と思ったら……


「お客様はこちらは初めてでしょうか。これは上下に移動出来る魔法道具でございます。この魔石で動かすことが出来るのです」


 ……エレベーターじゃん、まるっきし。誰だよこれ考えたの。地球人か誰かか? あり得そう。

 とりあえず、へ~すごいですね~、と言って乗ってみた。うん、乗り心地もいい。全然揺れないな。

 行き先は2階だったらしい、すぐに着いて降りることになった。ドアが開くと廊下が続いていて、案内されると大きな扉に突き当たった。お姉さんがその扉を開くと……


「う、わぁ……」

「こちらはE級からC級ランクの魔法道具を扱っております。お客様はどのランクの魔法道具をお探しですか?」

「あ、いえ、見学程度で何かいいものがあったらいいなって」

「かしこまりました。ご説明はいかがなさいますか?」

「いえ、大丈夫です」

「でしたら、スタッフが中にいますので何かございましたらお声がけください」


 ではごゆっくり、と一言残して戻っていった。

 部屋の中には、長い机が並んでいて、その上に魔法道具が並べられている。手前には名前と説明が書かれたプレートみたいなものがある。

 他には人はいない。俺だけだな。


「へぇ、色々あんだな」

『魔法道具など、必要か?』

「あると便利な生活用品ってやつだろ。ほら、そこにある扇風機みたいなやつとか」

『風魔法で十分だ』

「あっそ」


 俺の知ってる扇風機とか冷蔵庫とか、あと明かりをつけるランプとか。地球であった家電がこっちじゃ魔法道具として使われてるって思えば簡単か。ここじゃ電気ってないみたいだし。あ、雷魔法はあるけど。


「あ」


 そんな時、見つけてしまった。SOLDの文字を。売り切れってことだよな。売り切れの物は……弓? あ、こっちもだ。武器みたいなものが全部売り切れじゃん。あ、こっちの防具も。どうして? 作るのが間に合ってないとか?

 今海が荒れていることが理由、とか? 輸入輸出みたいな? まぁ分からないけど。

 俺としては何も必要ない。無限倉庫にいくらでも入ってるし。あ、やばいもん入ってるけど。あの【ゴミ】ってところに。それに今は俺には木工ハンマーがある。バグった俺のステータスにはあれだけでちょうどいいからな。


「何かお気に召したものはございましたか?」

「えっ、あ、いえ。あの、B級とかのランクの物って上の階ですか?」

「ではご案内しますね」


 静かに近づいてきたスタッフさん。もうちょっと早く声をかけるもんじゃないのか? 俺ステータスで【感覚:∞】だから気づけたけど、普通の人だったらびっくりするだろ。普段からこうなのか?

 まぁいいけど。

 こちらです、とまたエレベーターに乗せられ、一つ上の階に案内してくれた。今度はなんか頑丈な扉だな。さぁ、どうぞ。そういわれて入った部屋はさっきの部屋とはだいぶ違かった。

 さっきは魔法道具はテーブルの上に乗せられていたのに、ここではショーケースに入れられているみたいだ。


「こちらはB級からA級の魔法道具がございます。ですが、武器や防具などはただいま在庫がございません。申し訳ございません。ですがどうしてもという時は注文も出来ますので」

「あ、いえ、別に大丈夫です」

「そうですか。こちらはショーケースに入っていますので、もし手に取って見たい場合はここのスタッフにお申し付けください」

「あ、はい、ありがとうございます」

「では」
 

 そう言って戻っていった。

 そっか、武器と防具がないのか。


「あ、これ」

『あぁ、持っていたな』


 《幻影の玉》

 これはエルフお姉さんが持ってたやつだ。一定範囲内の会話とかはその範囲外の人達に聞こえないやつ。とはいっても、これは必要ないかな。俺は一応【複合魔法】で防音出来るから、上手くやればこういうのも出来ると思うし。

 でも噓発見器とかは必要か? ここに来るのは初めてだから信用出来る人がこの町にはいないし。じゃあ、ここにあるかな。

 そうして探してみたら、発見したけれどA級の魔法道具だったみたいで結構な額だった。あ、小さいのもあるんだ。じゃあ、不自然にならないようアクセサリーとかに加工して身につければいいのでは?

 よし、じゃあとりあえず購入するか。結構高いけど仕方ない。誰かに騙されたりしたらたまったもんじゃないからな。

 これ、魔力を入れると発動するみたいなんだけど……俺の場合魔力たんまりあるからずっと注入しとけばいい感じか? 難しそうだけど、慣れればいけるか?

 という事で購入させてもらった。この上の階にはS級などランクの高い貴重品があるらしいんだけど、特別な人しか入れないらしい。見てみたい気持ちはあったけれど、仕方ないとその店を後にした。


「うわっ」

「えっ」


 デパートを出て、地図を開いていたその時。そんな声と、何かが足にぶつかる感覚があった。

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