厄災の姫と魔銃使い:リメイク

星華 彩二魔

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第四部 五章 「約束」

「月光百合」

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 クロトは夜闇の森を彷徨う。
 時おり瞬発的な光が放たれ、迫る獣を撃ち抜く。
 夜のせいか活発になる肉食の獣は、クロトという餌を前に鋭い眼光を闇の中で光らせていた。
 
「ああ、くそ……! 面倒だな!!」

 背後から飛びかかる狼。それをクロトは魔銃で殴りつけ、牙を砕きなぎ倒す。
 現在クロトがいるのは長く彷徨った樹海の外側。薬草が豊富にあると考えられたのは、レガルの影響を受けたこの場所が最適である。
 しかし、急いできたせいで灯りを持ち合わせていない。樹も多く、月明かりもあてにできない。
 それでも、クロトにあるのは解熱作用のある薬草を探すことだけだ。
 猛獣の群れを相手に一人で対応。その程度は今に始まったことではない。
 炎を出さずとも、クロトの周囲には打ちのめされた獣が幾多も転がる。
 休む暇もなく、即座に駆け出し目当ての薬草にのみ視界を集中させた。
 ……だが。

「……違うっ。これも違うっ!」

 薬草を素早く見分けるも、目当てのものは見つからない。
 クロトが探しているのは即効性のある解熱作用の薬草――カネル草。
 主に西のサキアヌに多く存在する薬草。蛇、サソリなどの毒にも調合によっては解毒作用もある。炎蛇の毒にも対応できるはず。
 他の国でも珍しくはないが……。

「…………ぬかったっ。毒沼かっ」

 嗅覚を刺激する臭い。
 樹海を抜ける前にも感じていた。当時は危険しかなく、本能的に避けていた存在。
 レガルの影響を受けた樹海は、マナ濃度が濃い場所が存在する。生命に欠かせない大気の一つマナ。レガルにはそれが他より多く存在し、このヴァイスレット地方にも影響を与え樹海を完成させた。
 だが、マナは多ければ生命にとって良いというものではない。
 高すぎる濃度は自然を崩壊させる毒を生み出し、毒沼までも作り上げてしまう。
 目当てのカネル草は調合しだいで解毒作用はあっても、それがなければ毒素に酷く弱くある。微量な大気中に漂う毒素がカネル草の存在を阻害している。
 この周辺一帯でカネル草を探すのは無謀だ。別の薬草を探さねばならない。
 確実に炎蛇の毒を解毒できるもの。万能薬など限られており、見つけるなど難しい。
 自分の頭の中の知識をあさる。しかし、カネル草に勝る、もしくは同等の適切な薬草が思い当たらない。
 焦る感情が苛立ちを倍増させていく。

「くそっ。どうする……っ。今更別を探すも、これ以上範囲を広げれば今度は間に合わなくなるっ」

 これまで見た薬草に解熱作用はない。論外でしかない。
 頭痛すら引き起こすほど、考え続ける。

「あの野郎……っ。何考えて俺に現地調達だ。そういうのは目ぼしつけてから言えっての」

 ネアが言い出したのだ。何かあるに違いないとは思えるが、頼りの薬草はない。
 他を探そうとするも当てがない。
 八方塞がり。どこかで抜け道を探らなければならない。
 あまり知られていないような、一般では知り得ない解熱薬があれば…………。

「……そういう事か」

 クロトは、限界寸前の頭を冷やす。
 人の知り得ない知識。なら、他の種族が知り得る知識。
 今、クロトには己自身と、悪魔のニーズヘッグが存在している。
 炎蛇の毒。それは元々ニーズヘッグの毒だ。
 なら、ニーズヘッグがそれに対応した解毒草を他に知っている可能性がある。
 この事態も既に把握済みのはず。だが、ニーズヘッグはあれから一切こちらに関与しようとはしてこない。

「おい。聞こえてるんだろ……?」

 自分から悪魔に声をかける。
 しかし、応答はない。
 あれほど嫌味の様に言葉を投げてきた炎蛇が、まるでいないかの様に静かだ。
 あまりの異様な沈黙に違和感を覚えるも、それ以上に言葉に反応しようとせず無視した事にクロトは憤怒する。

「――おい、クソ蛇!! 聞こえてんだろうが、無視してんじゃねーぞぉ!!!!」

 確実にいる。内に訴える様に怒鳴りつける、と……。

『――うるっせぇな!!! お前に言われたかねーっての!! 俺だってあんな事になるなんて、思ってなかったんだよ!!!』

 




 クロトの意識が、自身の奥底にへと導かれる。
 夜闇よりも暗くあるそこでは、炎蛇が頭を抱えながら苦悩していた。
 
『最悪……だろ……っ。神がいるなら呪いたい気分だ……。俺の生き方がそんなに罪だたったかよ!? 償えねぇ事くらい俺が一番よくわかってるっ。だがそれでも、姫君は関係ねぇだろっ! …………もう、後悔したくねぇんだよ。惨めに生きても、失いたくないもんくらいあんだよ。……それも、毒死なんて』

 一つ目の後悔。それは毒により一生を終えた。
 今二つ目の後悔の直前に、今度は自身の毒が原因でその命の灯を消そうとしている。
 これがどれだけ笑えない冗談か……。

『ふざけんなよ世界……。姫君がなにしたんだよ! 俺なんかを受け入れるのは、そんなにダメな事なのかよっ。種族の違いで関わろうとするのは間違ってるのかよ!? ただ自分の意思を貫く事は、死んで償わなきゃいけねーのかよ!!?』

 泣き言を口にする悪魔。それはクロトにとって、一生をかけても勝てる気のしない存在だというのに。
 今はどうだ? 重荷を背負い、その重荷を手放せずに必死としている。悪魔とは思えない、余計な感情に苛まれる弱者だと、クロトには見えた。
 そんな自身に害を成す重荷が必要ないと同意した炎蛇が、今その重荷に押し潰されようとしていた。
 だが、その重荷は……クロトにとっても必要不可欠なものだった。
 命の繋がった重荷エリーを失うわけにはいかないのだから……。

「…………マジで、人の中でうるせぇ奴だな」

 細いため息が、クロトからこぼれる。

「悪魔のくせにいつまでも鬱陶しくしてんじゃねーよ。それとも、そうやってれば全部なかった事になんのかよ?」

『……ッ!』

 一瞬だ。
 クロトを狙った刃が幾つも首の前で止まる。
 再度向き合う金の瞳には殺意と怒りが感じられた。だが、それ以上の危害を歯を食いしばり止め、堪えた。
 鋭い眼光に、クロトは毅然と睨み返す。

『お前に……っ、お前にはわかんねぇよな! 俺はお前を知っている。今のお前を作ったのは俺だからなっ。さぞ他人がゴミなんだろ! 呪いで繋がってなかったら、……どうせお前は』

 ――エリーをこのまま見殺しにするだろう。
 
「――ああ、そうだよ。俺にとってあのガキは重荷でしかない。持つ必要なんてない……そういう奴だ……。こんな呪いなければな」

 元々、クロトにとってエリーは不必要な存在だった。
 呪いがなければ、どこで死のうが関係ない。呪いという鎖で繋がれた、仕方のない関係にすぎない。
 ――だからこそ、クロトは自身を守るために、エリーを生かさなければならない。

「ぐだぐだ言ってねぇで、とっとと解毒薬の情報をだしやがれっ。なに勝手に終わろうとしてんだよっ、こっちはお前のせいで迷惑しまくってんだよ!」

『……っ、言わせておけば』

「お前のその泣き言に同情するとでも思ってんのかよ? 馬鹿じゃねーのかよ! 俺にそんな感情あると思ってんのかよ!」

『思ってねーよ!! 人種の中で底辺な思考してる奴に、そんなもん期待するか!!』

「無駄口言ってねぇで、お前もこの状況なんとかしろ!! お前の責任をなんで俺だけがやんなきゃならねーんだよ!! 責任とれ!!!」

 刹那、刃の羽衣が微動する。
 屈辱的にニーズヘッグは睨んでも、向けられた刃にもクロトは臆さない。
 それが、ニーズヘッグが強情でいつづける原因になる。

『自分が死にたくないだけの野郎が……っ。お前のそういうところが一番認めたくねーんだよ!! お前は姫君の事なんか、なんとも思ってねーくせにっ』

 クロトはエリーを自分の命と思っている。それ以外の感情などない。あるはずがないと、クロトは断言できる。
 


「――それがどうした?」


 ポツリと、クロトは呟く。
 その途端、ニーズヘッグの怒りの炎が急激に冷め……、勢いを増して爆発した。
 暗闇の中で燃え盛る炎。許せない怒りを表し、クロトの周囲を覆った。
 
「……お前、意外にガキだよな」

『……なっ!?』

「やる事成す事……、なんつーか、呆れしかねぇぞ」

『こ……っ、このクソガキっ! たかが十数年程度の人間が……っ』

「だったらいい加減にしやがれ――クソ蛇!!!」

 突きつけられた灼熱の刃をクロトは素手で殴りつける。
 形状を崩した刃は、ゆらりと揺れる。
 焼ける熱が手に残る。それを払い、困惑する炎蛇を再度睨みつける。

「お前もおんなじだろうが! お前もアイツに死なれちゃ困る。俺だって自分の命だから困るんだよ!! 結果が同じなら、やる事も同じだろうが! アイツとしたんじゃねーのかよ!!!」

 その時。周囲の炎の勢いが、徐々に弱まっていく。
 ……約束。それはニーズヘッグにとって容易に破る事のできない、自分と魂に刻んだものだった。
 二度と嘘をつかない……。そう信じてくれた者がいるのだから。
 
「お前が先に諦めるなよ! お前が下等だって言う人間の俺ですら捨ててねぇのに、根性ねぇこと言ってんじゃねぇ!!」

 言いたい放題に言われるも、ニーズヘッグには返す言葉もない。
 わかってはいた。どれだけ自身が時間を無駄にしたかなど……。
 次の瞬間、炎は消え、また静寂の闇にへと包まれる。
 ニーズヘッグは、ゆっくりと深呼吸をとり、数秒黙り込んでから金の瞳をクロトに向ける。

『……状況を整理する。俺はお前の視界を通して外が見えている。お前の心の声も粗方聞こえている。周囲には頼れる薬草はない。……そうだよな?』

 落ち着いた様子のニーズヘッグ。
 クロトは間を開けてから、小さく頷く。

「他に頼れるもんがあんのかよ?」

『俺はさほど薬草に詳しいわけじゃない。悪魔はそんなもんとは無縁だからな。俺の毒だって、解毒したことがない……』

「……まさかとは思うが、お前――」

『とりあえず待て。……要はどんな毒にも作用する薬ならいいはずだ。…………と、なると万能薬か。………………そういえば、毒沼があるっていうのはマジか?』

 頭を悩ませてから、ニーズヘッグは思い出した様子で尋ねる。
 
「確かにそうだが……。それがなんだ?」

『…………月光百合げっこうゆり

 ニーズヘッグは呟いたのは花らしき名の代物。
 聞き覚えのない名にクロトは首を傾ける。

「なんだそりゃ?」

『まあ、人間はあんま知らねぇようなもんだ。……なんせ、あの花が咲いているのは毒沼の中だからな。希少な万能薬の一種だ』

 それは人が手にするにはあまりにも危険なものである。
 花を取るには毒沼という最大の壁が阻んでいる。
 そんな澱んだ沼で、一寸の清らかな花が咲く。
 それが、毒沼に咲く花――月光百合。

「ってことは、それがあれば……っ」

 エリーの毒を解毒することができる。その意味でニーズヘッグは頷いた。
 





 クロトの意識が現実に戻る。
 人なら確実に近づかない毒沼の方にへと目を向け、真っ先に駆け出した。
 近づけば近づくほど、鼻を刺激する臭いが強くなり、足元はぬかるみだす。
 土が腐敗しているのが暗闇でもわかる。
 クロトは一度木にへと登り、更に奥にへと進む。
 
「……見えたっ」

 目当ての毒沼が見えた時、同時に漂う瘴気と腐敗臭に口元を袖で覆う。
 ぬらぬらと、おぞましい色のをした毒沼地帯。沼の至所には汚染された瘴気を放つ濃度の高いマナ結晶体が存在している。
 
『これまた酷い瘴気だな……。俺は毒にある程度耐性があるが、人間にはたまったもんじゃねぇな……』

「どうでもいいっ。……なんか特徴とかねーのかよっ」

『特徴か……。あれは毒沼の中にいやがるからな。そして光ってる。この暗さなら見つけやすいはずだと思うが……っ』

 クロトはそれらしき光を探す。
 泡を吹く毒沼が誤認を与える中、淡く白い明りがわずかに視界に入る。
 
「――あれか!」

『ああ、たぶんそうだ! ……だが、よりにもよって深い所にいやがるな』

 光は沼の中央。それも最も深い位置だ。
 そんなところに人間が入れば、それは自殺行為にもなる。
 不死身のクロトでも毒の苦痛にあらがえるかどうか……。
 残念だが浅ての別のものを探すべきだ。そうニーズヘッグが口走ろうとしようとした時、クロトは一気に木から飛び降りた。
 毒沼の中央に降り立ったクロトの身が、半身ほど沈む。
 
『ちょっ、おま……!?』

 驚くニーズヘッグの声など気にも留めず、クロトは沼の中にへと手を突っ込む。
 液体よりも粘りのある沼。まるで重い泥の中を進むような気分だ。
 そして、瞬時に毒が肌に纏わり付き、皮膚を熱く焼き溶かしていく。
 
「ぐぅ……っ!」

 思わず引っ込めた手は肉まで溶かして骨をむき出しにさせていた。
 すぐに癒えるも、毒による人体に与える影響は大きい。
 揺らぐ意識と吐き気。常人なら既に死んでいてもおかしくない状況。それを不死の肉体がなんとか堪えていた。
 崩れそうになるも踏みとどまり、クロトはまた手を沼にへと伸ばす。
 だが、手が奥に届くよりも早く、感覚がなくなり掴み取る事ができない。

『なに考えてんだよ!? 最悪一生毒沼から出られなくなるぞ! 死ぬ気かよ!?』

 意識を失えば、毒沼という棺桶の中、一生毒に苦しみながら朽ちてゆくだろう。
 それなのに……

「それが……どうした……っ」

『……は?』


「アイツが……命賭けたのに…………っ、俺が命賭けれなくてどうすんだよ!! アイツにできて……、俺にできないわけ、ないだろうがぁああ!!!」


 これはクロトの意地でもあった。
 それでも、意地だけでどうこうできるわけもない。
 届きそうになるも、手は徐々に腐敗して遠ざかってしまう。
 もはや仕切りなおすほどの体力すら奪われ、肉体が沼の奥にへと引きずり込まれていく。
 途切れそうなぼやけた意識の中、悪魔が囁く。

『――使えよ、クロト。俺ができる限りの事をする』

 朦朧とする意識の中、ニーズヘッグの姿が見えた。
 悪魔はクロトに手を差し出し応えを待っている。
 無意識に、クロトは手を伸ばし…………必要と判断したその悪魔の手を取る。
 
『――認めてやるよ。この【炎蛇のニーズヘッグ】が、お前をと』

 




 わずかに動く片腕でクロトは魔銃を握る。
 そして、余力の限り声を張り、悪魔の名を呼ぶ。

「――【纏え! ニーズヘッグ】!」

 魔銃は炎を吹き出し、世闇に火花という花が散る。
 炎はしだいに闇を照らす炎蛇の皮衣を顕現させ、クロトを覆う。
 毒沼に触れぬよう、皮衣は沈んだ腕にへと巻き付き、毒を遮る。
 腕の感覚が回復すれば、クロトは更に奥にへと伸ばす。

「もう少し……、届け……っ」

『届けっ!』

 ――届いてくれ……!!
 




 
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