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第15話 ジンの力
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「本当に綺麗になったね。見違えたよ。とても美しい。ソフィアを可愛いって誉めてくれたけど、今のあなたも相当可愛いと思うよ。今のあなたが本当のあなたの姿なんだと思う。その差の大きさが、イルちゃんとの生活を守るために忙殺される日常を頑張って繰り返してきた結果との差なのだから、それほどにがんばったし、イルちゃんへの愛も深かった証なんだね」
「え? ええ? そんな風に労ってくれる人はいなかったなぁ。そうかぁ。うん。そうかそうかぁ。私の頑張りはこれほどまで大きかったんだね。いつもなら、頑張ったねって誉められることはあっても、その人は私の頑張りを見てきたわけではないから、社交辞令にしか聞こえなかったし、私も濁し笑いだった。私の人生を見てきたわけではないのに、そんな方法で労うなんて、ジンさんズルい。うぅ」
「あ、あ、気を悪くしたのなら、ごめんなさい」
「ち、ちち、違うの。私の苦労がこれほどに大きかったことをわかりやすい形で評価・示してくれて、嬉しいの。私の「頑張った」、と、あなたの「頑張ったね」が同じ大きさだから、心からの労いなのが嬉しくて、この瞬間に頑張って良かったって、報われたって、もう、心がフルフル震えて嬉しくてたまらないの。ありがとう」
「私の積み重ねる時間の中にあなたの存在はなかったから、一番知らないはずの人が、なぜそんなに的確に労えてしまうの? その一言だけで私の心は鷲掴みにされちゃうじゃない。それがズルいってことよ」
「ソフィア? あなたの旦那様は相当の女性キラーだと思うわ。気を付けた方がいいわよ。それで私はジンさんを好きになってもいいのかしら?」
「え? あ? うっ、それは困るけど……」
ママは一瞬うろたえる。
が、建前を心で反芻し、徐々に心を持ち直す。
「好きになるのは個人の自由だし……」
「うん。みんなに愛される旦那様の方がいいわ。だから、好きになってもかまわないわよ。特に今日だけは心から愛し合って欲しいの。ジンのエネルギーを拒絶なく受け入れる必要があるし、好きという気持ちがそれを後押ししてくれると思うから……でも、誰にも渡さないけどね」
ママは心を持ち直したようで、これが一夫多妻なら、本妻の威厳を示す、そんな様相を見ているようだ。
「あははは、ソフィアの美しさには誰も敵いっこないわね。では、今日だけは奥さま公認なので、たくさん好きになって、甘えちゃいますよ。いいんですね?」
ケインはママの意見を尊重し、許容される境界線を確認したいようだが、ママの心境は複雑なようだ。
「え、え? も、もちろんいいわよ。きょ、今日だけだからね? でも、ケインがここまで可愛かったなんて誤算だったわ。特にそのストロベリーブロンドなんて、反則よぉ! ジン、信じてるわよ」
「あぁ、オレは揺るがないよ。大丈夫。ソレにしても見事な髪だな。初めて見たよ。世界中が振り返りそうな美しさだな」
「では容赦なく。イル? 今日のお母さんはジンさんに首っ丈になるからよろしくね? なんならあなたもジンさんをパパと思って家族ごっこしない?」
「ソフィア? それもいいんでしょ? 今日は」
「え、ええ、かまわないわよ。でもわたしもマコちゃも普通にパパとして接するからね」
「今パパは奥さんが2人、娘が2人ってことね? じゃあ今日はイルお姉ちゃんだ」
「あら? あなた、良かったわね。今日だけは念願の一夫多妻が実現したわよ」
「お? おぅ、そうだね。はからずも実現してしまったよ。じゃあ、今日は家族五人てお風呂に入ろうか」
「それいいね。やったぁ、ね、イル姉」
「うん、楽しそう」
「じゃあ、私がジンさんのお背中流しますね」
「あぁ、お願いしようかな? あっ、それより先に、ケイン? キスしよ?」
「はい。ジンさん」
そうして、パパはケインとキスを交わす。ウットリとするケイン。
と、直ぐにケインの様子が少しおかしい。最初に一度だけビクンしたと思ったら、パパを強く抱きしめ恍惚の表情で、キスしたままの状態でフリーズする。よくよく見ると小刻みに震えている。
ママは、キスを始める姿を見て、良々と頷いていたが、長すぎるキスに、焦れったさを感じ始めているようだ。
イルは、キスを始める姿を見て、目を真ん丸くして、わぁって漏らしながら見始めてから、ずっと釘付けで、目がトローンとしている。恋に恋する乙女という言葉は、こういう状態を言ってるのかな?
キスとは、そんなに気持ち良いものなのかな? そういえば、ママもパパとのキスが大好きだ。なんかマコだけがキスというものの良さを知らないみたいだ。
「ママァ、マコもパパとキスしてみたい。なんかマコだけキスがどういうものか知らないみたい」
「イ、イルも。パパさんとしてみたいです」
「あら? あなたたち。パァパァ、どうする~? 美女、ん? そう、美少女4人にモテモテよ~?」
「えぇ? ぷはぁーっ。あ、ゴメン。ちょっと、お口休憩ね」
パパは、キスをやめてママに答える。
「なに? ソフィア。モテ期来ちゃった?」
「んー、なんかそれムカつくわね。それより、ちょっとだけど、ひとまず安泰なくらい補充されたみたいだから、キスはストップよ。宴がまだじゃない。みんなお腹空いたでしょ?」
「あー、そういえば、おなか空いてるんだった」
「イルも」
「じゃあ、ケインはいったん離れて服でも着たら?」
「んーっ、寒くないからいいや。あとでお風呂に入るんでしょう? それにみんなに見られまくっているのに今さら着るのも変な感じだし、今日はジンさんにできるだけ見てもらいたいし、くっついていたい。だから、このままがいいな」
「あ、そぉお? なら好きにしていいわよ。ジンはお風呂の準備をよろしくね。マコちゃ、イルちゃ、パパを手伝ってあげて」
「「はーい」」
「ケイン? ちょっと診させてくれる?」
「はい。お願いします」
ソフィアはケインの体内をオーラでまさぐる。
「うん。少しだけど、心配な状況は脱してるわね、どぉお? ジンのキス。気持ち良かったでしょ?」
「えぇ、とぉぉっても。アーン。ソフィアがうらやましいわ? 明日からまたジンさん一人占めできるんだもん。ぷぅぅ」
「うーん。早く再婚しなさいよ。でもそれまでは、たまにキスするぐらいは大目に見るわよ。減るもんでもないし?」
「えぇ? ホント? やったぁ」
「あ、いや、やっぱり、うーん。ちょっと考えさせて。嫉妬しちゃうかも?」
「えー、残念」
「あら? 意外にあっさり引き下がるのね」
「だって、ジンさんはソフィアのものだもの。それに二人の関係が壊れるのは嫌だから。ジンさんもソフィアも大好きだし、それ以前に大恩人だもの。でもジンさんとの接触はなぜあんなにも気持ちいいのかしら? 何か特別な存在に思えてしまうわ」
「そうね。私もジンとの出会いは、あり得ないくらいの低い確率で巡り会った運命的なものだったから、神様からのスペシャルギフトだと思ってるわ」
ソフィアは、魔力の行使モードから復帰する。
「えー、出会いのエピソード聞きたいなぁ? あぁ、金髪碧眼に戻ったわ。不思議ねぇ。どうして黒髪黒眼になるのかしら? でも、どっちのソフィアもステキだけど、金髪碧眼なほうは、あり得ないくらいの神々しさね? あれっ? でも、私ソフィアの顔、知ってるわ? どこかで見た気がするの。もしかして有名な女優さんだったりするのかしら?」
「あー、どれも相当長くなるし、もういくつかの壁をケインが乗り越えてからじゃないと話せないかな?」
「って、まだまだ秘密が控えてるのね。頑張るわ」
「うん、期待してる。それよりさ、マコちゃとイルちゃの目があるから、なかなかうまく進めにくいのだけど、お風呂上がったら、どこかでその、声の届かない離れた場所で見つからないようにくっついて過ごす……とか? あー、やっぱり無理があるね。やっぱり却下だね。なんとか二人を寝かしちゃおう。その後でじっくりとね」
「よく、わからないのだけど、ただキスしながら密着しているだけで、そんなにも乱れるものなの? 子どもたちに見せられないって、そういうことなんでしょう?」
「そうね。少なくとも私は初めてのとき、身体全体に行き渡る一つ一つのあまりの気持ちよさとそれに抗えない自分に驚いたわ。今は随分慣れたからそこまではならないし、当時だって、まだマコちゃはいなかったから問題なかったけどね。ケインも同じかはまだわからないけど、さっきのあなたの様子からは、おそらく……」
「ふーん。まだ半信半疑だけど、子どもたちの目は気にするとして、そんなにも気持ち良いのなら、少し楽しみね。それに私だってそう若くはないから、堪える術だった身に付けているつもりだから、たぶん大丈夫よ?」
「まぁ、そうかもしれないわね。じゃあ、そう気にするほどでもないのかしら?」
パタパタとマコたちが元の部屋に駆け込む。
「ママァ、お風呂の準備が大体できたよー。でね? すごいんだよ?」
「え? ええ? そんな風に労ってくれる人はいなかったなぁ。そうかぁ。うん。そうかそうかぁ。私の頑張りはこれほどまで大きかったんだね。いつもなら、頑張ったねって誉められることはあっても、その人は私の頑張りを見てきたわけではないから、社交辞令にしか聞こえなかったし、私も濁し笑いだった。私の人生を見てきたわけではないのに、そんな方法で労うなんて、ジンさんズルい。うぅ」
「あ、あ、気を悪くしたのなら、ごめんなさい」
「ち、ちち、違うの。私の苦労がこれほどに大きかったことをわかりやすい形で評価・示してくれて、嬉しいの。私の「頑張った」、と、あなたの「頑張ったね」が同じ大きさだから、心からの労いなのが嬉しくて、この瞬間に頑張って良かったって、報われたって、もう、心がフルフル震えて嬉しくてたまらないの。ありがとう」
「私の積み重ねる時間の中にあなたの存在はなかったから、一番知らないはずの人が、なぜそんなに的確に労えてしまうの? その一言だけで私の心は鷲掴みにされちゃうじゃない。それがズルいってことよ」
「ソフィア? あなたの旦那様は相当の女性キラーだと思うわ。気を付けた方がいいわよ。それで私はジンさんを好きになってもいいのかしら?」
「え? あ? うっ、それは困るけど……」
ママは一瞬うろたえる。
が、建前を心で反芻し、徐々に心を持ち直す。
「好きになるのは個人の自由だし……」
「うん。みんなに愛される旦那様の方がいいわ。だから、好きになってもかまわないわよ。特に今日だけは心から愛し合って欲しいの。ジンのエネルギーを拒絶なく受け入れる必要があるし、好きという気持ちがそれを後押ししてくれると思うから……でも、誰にも渡さないけどね」
ママは心を持ち直したようで、これが一夫多妻なら、本妻の威厳を示す、そんな様相を見ているようだ。
「あははは、ソフィアの美しさには誰も敵いっこないわね。では、今日だけは奥さま公認なので、たくさん好きになって、甘えちゃいますよ。いいんですね?」
ケインはママの意見を尊重し、許容される境界線を確認したいようだが、ママの心境は複雑なようだ。
「え、え? も、もちろんいいわよ。きょ、今日だけだからね? でも、ケインがここまで可愛かったなんて誤算だったわ。特にそのストロベリーブロンドなんて、反則よぉ! ジン、信じてるわよ」
「あぁ、オレは揺るがないよ。大丈夫。ソレにしても見事な髪だな。初めて見たよ。世界中が振り返りそうな美しさだな」
「では容赦なく。イル? 今日のお母さんはジンさんに首っ丈になるからよろしくね? なんならあなたもジンさんをパパと思って家族ごっこしない?」
「ソフィア? それもいいんでしょ? 今日は」
「え、ええ、かまわないわよ。でもわたしもマコちゃも普通にパパとして接するからね」
「今パパは奥さんが2人、娘が2人ってことね? じゃあ今日はイルお姉ちゃんだ」
「あら? あなた、良かったわね。今日だけは念願の一夫多妻が実現したわよ」
「お? おぅ、そうだね。はからずも実現してしまったよ。じゃあ、今日は家族五人てお風呂に入ろうか」
「それいいね。やったぁ、ね、イル姉」
「うん、楽しそう」
「じゃあ、私がジンさんのお背中流しますね」
「あぁ、お願いしようかな? あっ、それより先に、ケイン? キスしよ?」
「はい。ジンさん」
そうして、パパはケインとキスを交わす。ウットリとするケイン。
と、直ぐにケインの様子が少しおかしい。最初に一度だけビクンしたと思ったら、パパを強く抱きしめ恍惚の表情で、キスしたままの状態でフリーズする。よくよく見ると小刻みに震えている。
ママは、キスを始める姿を見て、良々と頷いていたが、長すぎるキスに、焦れったさを感じ始めているようだ。
イルは、キスを始める姿を見て、目を真ん丸くして、わぁって漏らしながら見始めてから、ずっと釘付けで、目がトローンとしている。恋に恋する乙女という言葉は、こういう状態を言ってるのかな?
キスとは、そんなに気持ち良いものなのかな? そういえば、ママもパパとのキスが大好きだ。なんかマコだけがキスというものの良さを知らないみたいだ。
「ママァ、マコもパパとキスしてみたい。なんかマコだけキスがどういうものか知らないみたい」
「イ、イルも。パパさんとしてみたいです」
「あら? あなたたち。パァパァ、どうする~? 美女、ん? そう、美少女4人にモテモテよ~?」
「えぇ? ぷはぁーっ。あ、ゴメン。ちょっと、お口休憩ね」
パパは、キスをやめてママに答える。
「なに? ソフィア。モテ期来ちゃった?」
「んー、なんかそれムカつくわね。それより、ちょっとだけど、ひとまず安泰なくらい補充されたみたいだから、キスはストップよ。宴がまだじゃない。みんなお腹空いたでしょ?」
「あー、そういえば、おなか空いてるんだった」
「イルも」
「じゃあ、ケインはいったん離れて服でも着たら?」
「んーっ、寒くないからいいや。あとでお風呂に入るんでしょう? それにみんなに見られまくっているのに今さら着るのも変な感じだし、今日はジンさんにできるだけ見てもらいたいし、くっついていたい。だから、このままがいいな」
「あ、そぉお? なら好きにしていいわよ。ジンはお風呂の準備をよろしくね。マコちゃ、イルちゃ、パパを手伝ってあげて」
「「はーい」」
「ケイン? ちょっと診させてくれる?」
「はい。お願いします」
ソフィアはケインの体内をオーラでまさぐる。
「うん。少しだけど、心配な状況は脱してるわね、どぉお? ジンのキス。気持ち良かったでしょ?」
「えぇ、とぉぉっても。アーン。ソフィアがうらやましいわ? 明日からまたジンさん一人占めできるんだもん。ぷぅぅ」
「うーん。早く再婚しなさいよ。でもそれまでは、たまにキスするぐらいは大目に見るわよ。減るもんでもないし?」
「えぇ? ホント? やったぁ」
「あ、いや、やっぱり、うーん。ちょっと考えさせて。嫉妬しちゃうかも?」
「えー、残念」
「あら? 意外にあっさり引き下がるのね」
「だって、ジンさんはソフィアのものだもの。それに二人の関係が壊れるのは嫌だから。ジンさんもソフィアも大好きだし、それ以前に大恩人だもの。でもジンさんとの接触はなぜあんなにも気持ちいいのかしら? 何か特別な存在に思えてしまうわ」
「そうね。私もジンとの出会いは、あり得ないくらいの低い確率で巡り会った運命的なものだったから、神様からのスペシャルギフトだと思ってるわ」
ソフィアは、魔力の行使モードから復帰する。
「えー、出会いのエピソード聞きたいなぁ? あぁ、金髪碧眼に戻ったわ。不思議ねぇ。どうして黒髪黒眼になるのかしら? でも、どっちのソフィアもステキだけど、金髪碧眼なほうは、あり得ないくらいの神々しさね? あれっ? でも、私ソフィアの顔、知ってるわ? どこかで見た気がするの。もしかして有名な女優さんだったりするのかしら?」
「あー、どれも相当長くなるし、もういくつかの壁をケインが乗り越えてからじゃないと話せないかな?」
「って、まだまだ秘密が控えてるのね。頑張るわ」
「うん、期待してる。それよりさ、マコちゃとイルちゃの目があるから、なかなかうまく進めにくいのだけど、お風呂上がったら、どこかでその、声の届かない離れた場所で見つからないようにくっついて過ごす……とか? あー、やっぱり無理があるね。やっぱり却下だね。なんとか二人を寝かしちゃおう。その後でじっくりとね」
「よく、わからないのだけど、ただキスしながら密着しているだけで、そんなにも乱れるものなの? 子どもたちに見せられないって、そういうことなんでしょう?」
「そうね。少なくとも私は初めてのとき、身体全体に行き渡る一つ一つのあまりの気持ちよさとそれに抗えない自分に驚いたわ。今は随分慣れたからそこまではならないし、当時だって、まだマコちゃはいなかったから問題なかったけどね。ケインも同じかはまだわからないけど、さっきのあなたの様子からは、おそらく……」
「ふーん。まだ半信半疑だけど、子どもたちの目は気にするとして、そんなにも気持ち良いのなら、少し楽しみね。それに私だってそう若くはないから、堪える術だった身に付けているつもりだから、たぶん大丈夫よ?」
「まぁ、そうかもしれないわね。じゃあ、そう気にするほどでもないのかしら?」
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