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13.嵐の夜(1)※ルバート
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俺が、アメリアへの想いを一層強くしたのは、あの夏の出来事がきっかけだったと思う。
あれはアメリアが大学に入学した年のことだ。
いつものように学期末の休暇中、辺境伯領を訪れていた俺に、叔父上が、
「今年は夏も来たらいいのに。多分、今年はすごいものが見られると思うよ。」
と言ったのだ。
叔父上の言うすごいものは、いつも期待を裏切らなかったので、俺は胸を躍らせた。
「何が見られるのですか?」
俺が食いつくと、叔父上は嬉しそうに笑って、エールの入った盃を傾けた。
「なんと今年は、十年にたった一晩しか咲かない幻の花セイレーンサガリバナの開花が見られます。本当は去年咲くって言われてたんだけど咲かなかったんで、多分今年は咲くよ。」
おおー。と思わず声が漏れる。
十年に一度しか咲かない花なんて、見に行くしかない。
「セイレーンサガリバナの花は、すごく貴重な魔法薬になると言われている。なんせ、十年に一度しか咲かないわけだから、十年分の魔力を溜め込んでるわけよ。」
「それで、いつ咲くのですか?」
思わず、体が前のめりになる。
「八月の満月の晩だね。ザラタン海岸にセイレーンサガリバナの群生地があるんだけど、今年は王立研究所からも見にくる研究者がいるらしい。僕もその同行で一緒に行くんだ。だからさ、ルバートも来なよ。」
もう何があっても絶対に行くと決めた。
帰りの馬車の中でその話をすると、アメリアは控えめながらもはっきりと「行きます」と言ってくれた。
そうして、俺とアメリアはその年の夏、もう一度辺境伯領を訪れることになったのだった。
その年、叔父上の予想通り、セイレーンサガリバナは蕾をつけた。
叔父上からその連絡を受け、アメリアを含む研究室の有志と共に辺境伯領を再び訪れたのは、夏の終わりだった。
十年に一度のこととあって研究室からも参加者も多く、また王立研究所からの派遣もあったため、到着した時、辺境伯領主館はすごい盛況ぶりだった。
ただ、着いた時から少し風が強かったのを覚えている。
目的のザラタン海岸に着いたのは、翌日の午後過ぎだった。
アメリアだけが何故かいつもより緊張しているような顔をしていたが、同行したものが多かったためだろうと思っていた。
そして、待つこと数時間。
日が暮れ、雲の切れ間から満月が見えた瞬間、セイレーンサガリバナが一斉に咲き始めた。
この世のものとは思えない美しさだった。
「赤?」
初めて見るセイレーンサガリバナは赤い花だった。
事前に読んだ文献では白い花だと書いてあったのにと不思議に思っていると、急に強い風が吹き始めた。
「赤い花が咲くなんて・・・・」
隣にいたアメリアが小さく呟くのが聞こえた。
見れば、真っ青な顔をしている。
「やっぱり本当は赤じゃないのか?」
俺が問うと、アメリアはセイレーンサガリバナを見つめたまま答えた。
「セイレーンサガリバナが花をつけるときは、強い嵐が来るといわれているんです。中でも赤い花の時は、非常に強い嵐が来るとされていて、過去には数百人も死者が出たという記録もあったはずです。ルバート様、申し上げにくいのですが、今日はもう帰りましょう。」
アメリアはそう言ったが、わざわざ王都から三日もかけてやって来たのだ。
嵐と言っても、ここはまだ大丈夫だろうと、俺は判断を誤ってしまった。
その証拠に、叔父上は俺にも早く戻るよう言って、先に帰ってしまったのだから。
でも、俺はこの十年に一度、そしてその中でも珍しいと言う赤い花が咲いたことに、研究者としての私欲を優先させてしまったのだ。
気がついたとき、馬車が前に進めないほどの嵐の中にいた。
馬は怯え、強い風に煽られて馬車は倒れる寸前だった。
やっとのことで一番近くの宿にたどり着いた俺たちだったが、宿は既に俺たちより一足早く帰った王立研究所の研究者たちで満室だった。
「なんとか一部屋別にできないのか?女性がいるんだ。」
そう言って交渉したものの、宿の主人は既に満室のため、男性客なら部屋に分散して泊めることができるが、女性のために一部屋確保することはできないと言ってきた。
けれど、未婚の女子をたった一晩とはいえ、男性と同泊させることなどできるはずもない。
しかも、王都からの客もたくさんいる。
どこからか話が漏れて、アメリアに悪意ある噂を流すとも限らない。
生憎と、俺は王立研究所の人間から睨まれていた。
王立研究所のお株を奪うような発表を続けていたため、俺に嫌がらせをするためならば、公爵家子息である俺に矛は向けられなくても、平民であるアメリアを悪意の標的にすることは十分に考えられた。
ああ、だから叔父上は早く戻れと言ったのに。
なぜ、アメリアだけでも先に帰さなかったんだ。
完全に俺のミスだ。
アメリアを傷つけることだけはできないと思った。
「アメリア、他の宿屋を探してくるから、ここで待っていてくれ。」
外套を被り、俺がそう言うと、アメリアはまるでソフィアのように目を吊り上げた。
「何言ってるんですか!辺境伯領の嵐は、王都の嵐とは全然違うんです!死にたいんですか!!」
だが・・・と続けようとする俺に、アメリアは宿の主人に直接交渉を始めた。
「客室でなくても構いません。私は貴族の娘でもないので、どこでも大丈夫です。どこか一部屋お借りできませんか?」
そう言うと、宿の主人は少し考えた後、鍵はないが、普段物置にしている屋根裏部屋ならと提案してきた。
「鍵もない部屋に泊められるか!」
と俺は叫んだ。
さっき食堂に集まっていた宿の客を見たとき、いかにもならず者のような者たちもいたのだ。
こんな若い娘が鍵もない部屋に泊まっているとなれば、何を考えるか判ったものではない。
「ルバート様!非常事態なんです!私は大丈夫です!」
人の悪意など気づかないのだろうか、アメリアは頑なに屋根裏部屋に泊まると言い張った。
それで再三にわたる交渉の結果、俺が屋根裏部屋の扉前で見張るということで落ち着いたのだった。
あれはアメリアが大学に入学した年のことだ。
いつものように学期末の休暇中、辺境伯領を訪れていた俺に、叔父上が、
「今年は夏も来たらいいのに。多分、今年はすごいものが見られると思うよ。」
と言ったのだ。
叔父上の言うすごいものは、いつも期待を裏切らなかったので、俺は胸を躍らせた。
「何が見られるのですか?」
俺が食いつくと、叔父上は嬉しそうに笑って、エールの入った盃を傾けた。
「なんと今年は、十年にたった一晩しか咲かない幻の花セイレーンサガリバナの開花が見られます。本当は去年咲くって言われてたんだけど咲かなかったんで、多分今年は咲くよ。」
おおー。と思わず声が漏れる。
十年に一度しか咲かない花なんて、見に行くしかない。
「セイレーンサガリバナの花は、すごく貴重な魔法薬になると言われている。なんせ、十年に一度しか咲かないわけだから、十年分の魔力を溜め込んでるわけよ。」
「それで、いつ咲くのですか?」
思わず、体が前のめりになる。
「八月の満月の晩だね。ザラタン海岸にセイレーンサガリバナの群生地があるんだけど、今年は王立研究所からも見にくる研究者がいるらしい。僕もその同行で一緒に行くんだ。だからさ、ルバートも来なよ。」
もう何があっても絶対に行くと決めた。
帰りの馬車の中でその話をすると、アメリアは控えめながらもはっきりと「行きます」と言ってくれた。
そうして、俺とアメリアはその年の夏、もう一度辺境伯領を訪れることになったのだった。
その年、叔父上の予想通り、セイレーンサガリバナは蕾をつけた。
叔父上からその連絡を受け、アメリアを含む研究室の有志と共に辺境伯領を再び訪れたのは、夏の終わりだった。
十年に一度のこととあって研究室からも参加者も多く、また王立研究所からの派遣もあったため、到着した時、辺境伯領主館はすごい盛況ぶりだった。
ただ、着いた時から少し風が強かったのを覚えている。
目的のザラタン海岸に着いたのは、翌日の午後過ぎだった。
アメリアだけが何故かいつもより緊張しているような顔をしていたが、同行したものが多かったためだろうと思っていた。
そして、待つこと数時間。
日が暮れ、雲の切れ間から満月が見えた瞬間、セイレーンサガリバナが一斉に咲き始めた。
この世のものとは思えない美しさだった。
「赤?」
初めて見るセイレーンサガリバナは赤い花だった。
事前に読んだ文献では白い花だと書いてあったのにと不思議に思っていると、急に強い風が吹き始めた。
「赤い花が咲くなんて・・・・」
隣にいたアメリアが小さく呟くのが聞こえた。
見れば、真っ青な顔をしている。
「やっぱり本当は赤じゃないのか?」
俺が問うと、アメリアはセイレーンサガリバナを見つめたまま答えた。
「セイレーンサガリバナが花をつけるときは、強い嵐が来るといわれているんです。中でも赤い花の時は、非常に強い嵐が来るとされていて、過去には数百人も死者が出たという記録もあったはずです。ルバート様、申し上げにくいのですが、今日はもう帰りましょう。」
アメリアはそう言ったが、わざわざ王都から三日もかけてやって来たのだ。
嵐と言っても、ここはまだ大丈夫だろうと、俺は判断を誤ってしまった。
その証拠に、叔父上は俺にも早く戻るよう言って、先に帰ってしまったのだから。
でも、俺はこの十年に一度、そしてその中でも珍しいと言う赤い花が咲いたことに、研究者としての私欲を優先させてしまったのだ。
気がついたとき、馬車が前に進めないほどの嵐の中にいた。
馬は怯え、強い風に煽られて馬車は倒れる寸前だった。
やっとのことで一番近くの宿にたどり着いた俺たちだったが、宿は既に俺たちより一足早く帰った王立研究所の研究者たちで満室だった。
「なんとか一部屋別にできないのか?女性がいるんだ。」
そう言って交渉したものの、宿の主人は既に満室のため、男性客なら部屋に分散して泊めることができるが、女性のために一部屋確保することはできないと言ってきた。
けれど、未婚の女子をたった一晩とはいえ、男性と同泊させることなどできるはずもない。
しかも、王都からの客もたくさんいる。
どこからか話が漏れて、アメリアに悪意ある噂を流すとも限らない。
生憎と、俺は王立研究所の人間から睨まれていた。
王立研究所のお株を奪うような発表を続けていたため、俺に嫌がらせをするためならば、公爵家子息である俺に矛は向けられなくても、平民であるアメリアを悪意の標的にすることは十分に考えられた。
ああ、だから叔父上は早く戻れと言ったのに。
なぜ、アメリアだけでも先に帰さなかったんだ。
完全に俺のミスだ。
アメリアを傷つけることだけはできないと思った。
「アメリア、他の宿屋を探してくるから、ここで待っていてくれ。」
外套を被り、俺がそう言うと、アメリアはまるでソフィアのように目を吊り上げた。
「何言ってるんですか!辺境伯領の嵐は、王都の嵐とは全然違うんです!死にたいんですか!!」
だが・・・と続けようとする俺に、アメリアは宿の主人に直接交渉を始めた。
「客室でなくても構いません。私は貴族の娘でもないので、どこでも大丈夫です。どこか一部屋お借りできませんか?」
そう言うと、宿の主人は少し考えた後、鍵はないが、普段物置にしている屋根裏部屋ならと提案してきた。
「鍵もない部屋に泊められるか!」
と俺は叫んだ。
さっき食堂に集まっていた宿の客を見たとき、いかにもならず者のような者たちもいたのだ。
こんな若い娘が鍵もない部屋に泊まっているとなれば、何を考えるか判ったものではない。
「ルバート様!非常事態なんです!私は大丈夫です!」
人の悪意など気づかないのだろうか、アメリアは頑なに屋根裏部屋に泊まると言い張った。
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