厄災の姫と魔銃使い:リメイク

星華 彩二魔

文字の大きさ
56 / 280
第二部 五章「炎蛇の魔銃」

「鋼を焼き砕く者」

しおりを挟む
 貫かれた鎧の体。セントゥールにとって針を刺されたようなモノだが、そこからは確かに血は滴り落ちていく。手の平には握られていた拳をこじ開け、魔銃使いが不敵と睨み返し足蹴にした。
 幾つもある蟲の王の目がただ一点を捉える。どの目にも映るのは名高き魔王である自身を見下す魔銃使い。
 その目と表情。恐怖などなく、踏みしめる足は靴底を擦りつけ挑発する姿。幾つもの目が飛び出すかの勢いで見開かれる。
 鋼を冠する魔王としての矜持を壊したのは自身に比べれば小さな人間。その事実を目の当たりにされ王の座に居座る身のセントゥールに怒りを抑えられるわけもなかった。
 セントゥールは言葉を失い怒りと共に咆哮を撒き散らす。憤怒に震えた手がクロトをひねり潰そうと力を込め始め――

「うるせぇよっ!!」

 更にクロトは強気と言い返す。
 くるりと魔銃を回し、再び銃を構え唱えた。

「もう一発くれてやるよ! ――【爆ぜろっ。ニーズヘッグ】!」

 銃口から一発放たれる。銃弾は先ほど貫いた位置を正確に撃ち抜き、腕の中で爆炎を広げた。
 爆炎は内部から勢いを付け徐々に鋼の腕が膨れる。炎を溢れさせ、鎧の殻は耐えきれず軋む音をたて爆ぜる。
 破壊された腕は力を失い手に捕らえていたエリーを解放。少女を受け止め、クロトは放さぬよう強く抱いた。
 こんな窮地でもその抱き心地の良さには思わず笑みが浮かんでしまう。皮衣を纏いながら二人は落下し地上にへと向かうその時、呼び声が耳に届いた。

「――先輩ッ!」

 視界をずらせばイロハが見えた。翼を広げ手を伸ばし、不意に伸ばしてしまった腕を掴み取られる。
 地上への衝突をまぬがれた上ではイロハが口を大きく開いて肺いっぱいの息を吐く。

「ああ、ビックリしたぁ……。先輩が姫ちゃんと一緒になって落ちてるんだもん」

「……まさか、お前に助けられるとはな」

「だって姫ちゃん死んだらマスターに怒られちゃうもんっ。先輩にも怒られるし、そんなのやだぁ!」

「わかったわかった。……とりあえずその辺に下ろせ」

 頬を膨らませ不満ながらもイロハは言われた通りにクロトを下ろす。
 叫ぶ魔王から距離をとり建物の屋根へ足を付けてから抱えていたエリーを傍らに寝かせ、再び魔王にへと向き直る。間近でなく全体を視界におさめると、またしてもクロトは余裕を保ち不敵に笑う。

「相当硬そうな野郎だな。やりがいがありそうだ」
 
 腕を鳴らしまだ現実の世界に若干馴染めていない体を伸ばす。まるで数日ぶりに外の空気を吸ったかのような感覚。違和感を取り除き気を引締めて魔銃を握り絞める。
 次にクロトは傍で様子をうかがうイロハにへと顔を向けた。
 キョトンとした眼差し。相変わらずの間抜けそうな顔も久方ぶりに感じる。
 ――だが。使えるモノは使う。

「イロハ。少し時間を稼げ」

 急な命令にイロハは首を傾げた。

「どうするの先輩? アレすっごく硬くてボクじゃ無理なんだけど?」

 既に実戦済みだと伝える。するとクロトは「はっ」と鼻で笑う。
 はなから傷を負わせることに期待などしていなかったのだろう。だがそれでは時間を稼ぐのも一苦労だ。何かを思いついたのかクロトは指を鳴らし、次にこう命じた。


「そうだな。――じゃないのを撃て」


 王都に入ってから「撃つな」と言われていたイロハ。その理由はイロハの魔銃の力が周囲に大きな被害を与えることがあり本人も気に留めていないからだ。
 しかし、今や王都の第三階層城下街は酷く破壊されている。今更周囲への気遣いなど不要。
 最初はイロハも何を言っているのか理解できなかった。しばらく首を傾け、ふと目を見開く。

「……! ――うんっ。わかったぁっ」

 満面の笑みを返しイロハは飛ぶ。片腕を失い藻掻く魔王の頭上を取り、イロハは魔銃を天にへと向けた。
 しがらみから解放され自由を得た黒鳥は気のままに名を呼ぶ。

「さっきのは無理でも、コレなら大丈夫だよね。フレズベルグっ」

 魔銃に埋め込まれた核が翡翠と輝きイロハの声に応える。


「――【舞え! フレズベルグ】!」


 銃弾が上空へ一直線に放たれた。魔王を中心に空へ円法陣が描かれる。
 クロトが「あっちじゃない」と言った、【舞え】。無数の光が上空に出現しセントゥールにへと狙いを定め、

「もういっちょ! ――【舞え! フレズベルグ】!」

 更にイロハは真下にへと銃口を向けトリガーを引く。
 セントゥールの頭上と足元に展開された法陣は互いに向き合い、

「いっけぇー!」

 イロハの合図と共に舞う。
 輝きを増し、無数の光が天より降り注ぎ、地より舞い上がる。周囲のドラゴンフライを撃ち落とす幻想的な光の雨。鋼の身に傷というものはなくもセントゥールを襲う光は視界を奪い体勢を崩していく。
 それだけでもよかった。晴れた様子のイロハは悠々と翼を羽ばたかせていた。
 
「嬉しいなぁ。うん、ボク今たぶん嬉しい! 終わったら褒めてくれるかなぁ」

 歓喜に浸るのも束の間。ふと、イロハを黒い影が覆い被さる。撃ち落ちてくる魔物が頭上にその身を広げ更に落下。慌ててイロハはその場から飛びだして難を逃れた。
 
「うわぁ……、びっくりしたぁ」

「なにしてんのよ、この馬鹿!」

 唐突な罵倒が飛ぶ。
 聞き慣れてきた声。瞬時にイロハは自身にそんなことを言った者を視界に入れる。
 
「お姉さん!」

「……まったく。アンタたちって死なないからって警戒心薄すぎじゃないの? 特にアンタ」

「えへへ。やっぱ怒ってるのよくわかんないけど。……なんか、お姉さん嬉しそう」

 ネアは赤い目元を一度拭う。願いをその声で叫び、訴えた後。彼女はどこか気の晴れた様子で上を見上げる。

「別に、嬉しくなんてないわよ。むしろ、当然よね、って感じなんだから」
  
 空に舞う光と散る火花を眺め折れそうだったネアの心が支えられる。
 一人の少女を救った英雄でも正義を語る者でもなく、ただ自身の願いに従順で身勝手な輩に希望が持ててしまう。不本意ながらも、納得がいかなくとも、その最善とした光景に呆れつつ、彼女は思わず笑ってしまったのだ。

「本当に……、なんでアンタなんかに可能性があるのかしらね」






 熱に焼け落ちてゆく羽虫の群れの如く。重量感ある蟲が次々と地に落下していく現状。
 高台から眺めていた魔女は、くすっ、と微笑した。

「……そう。を使うのね。まあ、いいわ。もうあの魔王はだもの」





 
 地鳴りと騒音。クロトはそれらの音や揺れなど一切気に留めず、魔銃を強く両手で握り絞め瞼を伏せる。
 視界を閉ざし、聴覚を無にし。意識をただ自身の中にへと潜めて行く。
 風景などない。ただ続く闇の中に自分の姿だけが白黒と鮮明に残り、その先にあるにへと手を伸ばした。
 掴み取ったのは不確かなモノ。それに形というものはない。実物するようなモノやもしれないし、得体の知れないモノやもしれない。
 ただこの時、この瞬間にいつも感じるのは掴む手を焦がすような熱だ。
 その力は自分が扱うには大きすぎる。人間が手にしてはならないモノだったのだろう。 
 しだいに熱は姿を現し炎となって精神のみの己を呑み込み焼く。この場だけでなく現実でのクロトの肉体は熱に侵されていた。
 酷い熱。まるで火山で煮えたぎる溶岩を間近で感じているようだ。苦しくもあるもクロトはその熱で死ぬことはない。
 不死身だからという理由だけでなく、そうあの魔女がこの魔銃を設計しているからだ。
 気が飛んでしまいそうな影響はあるも、掴み取った熱の塊を強引に引っ張り口ずさむ。

「――地獄の業火に眠りし蛇よ。我が命に従え」

 纏う炎が形を作り掴む手を締め付ける。威嚇か、炎の奥底でこちらを睨むような視線を感じる。
 されど、真っ直ぐその視線と向き合い更に言葉を紡ぐ。

「其は蛇竜。四の王に属せし炎蛇っ」

 纏う炎蛇の皮衣が揺らぎ形を変える。両先端は渦を巻き、しだいに二匹の大蛇の頭部を形作り口を開いた。細い牙と舌、本物の蛇の如く細かなところまで再現された蛇の口は羽衣が纏う炎を凝縮させ、弾けた火花が円法陣をそれぞれ描く。
 ゆっくりと、クロトの握る魔銃が一点に狙いを定めた。
 標的はただ一つ。敵対する十三魔王の一席――六番席魔王【鋼殻蟲のセントゥール】。
 銃口と陣から炎が溢れてゆく。熱の塊を間近に感じ、汗を滲ませながらクロトは唱えた。

「仇なす者をその灼熱の業火をもって――」

 閃光に目を眩ませ視界を悪くしたセントゥール。それは怒号の咆哮を放ち一気に【舞え】を抜け出しクロトに迫る。
 迫る巨大な威圧は肌にビリビリと伝わる。だがクロトは恐怖などなく静かに呼吸を整え、魔銃の引き金に指をかけ……



「――【焼き砕け! ニーズヘッグ】!!」



 躊躇いもなく引いた。
 展開されていた陣は大きく一つになり炎を噴き出す。
 間を開け放たれた炎の波。反動でクロトの身は後ろにへと傾き、標的目がけ炎の波は蟲の王を襲う。
 周囲の魔物を巻き込む炎。その中で鎧を纏う蟲たちは熱に耐えきれず砕き、溶かし、灰燼へ。熱と勢いだけでない炎の波はセントゥールの視界に広がり、炎の正体を目の当たりにする。
 それは炎の竜。己を呑み込もうとする炎蛇だった。

『――ッ!? マ、サカ……ッ』

 怒り狂っていたセントゥールの思考が一瞬真っ白になり刹那の理性が呟く。
 その炎を知っている。その竜を知っている。……その炎蛇を知っている。
 気が付いた時にはその鋼の肉体は炎に呑まれた後だった。硬く、傷つかないことを矜持としていた異名を関する由来の身に亀裂が走る。暴力的なまでの灼熱と噛み砕く勢いの圧力。細胞全てが熱に耐えきれず崩壊を始め、溶かし、砕き、その地獄が永遠と感じるほどの束の間。
 身が崩れ焼き砕かれる恐怖が襲う。

『馬鹿、ナ……ッ。我ガ鎧ガ……砕ケルッ!?』

 蟲は藻掻いた。炎を振り払おうとするも炎は蛇の如く纏わり付く。一度捕まった獲物を逃そうとはしない。
 
『コンナ……ッ、コンナ、コト、認メヌッ! コンナ……、タカガ人種ノ……!!』

 炎の奥を屈辱と睨む。真っ直ぐ向き合うのはまだ人の子だ。
 恐れるに足りぬはずの人種たるクロトはその疑問を晴らし、敗北を認めないセントゥールにとどめを刺す。


「――お前の敗因なんて単純だ。それはこの俺に頑丈さだけで挑んだことだッ!」


 その硬さは本物だ。だが、クロトにはそれに対抗できる力があった。
 竜種の一体――【炎蛇のニーズヘッグ】。魔界でもその名は広く知られた四番席魔王――【豪竜のドラゴニカ】に属する炎の蛇竜。
 灰燼へと帰す灼熱の炎と鉄壁を誇った鋼の肉体がぶつかり、勝ったのは焼き砕いた炎蛇。
 肉体だけでなく魂にすら火を届かせる。燃え盛る炎の中でセントゥールは人の声か魔物の声か、入り交じった断末魔をあげその姿を跡形もなく消すこととなった。
 役目を終えた炎が風に乗り熱を大気に溶かして消滅した。残ったのは少しばかり熱くある風のみで生存し勝利した者たちを煽ぐ。
 すっかり晴れた空はこの災厄の終わりを告げヴァイスレット王都を見下ろした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【書籍化決定】アシュリーの願いごと

ましろ
恋愛
「まあ、本当に?」 もしかして。そう思うことはありました。 でも、まさか本当だっただなんて。 「…それならもう我慢する必要は無いわね?」 嫁いでから6年。まるで修道女が神に使えるが如くこの家に尽くしてきました。 すべては家の為であり、夫の為であり、義母の為でありました。 愛する息子すら後継者として育てるからと産まれてすぐにとりあげられてしまいました。 「でも、もう変わらなくてはね」 この事を知ったからにはもう何も我慢するつもりはありません。 だって。私には願いがあるのだから。 ✻基本ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。 ✻1/19、タグを2つ追加しました ✻1/27、短編から長編に変更しました ✻2/2、タグを変更しました

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】レイハート公爵夫人の時戻し

風見ゆうみ
恋愛
公爵夫人である母が亡くなったのは、私、ソラリアが二歳になり、妹のソレイユが生まれてすぐのことだ。だから、母の記憶はないに等しい。 そんな母が私宛に残していたものがあった。 青色の押し花付きの白い封筒に入った便箋が三枚。 一枚目には【愛するソラリアへ】三枚目に【母より】それ以外、何も書かれていなかった。 父の死後、女性は爵位を継ぐことができないため、私は公爵代理として、領民のために尽くした。 十九歳になった私は、婚約者に婿入りしてもらい、彼に公爵の爵位を継いでもらった。幸せな日々が続くかと思ったが、彼との子供を授かったとわかった数日後、私は夫と実の妹に殺されてしまう。 けれど、気がついた時には、ちょうど一年前になる初夜の晩に戻っており、空白だったはずの母からの手紙が読めるようになっていた。 殺されたことで羊の形をした使い魔が見えるようになっただけでなく『時戻しの魔法』を使えるようになった私は、爵位を取り返し、妹と夫を家から追い出すことに決める。だが、気弱な夫は「ソラリアを愛している。別れたくない」と泣くばかりで、離婚を認めてくれず――。

ギルドの受付嬢はうごかない ~定時に帰りたいので、一歩も動かず事件を解きます~

ぱすた屋さん
ファンタジー
ギルドの受付嬢アイラは、冒険者たちから「鉄の女」と呼ばれ、畏怖されている。 絶世の美貌を持ちながら、常に無表情。そして何より、彼女は窓口から一歩も動かない。 彼女の前世は、某大手企業のコールセンター勤務。 営業成績トップを走り抜け、最後には「地獄のクレーム処理専門部署」で数多の暴言を鎮めてきた、対話術の怪物。 「次の方、どうぞ。……ご相談ですか?(クローズド・クエスチョン)」 転生した彼女に備わったのは、声の「真偽」が色で見える地味な能力。 だが、彼女の真の武器は能力ではなく、前世で培った「声のトーン操作」と「心理誘導」だった。 ある日、窓口に現れたのは「相棒が死んだ」と弔慰金をせしめようとする嘘つきな冒険者。 周囲が同情し、ギルドマスターさえ騙されかける中、アイラは座ったまま、静かにペンを走らせる。 「……五秒だけ、沈黙を差し上げます。その間に、嘘を塗り直すおつもりですか?」 戦略的沈黙、オウム返し、そして逃げ場を塞ぐイエス・セット。 現代のコールセンター術を叩きつけられた犯人は、自らその罪を吐き散らし、崩れ落ちる。 「あー、疲れた。一五分も残業しちゃった。……マスター、残業代三倍でお願いしますね」 これは、一歩も動きたくない受付嬢が、口先だけで悪を断罪し、定時退勤を目指す物語。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

処理中です...