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第六部 一章「闇の声」
★序章★
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目覚めた魔銃使い。
再会した彼らは魔界から出るため魔界門を目指す。
ネアの案内もあり安泰と思えたその道中、何者かの囁くような声と霧が道を阻む。
誰もが感じた。その身が覚えている嫌悪を。
そして彼らは目にする。――最悪の光景を。
少女が見たのは、炎々と燃える城内。その中を駆ける、二人の人物に目を向ける。
「――お母……様?」
赤い光景の中には、写真でしか見た事のない母親と自分。
少女は知る。自分が失くしてしまった記憶を。
その日、その時、あの場所で。あの魔銃使いと会った事を。
誰しも消してしまいたい記憶がある。
それはおぞましく、忌み嫌い、思い出す事すら拒みたくなる闇。
闇と共に沈めば、二度と帰っては来られない……。
【厄災の姫と魔銃使い】第六部 魔界編:後編 開幕
****************************
――貴方には、忘れたい過去がありますか?
それは、痛みから逃れるために……。
それは、罪から遠ざかるために……。
それは、自分を正当化するために……。
それは、不必要と否定するために……。
人はそれらを忘れるために、心の奥底へしまい込む。
闇よりも深淵に。誰も立ち入れない領域にへと。
少女は泣いた。
彼女が泣かない日などない。
人に怯え、魔に怯え、夢に怯え……。
「……っ、かあ、さまぁ……っ、母様ぁっ」
この日は夜更けだった。
酷い叫び声に駆けつけた母親は、愛し子を大事そうに抱き、安心させようと身を撫でる。
「大丈夫よ……、大丈夫。……今日も怖い夢を見たの?」
少女は身を震わせ、小さく頷く。
「……暗い……中で、いっぱいの目が……私を見ているのっ。前よりも……近くなってきてるのっ。……怖いっ。もう、いやぁっ」
その命が誕生した時から、少女は周囲から疎まれ続けてきた。
唯一の支えが両親と極わずかな少数でしかない。
日々襲う恐怖に苛まれ続け、幼き少女の心は酷く荒んだものとなっていた。
少年は誰にも知られず、一人泣いていた。
幼い少年には歯を食いしばり、混みあがる憎悪を戒めにへとぶつけ続ける。
「……なんでだよっ。……なんで……っ、母さんっ」
生まれた時から恵まれていた少年。
それが崩れ、少年は愛すべき母親に幽閉される。
ただ母親に疑問を抱く。混みあがる憎悪が本来誰に対してなのかすら気づくことができず……。いや、もしかしたら目を背けてしまっていたのかもしれない。
その怒りを向けるの事を心が止めてしまい、ただ戒めにへとばかりぶつけてしまっていた。
いざその元凶を前にすれば、少年は自身の不満などを殺し接する毎日。
「ごめんね……。寂しい思いさせて、ごめんね……」
謝る母親に心が痛む。悲しむ声と表情に、憎悪は罪悪感に代ってゆき、返答は励ましにへとなる。
「俺は平気だよ……。母さんは俺のために頑張ってるんだろ?」
傷つけたくない。今この均衡を崩せば、壊れてしまった母親を更に壊してしまう気がした。
母親を守れるのは自分しかいない。そう言い聞かせて、またその日も乗り切るのだ。
すべてが限界を迎えてしまい、彼らは【願い】を口にする。
目の前の世界を覆す【願い】を告げ……コレらは全て闇にへと葬る事となる。
……しかし、それは全て消え去ったわけではない。
…………まだその闇に、……コレらは潜んでいる。
そして、いつの日かまた会うだろう。
――【願い】を叶えた者たちよ。
――貴方たちが隠した、混沌としたその闇は……どれだけ貴方たちを地獄へ導くのでしょうか?
再会した彼らは魔界から出るため魔界門を目指す。
ネアの案内もあり安泰と思えたその道中、何者かの囁くような声と霧が道を阻む。
誰もが感じた。その身が覚えている嫌悪を。
そして彼らは目にする。――最悪の光景を。
少女が見たのは、炎々と燃える城内。その中を駆ける、二人の人物に目を向ける。
「――お母……様?」
赤い光景の中には、写真でしか見た事のない母親と自分。
少女は知る。自分が失くしてしまった記憶を。
その日、その時、あの場所で。あの魔銃使いと会った事を。
誰しも消してしまいたい記憶がある。
それはおぞましく、忌み嫌い、思い出す事すら拒みたくなる闇。
闇と共に沈めば、二度と帰っては来られない……。
【厄災の姫と魔銃使い】第六部 魔界編:後編 開幕
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――貴方には、忘れたい過去がありますか?
それは、痛みから逃れるために……。
それは、罪から遠ざかるために……。
それは、自分を正当化するために……。
それは、不必要と否定するために……。
人はそれらを忘れるために、心の奥底へしまい込む。
闇よりも深淵に。誰も立ち入れない領域にへと。
少女は泣いた。
彼女が泣かない日などない。
人に怯え、魔に怯え、夢に怯え……。
「……っ、かあ、さまぁ……っ、母様ぁっ」
この日は夜更けだった。
酷い叫び声に駆けつけた母親は、愛し子を大事そうに抱き、安心させようと身を撫でる。
「大丈夫よ……、大丈夫。……今日も怖い夢を見たの?」
少女は身を震わせ、小さく頷く。
「……暗い……中で、いっぱいの目が……私を見ているのっ。前よりも……近くなってきてるのっ。……怖いっ。もう、いやぁっ」
その命が誕生した時から、少女は周囲から疎まれ続けてきた。
唯一の支えが両親と極わずかな少数でしかない。
日々襲う恐怖に苛まれ続け、幼き少女の心は酷く荒んだものとなっていた。
少年は誰にも知られず、一人泣いていた。
幼い少年には歯を食いしばり、混みあがる憎悪を戒めにへとぶつけ続ける。
「……なんでだよっ。……なんで……っ、母さんっ」
生まれた時から恵まれていた少年。
それが崩れ、少年は愛すべき母親に幽閉される。
ただ母親に疑問を抱く。混みあがる憎悪が本来誰に対してなのかすら気づくことができず……。いや、もしかしたら目を背けてしまっていたのかもしれない。
その怒りを向けるの事を心が止めてしまい、ただ戒めにへとばかりぶつけてしまっていた。
いざその元凶を前にすれば、少年は自身の不満などを殺し接する毎日。
「ごめんね……。寂しい思いさせて、ごめんね……」
謝る母親に心が痛む。悲しむ声と表情に、憎悪は罪悪感に代ってゆき、返答は励ましにへとなる。
「俺は平気だよ……。母さんは俺のために頑張ってるんだろ?」
傷つけたくない。今この均衡を崩せば、壊れてしまった母親を更に壊してしまう気がした。
母親を守れるのは自分しかいない。そう言い聞かせて、またその日も乗り切るのだ。
すべてが限界を迎えてしまい、彼らは【願い】を口にする。
目の前の世界を覆す【願い】を告げ……コレらは全て闇にへと葬る事となる。
……しかし、それは全て消え去ったわけではない。
…………まだその闇に、……コレらは潜んでいる。
そして、いつの日かまた会うだろう。
――【願い】を叶えた者たちよ。
――貴方たちが隠した、混沌としたその闇は……どれだけ貴方たちを地獄へ導くのでしょうか?
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