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第3話 ニョロ太とゲコ太
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あるとき、イルと二人で家路への細い帰り道をぽくぽくと歩いていると、二人の男の子がカエルを手にびっくりさせようと茂みに隠れていた。
「さぁ、いくぞ!」「おぅ!」
タイミングを示し合わせて、一斉に飛び出してきた。
「わぁーーーーっ☆▽□★!」〃〃〃〃
一人は例のガキ大将でカエルを手にしているほうだ。もう一人は、いつもの取り巻き連中とは違って、立場が対等ないたずら仲間だそうだ。噂では、二人ともイルがお目当てで相手にされなかったことで気持ちが同調したのか、気が合って最近よくつるんでいるところが目撃されるらしい。親友? それとも傷心の友になったのかな?
この二人組でのいたずらは最近では毎度のことらしく、イルはいつも「はぁっ」と、考えるのも面倒臭そうにしているが、マコはなんとなく面白そうな予感を感じつつ少しだけ目をきらめかせて「んふっ」と笑みを漏らした。
たぶんイルのことが好き過ぎて、ちょっかいを出したいんだろうなぁ、というのがもろ分かりな二人だ。日本でもよくある、好きの裏返しでいじめちゃうやつ? ん? まるで幼稚園児?
この面白襲撃? に、マコはずいぶん遠くのうちに早々と気付いていて、すぐにイルにも教えていた。イルは不敵な笑みを滲ませて呟いた。
「ほぅほぅ、この私に襲撃とは。ずいぶんと舐められたものねぇ。学校ではケンカでも駆け足でも負けたことないんですけどね~」
イルの活発さと公正な態度を失わないのは、自身の精神的・体力的な強さなどの安定感から来ているんだろうなぁ……、という事実を再認識するのに十分な瞬間だった。「返り討ちにしよう」との意見で一致していたので、たまたま持っていた、ちょっとリアルなゴム製の蛇のおもちゃ (ちょっと大きめの日本製)を、口を開けるように持って、飛び出してきた男の子の鼻の前に差し出した。
「ぅわっ!」
「へっ、へび!?」
まさか蛇に遭遇するとは思ってもいなかったやんちゃ坊主たちの目には本物の蛇に映ったらしい。持ってたカエルを放り投げて、腰を抜かしていた。
ここは南アフリカ。田舎道なら、サバンナの茂みがすぐ近くにあるから、人が通る道にはあまり出てこないものの、脇の茂みに入れば、蛇くらいたぶんわんさか潜んでいるだろう。
「かっ、噛まれた~」っと、顔を両手で覆った。
「かっ、カエルが顔に!」
本物の蛇と信じて疑わない二人だったため、おもちゃの牙の先が手に触れたことで噛まれた、と思い込んでビックリした様子 (あれっ? 噛まれたとしたら手のはずなのに、その手で顔を覆ってるのはなぜ?)と、その後に、驚いて放り投げたカエルがもう一人の顔の真ん中にべちゃっと張り付く様子に、イルはツボにハマったようで、涙をこらえ、腹を抱えたい衝動に駆られていた。
が、あれっ? 二人のうちのカエル付きの子が、顔からカエルは取り払ったものの何か様子がおかしい。噛まれたと言ってたガキ大将のほうも、手とは別のところの異常を訴え始めた。
「体がしびれる……あれっ? オレも蛇に噛まれたのかな!?」
「なんだかオレも目が痺れて痛い……毒蛇だったのか?」
二人の突然の異変を目の当たりにして、ちょっと動揺しながら状況を整理してみる。
まず、最初に噛まれたと思った男の子 (ガキ大将だが、名前を知らないので仮称:ニョロ太、と呼称することにする)は、当然おもちゃの蛇だから噛まれるはずはない。
もう一人のカエル付き (こちらも同様、仮称:ゲコ太に呼称を決めた)も当然蛇に噛まれるはずはない。けれど、こちらはカエルが見事に顔面中央に直撃しピッタリ張り付かれた状況となっている。こちらも堅いものではないからぶつかる痛みはおそらくないはず。
あれっ? 毒カエル? いや、たぶんカエルとしては普通の色だから、その辺の普通のカエルだと思う。聞けばびっくりするけれど、地球上で最強の猛毒を持つカエルもいるらしく、そんな危険なカエルほど、黄色や青色などのとても派手で鮮やかな色をしているらしい。
あっ! 思い出したっ! そういえばパパからこんな話を聞いたことがある。
日本で最もポピュラーで可愛らしいカエルといえば、ニホンアマガエル。子供でも気軽に捕まえられるけど、「いくら可愛いアマガエルであっても、それを触った手で目を触ってはいけないよ」というアドバイスだ。
なんでも、カエルなどの両生類は、身の危険を感じると、皮膚の表面から神経性の毒を分泌するらしいのだ。カエルを触った手を洗わずに目をこすったり、口の中に毒が入ったりすると、炎症や幻覚作用が引き起こされるらしい。
もしかしたら、やばい事態なのでは……?
慌てて、回想シーンを脳内スライド (的機械のイメージ表現)で振り返ってみた。
キュルキュルキュル……
そうこのあたり。あっ、ここ。
―――――――――――――――――――
【キャプチャ01】……
飛び出したニョロ太の手にはカエル。横にはゲコ太。
オーラの輪郭には、感情の起伏が形になって表れることがある。このときはみんなふつうの薄いオーラだけど、いたずらっ気があるぶんなのか、頭のまわりがボコボコしている気がする。かえるを持つ手のまわりだけ、濃い感じ。かえるは状況の変化に少し慌てているのか、全体的にギザギザな感じ。
そうそう、近付く方向に加えてカエルを押し出してきたから、カエルとそれを持つ手がマコ達に急接近。と、ちょうどこちらもおもちゃ蛇をバッグから取り出す頃かな?
脳内スライドをコマ送り、っと、カツ、カツ、あっここだ。
―――――――――――――――――――
【キャプチャ02】……
返り討ち用のおもちゃ蛇にニョロ太が驚き、一瞬で血の気が引いていくカエル。
オーラはみんなびっくりモードなの? 輪郭を千切りにしたようなのが激怒した猫の逆立つ毛のような感じでピリピリしているように見える。
この瞬間、かえるはというと、戦慄している様子と、もうすでに汗みたいなのが噴き出してるのがわかる。たぶん、「あっ、これ、もう死ぬヤツだ」と悟ったような生気のない目をしてガタブル状態だ。
―――――――――――――――――――
【キャプチャ03】……
予想外のおもちゃ蛇の接近に距離が縮まりすぎたのか、ちょうど開いたおもちゃ蛇の口と、ニョロ太のカエルを持つ手が接触。
これを噛まれた~って勘違いしたのかな? カエルなんて、あまりの衝撃にオーラの表面の薄皮一枚くらいが弾け飛んだように見えた。意識が飛んだのではないだろうか?
っと、脳内スライドを少しだけコマ送り。
カっ、カッ。
あぁ~~、
―――――――――――――――――――
【キャプチャ04】【05】【06】……
接触の驚きと、分泌された脂汗? 神経毒? に、握る指を滑らせ、すり抜けて空中に放たれるカエル。
その勢いも重なり、カエルの分泌物も迸り、ニョロ太の顔面へ
浴びせられた何か (分泌物)を反射的に拭おうと、分泌物でべったりの手のひらがニョロ太の顔面へ向かう。
幸か不幸か、空中に舞う、意識も飛んでるっぽいかえるは、ゲコ太の顔面へ緊急落下中。だが、意識戻らず。
あ~、これはひどい。カエルの神経毒がニョロ太の目に入ったりしていないだろうか?
そんな心配をよそに、これほどの踏んだり蹴ったりな顛末を目にすることは、人生の中で、そう何度もありはしないくらい、貴重な体験をまさに今、享受していることに感動を覚えてしまう自分がいる。
ドキドキ、ドキドキ。
っと、コマ送り、カっ、カッ
―――――――――――――――――――
【キャプチャ07】【08】【09】……
顔面に飛んで付着したなにかを拭うつもりが、顔いっぱいに余計に塗り広げてしまうニョロ太の手。
ゲコ太、顔面に緊急着陸してしまう、分泌物まみれでガタブルながらも意識まで飛んでいるっぽいカエル。その衝撃で我に返り、「ゲコッ」、ゲコ太、顔面からずり落ちそうなことと、背後の恐怖に怯えつつ、溺れる者は藁をもつかむ、の境地に至ったのか、ゲコ太顔面にハシッと張り付き離さない。がくがくぶるぶる……
ゲコ太自身は、顔が覆われた瞬間、何が起こったのかわからないが、覆っているものを取り払おうと手を顔に向け、近付けようとする。
「さぁ、いくぞ!」「おぅ!」
タイミングを示し合わせて、一斉に飛び出してきた。
「わぁーーーーっ☆▽□★!」〃〃〃〃
一人は例のガキ大将でカエルを手にしているほうだ。もう一人は、いつもの取り巻き連中とは違って、立場が対等ないたずら仲間だそうだ。噂では、二人ともイルがお目当てで相手にされなかったことで気持ちが同調したのか、気が合って最近よくつるんでいるところが目撃されるらしい。親友? それとも傷心の友になったのかな?
この二人組でのいたずらは最近では毎度のことらしく、イルはいつも「はぁっ」と、考えるのも面倒臭そうにしているが、マコはなんとなく面白そうな予感を感じつつ少しだけ目をきらめかせて「んふっ」と笑みを漏らした。
たぶんイルのことが好き過ぎて、ちょっかいを出したいんだろうなぁ、というのがもろ分かりな二人だ。日本でもよくある、好きの裏返しでいじめちゃうやつ? ん? まるで幼稚園児?
この面白襲撃? に、マコはずいぶん遠くのうちに早々と気付いていて、すぐにイルにも教えていた。イルは不敵な笑みを滲ませて呟いた。
「ほぅほぅ、この私に襲撃とは。ずいぶんと舐められたものねぇ。学校ではケンカでも駆け足でも負けたことないんですけどね~」
イルの活発さと公正な態度を失わないのは、自身の精神的・体力的な強さなどの安定感から来ているんだろうなぁ……、という事実を再認識するのに十分な瞬間だった。「返り討ちにしよう」との意見で一致していたので、たまたま持っていた、ちょっとリアルなゴム製の蛇のおもちゃ (ちょっと大きめの日本製)を、口を開けるように持って、飛び出してきた男の子の鼻の前に差し出した。
「ぅわっ!」
「へっ、へび!?」
まさか蛇に遭遇するとは思ってもいなかったやんちゃ坊主たちの目には本物の蛇に映ったらしい。持ってたカエルを放り投げて、腰を抜かしていた。
ここは南アフリカ。田舎道なら、サバンナの茂みがすぐ近くにあるから、人が通る道にはあまり出てこないものの、脇の茂みに入れば、蛇くらいたぶんわんさか潜んでいるだろう。
「かっ、噛まれた~」っと、顔を両手で覆った。
「かっ、カエルが顔に!」
本物の蛇と信じて疑わない二人だったため、おもちゃの牙の先が手に触れたことで噛まれた、と思い込んでビックリした様子 (あれっ? 噛まれたとしたら手のはずなのに、その手で顔を覆ってるのはなぜ?)と、その後に、驚いて放り投げたカエルがもう一人の顔の真ん中にべちゃっと張り付く様子に、イルはツボにハマったようで、涙をこらえ、腹を抱えたい衝動に駆られていた。
が、あれっ? 二人のうちのカエル付きの子が、顔からカエルは取り払ったものの何か様子がおかしい。噛まれたと言ってたガキ大将のほうも、手とは別のところの異常を訴え始めた。
「体がしびれる……あれっ? オレも蛇に噛まれたのかな!?」
「なんだかオレも目が痺れて痛い……毒蛇だったのか?」
二人の突然の異変を目の当たりにして、ちょっと動揺しながら状況を整理してみる。
まず、最初に噛まれたと思った男の子 (ガキ大将だが、名前を知らないので仮称:ニョロ太、と呼称することにする)は、当然おもちゃの蛇だから噛まれるはずはない。
もう一人のカエル付き (こちらも同様、仮称:ゲコ太に呼称を決めた)も当然蛇に噛まれるはずはない。けれど、こちらはカエルが見事に顔面中央に直撃しピッタリ張り付かれた状況となっている。こちらも堅いものではないからぶつかる痛みはおそらくないはず。
あれっ? 毒カエル? いや、たぶんカエルとしては普通の色だから、その辺の普通のカエルだと思う。聞けばびっくりするけれど、地球上で最強の猛毒を持つカエルもいるらしく、そんな危険なカエルほど、黄色や青色などのとても派手で鮮やかな色をしているらしい。
あっ! 思い出したっ! そういえばパパからこんな話を聞いたことがある。
日本で最もポピュラーで可愛らしいカエルといえば、ニホンアマガエル。子供でも気軽に捕まえられるけど、「いくら可愛いアマガエルであっても、それを触った手で目を触ってはいけないよ」というアドバイスだ。
なんでも、カエルなどの両生類は、身の危険を感じると、皮膚の表面から神経性の毒を分泌するらしいのだ。カエルを触った手を洗わずに目をこすったり、口の中に毒が入ったりすると、炎症や幻覚作用が引き起こされるらしい。
もしかしたら、やばい事態なのでは……?
慌てて、回想シーンを脳内スライド (的機械のイメージ表現)で振り返ってみた。
キュルキュルキュル……
そうこのあたり。あっ、ここ。
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【キャプチャ01】……
飛び出したニョロ太の手にはカエル。横にはゲコ太。
オーラの輪郭には、感情の起伏が形になって表れることがある。このときはみんなふつうの薄いオーラだけど、いたずらっ気があるぶんなのか、頭のまわりがボコボコしている気がする。かえるを持つ手のまわりだけ、濃い感じ。かえるは状況の変化に少し慌てているのか、全体的にギザギザな感じ。
そうそう、近付く方向に加えてカエルを押し出してきたから、カエルとそれを持つ手がマコ達に急接近。と、ちょうどこちらもおもちゃ蛇をバッグから取り出す頃かな?
脳内スライドをコマ送り、っと、カツ、カツ、あっここだ。
―――――――――――――――――――
【キャプチャ02】……
返り討ち用のおもちゃ蛇にニョロ太が驚き、一瞬で血の気が引いていくカエル。
オーラはみんなびっくりモードなの? 輪郭を千切りにしたようなのが激怒した猫の逆立つ毛のような感じでピリピリしているように見える。
この瞬間、かえるはというと、戦慄している様子と、もうすでに汗みたいなのが噴き出してるのがわかる。たぶん、「あっ、これ、もう死ぬヤツだ」と悟ったような生気のない目をしてガタブル状態だ。
―――――――――――――――――――
【キャプチャ03】……
予想外のおもちゃ蛇の接近に距離が縮まりすぎたのか、ちょうど開いたおもちゃ蛇の口と、ニョロ太のカエルを持つ手が接触。
これを噛まれた~って勘違いしたのかな? カエルなんて、あまりの衝撃にオーラの表面の薄皮一枚くらいが弾け飛んだように見えた。意識が飛んだのではないだろうか?
っと、脳内スライドを少しだけコマ送り。
カっ、カッ。
あぁ~~、
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【キャプチャ04】【05】【06】……
接触の驚きと、分泌された脂汗? 神経毒? に、握る指を滑らせ、すり抜けて空中に放たれるカエル。
その勢いも重なり、カエルの分泌物も迸り、ニョロ太の顔面へ
浴びせられた何か (分泌物)を反射的に拭おうと、分泌物でべったりの手のひらがニョロ太の顔面へ向かう。
幸か不幸か、空中に舞う、意識も飛んでるっぽいかえるは、ゲコ太の顔面へ緊急落下中。だが、意識戻らず。
あ~、これはひどい。カエルの神経毒がニョロ太の目に入ったりしていないだろうか?
そんな心配をよそに、これほどの踏んだり蹴ったりな顛末を目にすることは、人生の中で、そう何度もありはしないくらい、貴重な体験をまさに今、享受していることに感動を覚えてしまう自分がいる。
ドキドキ、ドキドキ。
っと、コマ送り、カっ、カッ
―――――――――――――――――――
【キャプチャ07】【08】【09】……
顔面に飛んで付着したなにかを拭うつもりが、顔いっぱいに余計に塗り広げてしまうニョロ太の手。
ゲコ太、顔面に緊急着陸してしまう、分泌物まみれでガタブルながらも意識まで飛んでいるっぽいカエル。その衝撃で我に返り、「ゲコッ」、ゲコ太、顔面からずり落ちそうなことと、背後の恐怖に怯えつつ、溺れる者は藁をもつかむ、の境地に至ったのか、ゲコ太顔面にハシッと張り付き離さない。がくがくぶるぶる……
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