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第18話 パパのすごいところ
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ジェイムズが駆け寄ってきた。
「あらかた、取り押さえました。皆さんはご無事でしたか?」
「えぇ、ケガなどありませんよ」
「あぁ、それは良かった。それはそうと、ミスターイチノセ、何か銃のようなものを使った音がしたように聞こえましたが、アレは何ですか?」
「あぁ、それはこの花火の玉です。日本で売っている、子供でも買えるもので、紙みたいな素材ですから、当たっても痛くないし、まぁ、音がするだけのもので、今日の場合、ハッタリとして有効でした。これを思いっきり地面にぶつけると火薬で音が鳴るのが確認できますよ。やってみますか?」
「なるほど、だから今日は大したけが人がひとりもいないわけですね。どれ? おひとつ。これを地面に思いっきり投げる、っと、「パァァン」おぉぉ、なるほど。うん。この音でした。それにしても、大した策士振りでした。何から何まで洗練され、スマートかつ大胆な切り口で惚れ惚れしました。しかも、警察のトップや、ギャングの元締めまで巻き込めるその大胆さと人脈、あなたは、本当は何者なんでしょうね?」
「いえいえ、前にも申し上げた通り、日本から来ているただの研究調査員ですよ。たまたま知り合いに詳しいやつがいて伝手を辿ったら偶然が重なり驚いているくらいです」
「ふーむ。まぁ、いいでしょう。俄然、あなたに興味が沸きましたがね。本来は重要参考人としての聞き取りをするところですが、お疲れでしょうし、状況証拠ややり取りの内容などは大体押さえているので、改めてお聞きすることは少ないと思いますから、本日はお引き取りいただいて大丈夫です。それでも疑問点などは浮かび上がるでしょうから、後日纏めてお聞きすることになると思います。そのときはまた改めてお話をうかがわせてください」
「そうですか。ご配慮感謝します。マコト、録音テープをお渡しして」
「了解。はい、どうぞ」
「おぅ、ありがとう、お嬢ちゃん。あぁ、録音テープがあるのなら、おそらくほとんどお聞きすることもなくなりますね。何から何まで用意周到で恐れ入ります。あらら、お嬢ちゃん。幼いながら、よく見るとエラいべっびんさんじゃないか。ヤツらが絶賛するのも頷けますわ。これは将来が楽しみですな」
「はい。自慢の娘ですから」
「あれっ? マコ誉められてる? エヘヘ」
「ただ、こんな危険なところに大事な娘さんを同行させるのはどうかと思いますがね。まぁ、それゆえのお父さんの注意を引く行動だったとは思いますが、最後にヤツらが押し寄せる場面、まぁ、警官の到着が間に合ったから良かったですが、何か考えがあってのことですか?」
「えぇ、まぁ、詳しくは申しませんが、うちの娘は優秀なんです。警官が到着しなくとも余裕でなんとかできるほどにね」
「ほぅ、それはまた興味深い」
「えへん」
「ほぅ、そんな優秀さとは裏腹に、なんとまぁ可愛らしいこと。お父さんが羨ましいですな? ワハハハ」
「アハハハ、もう珠玉の宝物です。仕舞ってはおけませんが」
「それは難しいところですね。それではまた」
「またどこかで」
「これでイルのおうちに巣くいかけた害虫駆除も完了だな? あぁ、そうか、借金返済に関してはまだ終わってないのか。まぁ、これも整理すれば返済完了してるかもしれないなぁ。まぁ、細かいことは明日考えよう。さぁ、帰るか」
「「うん」」
帰りは、イルのお家の中を、荒らされた分、少し片付けて、せっかくの軽トラなので、前回運べなかった荷物を荷台に乗せて、子供空間をパパに作ってもらったから、イルと2人で乗り込んだ。
「じゃあ、忘れ物はないな? 帰るぞぉ!」
「「オー!」」
「今日の戦い、スゴかったね。マコちゃん。まだドキドキしてるよ。武器なんて何も持ってなかったはずなのに、面白いように敵の銃なんかが弾き飛ばされてた。たぶんマコちゃん、狙撃してたよね?」
「え? なんでそう思うの?」
「状況と立ち位置、それから弾き飛ばされる方向を見れば、もうやったのはマコちゃんとしか思えないのだけど、マコちゃんは微動だにしなかったよね。アレはなに? どうやったら、そんなことができちゃうの? これも魔法なの?」
「あー、半分正解。さすがにイルはよく見てるね。少し長いけど、ザックリ説明要る?」
「うん。聞きたい聞きたい」
「「つぶて」といって、パパが教えてくれたんだ。元々は投石機とかで投げる石なんかのことらしい。マコたちは小石とか今日みたいな花火とかを指で弾くのをそう呼んでるの。昔、忍者のマンガでそういうつぶてを撃つシーンを見たことがあるんだ。でも、実際には人の力で威力あるつぶてを撃つのは難しいよね? だけどマコたちならそれができちゃうんだよね。すべてはパパの発想なんだけど、指で強く弾いて魔力で加速するの。まぁ、今度教えるね。だから、今日は指だけ動かしていたから、敵に悟られずゆっくり狙撃できたんだな」
「スゴーイ、そんなことができるのね? だから、ああいう構図の状況になったんだね」
「構図?」
「うん。たぶん、ジ、パ、パパもそのつぶてが撃てるんでしょ?」
「うん。パパが撃つともっとすごいよ」
「そうだよね。さっきの説明の花火の紙玉? それを足元に向かって派手に撃つことで注意を引いていただけで、誰にも当てていなかったもん。もしもパパの本気のが当たると凄いことになっていたと思うけど、それはやっちゃだめだよね。ただの民間人なのだから。それは置いといて、パパの動きとそれにより動かされる敵の配置がスゴいと思ったの。外に広がらないように派手な威嚇も合わせて、すぼめるように誘導した結果、パパに吸い寄せられるような集まり方をしてたの。ティアドロップ型というか……」
「ティアドロップ型?」
「あぁ、涙の滴みたいな形。丸の円周の一点だけを引っ張ったような形よ。その引っ張った先にパパがいるの」
「ほぅ、なるほど、それでそれで?」
「そうすると、相手は一点に集中する形になるから、後の人の射線は前の人に封じられて、ただの金魚の糞状態になるわけ。結果、前側の数人しか撃てないでしょ?」
「おぉ! そんな思惑があったのか!」
「しかも、その数人もマコちゃんが狙撃で順に落としていくし、一定方向なら、シールドがきっちり機能するから、派手に威嚇して囮に徹しているだけなのに、安全がきっちり確保されてる寸法ね」
「おぉ、なんて見事な。さすがはパパ殿!」
「もちろん、そのお陰もあって、マコちゃんへの注意は削がれるわけで、マコちゃんを守りながら、敵を傷付けずに翻弄しつつ、警察が来るまでの時間を稼ぐ。それでいて自身の防御も確保する。もう、「お見事」としか形容できないよね。惚れ惚れしちゃう」
「うーーん。なるほど。やはりそういう血脈なのかなぁ?」
マコは右手の親指を顎に当て、視線を落とし、少し考えこむ仕草をとった。
「ん? どうしたの、マコちゃん」
「うん。イルの解説を聞いていると、ふと、思い出したことがあってね。前回もそうだけど、戦いの場面のパパって、なんだか活き活きしてて、無駄なくソツなく最良の戦果を上げる戦の天才ではないかな? って思いが湧いてきたんだ」
「あぁ、その言葉、ピッタリと符合が合った感じがするね」
「やっぱりそう思うよね? それでね。イルはわからないかもしれないけど、800年ほど昔、そういう武将が日本にいたんだ。その人は源義経といって、今でも多くの日本人に愛されていて、たぶん知らない人はいないくらいなの」
「あー、聞いたことがあるかも?」
「え? 知ってるんだ? その人は歴史上、子孫はいないことになってるんだけど、パパは、どうもその血脈の継承者みたいなの。だからパパのすごさを見た人の評価が、源義経のものと被るように感じるのは、やはりその資質が受け継がれているのかなって。シャナが誇らしい、って言ってたことに、激しく同意しちゃうな」
「シャナ? 前にも聞いたよね」
「あぁ、そうだよね。まだ話してないからね。細かいことは、別の機会に話すけど、ママ側のご先祖さまなの。それで漆黒の魔女のルーツともいえる人。そんでもって、その源義経の娘さんなの」
「え? えぇ? えぇぇっ? ちょ、ちょっと待って! なんとなく理解できた。つまり、ソフィーやマコちゃんの800年前の魔女であるご先祖さまが源義経と結ばれて、漆黒の魔女でもあるシャナさんが生まれたと。それとは別に、源義経に関わる血脈にあり、源義経を彷彿させるような資質で、漆黒の力を引き出せるあの強力な能力を持つジンさんとソフィーが巡り会い、ここにマコちゃんがいると。そういうことなのね。まだいくつか欠けたピースがあるけれど、何? その時代をも超越したスペクタクルな超運命的な巡り合わせ。もう、あなたと出会ってからスゴすぎて、楽しすぎて、心が爆発しそうよ! もう、ずっと、ワクワクしてて、鼓動がドッキドキよ?」
「うわーっ! やっぱりイルの頭の中はすごいのね? その理解力ハンパないよ」
「アハハ、ありがとう。でも、イルからすれば、マコちゃんのほうがスゴすぎるわよ。それとね、たくさんある、抜けたピースの中で、すごくわからない、理解が追い付かない大きなピースがひとつだけあるの。そのシャナさんが凄いご先祖さまなのはわかった。けれど、とうに亡くなられているそんな昔の方なのに、マコちゃんはあたかもすぐ近くにいるような口振りに聞こえるのよ? そういえば、この間、なんかテレパシーみたいな、お話ししていたような……」
「アハハ、もうイルには敵わないなぁ。イルの見立て、ほぼほぼ合ってるよ。シャナは、どうやってるのかはよくわからないけど、その800年前の世界から、この血筋上の時を超える精神干渉ができるみたいなの」
「えぇぇっ? そ、そんなことができるのね? あー、どこまでもファンタジー……壮大すぎて理解するのは難しそうね。もう、理屈なんてどうでもいいわ。うっとりしちゃう。しあわせ……」
「今度イルもおしゃべりするといいよ。きっと楽しいよ。それで、そのシャナが言ってたの。お父さんはすごい人だったって。それに後世であるこの時代にお父さんが愛されていることがわかって嬉しいって。それで、よく考えると、シャナに対する源義経と、マコに対するパパって、同じ位置関係なんだなって。だから、シャナが寄せるお父さんへの思いと、マコが感じるパパもやっぱりなんか似てる気がして、ちょっと嬉しくなっちゃったの」
「あぁ、そういうことか。なんとなく気持ちはわかる気がする。あぁあ、イルのお父さんも生きてたらなぁ。あ! そんなつもりじゃないから、気遣いは要らないよ」
「わ、わかった。でも、今のイルにはもうパパと呼んでいい人がいるじゃない。それとも、うちのパパじゃ不服?」
「あはははぁ、そうだったね。いやいや、不服どころか、満腹、お腹いっぱいよぉ? というかスゴすぎて食べきれない、あはははぁ」
「あ、着いた、おうちだ」
「みんな、ただいまぁ」
「あらかた、取り押さえました。皆さんはご無事でしたか?」
「えぇ、ケガなどありませんよ」
「あぁ、それは良かった。それはそうと、ミスターイチノセ、何か銃のようなものを使った音がしたように聞こえましたが、アレは何ですか?」
「あぁ、それはこの花火の玉です。日本で売っている、子供でも買えるもので、紙みたいな素材ですから、当たっても痛くないし、まぁ、音がするだけのもので、今日の場合、ハッタリとして有効でした。これを思いっきり地面にぶつけると火薬で音が鳴るのが確認できますよ。やってみますか?」
「なるほど、だから今日は大したけが人がひとりもいないわけですね。どれ? おひとつ。これを地面に思いっきり投げる、っと、「パァァン」おぉぉ、なるほど。うん。この音でした。それにしても、大した策士振りでした。何から何まで洗練され、スマートかつ大胆な切り口で惚れ惚れしました。しかも、警察のトップや、ギャングの元締めまで巻き込めるその大胆さと人脈、あなたは、本当は何者なんでしょうね?」
「いえいえ、前にも申し上げた通り、日本から来ているただの研究調査員ですよ。たまたま知り合いに詳しいやつがいて伝手を辿ったら偶然が重なり驚いているくらいです」
「ふーむ。まぁ、いいでしょう。俄然、あなたに興味が沸きましたがね。本来は重要参考人としての聞き取りをするところですが、お疲れでしょうし、状況証拠ややり取りの内容などは大体押さえているので、改めてお聞きすることは少ないと思いますから、本日はお引き取りいただいて大丈夫です。それでも疑問点などは浮かび上がるでしょうから、後日纏めてお聞きすることになると思います。そのときはまた改めてお話をうかがわせてください」
「そうですか。ご配慮感謝します。マコト、録音テープをお渡しして」
「了解。はい、どうぞ」
「おぅ、ありがとう、お嬢ちゃん。あぁ、録音テープがあるのなら、おそらくほとんどお聞きすることもなくなりますね。何から何まで用意周到で恐れ入ります。あらら、お嬢ちゃん。幼いながら、よく見るとエラいべっびんさんじゃないか。ヤツらが絶賛するのも頷けますわ。これは将来が楽しみですな」
「はい。自慢の娘ですから」
「あれっ? マコ誉められてる? エヘヘ」
「ただ、こんな危険なところに大事な娘さんを同行させるのはどうかと思いますがね。まぁ、それゆえのお父さんの注意を引く行動だったとは思いますが、最後にヤツらが押し寄せる場面、まぁ、警官の到着が間に合ったから良かったですが、何か考えがあってのことですか?」
「えぇ、まぁ、詳しくは申しませんが、うちの娘は優秀なんです。警官が到着しなくとも余裕でなんとかできるほどにね」
「ほぅ、それはまた興味深い」
「えへん」
「ほぅ、そんな優秀さとは裏腹に、なんとまぁ可愛らしいこと。お父さんが羨ましいですな? ワハハハ」
「アハハハ、もう珠玉の宝物です。仕舞ってはおけませんが」
「それは難しいところですね。それではまた」
「またどこかで」
「これでイルのおうちに巣くいかけた害虫駆除も完了だな? あぁ、そうか、借金返済に関してはまだ終わってないのか。まぁ、これも整理すれば返済完了してるかもしれないなぁ。まぁ、細かいことは明日考えよう。さぁ、帰るか」
「「うん」」
帰りは、イルのお家の中を、荒らされた分、少し片付けて、せっかくの軽トラなので、前回運べなかった荷物を荷台に乗せて、子供空間をパパに作ってもらったから、イルと2人で乗り込んだ。
「じゃあ、忘れ物はないな? 帰るぞぉ!」
「「オー!」」
「今日の戦い、スゴかったね。マコちゃん。まだドキドキしてるよ。武器なんて何も持ってなかったはずなのに、面白いように敵の銃なんかが弾き飛ばされてた。たぶんマコちゃん、狙撃してたよね?」
「え? なんでそう思うの?」
「状況と立ち位置、それから弾き飛ばされる方向を見れば、もうやったのはマコちゃんとしか思えないのだけど、マコちゃんは微動だにしなかったよね。アレはなに? どうやったら、そんなことができちゃうの? これも魔法なの?」
「あー、半分正解。さすがにイルはよく見てるね。少し長いけど、ザックリ説明要る?」
「うん。聞きたい聞きたい」
「「つぶて」といって、パパが教えてくれたんだ。元々は投石機とかで投げる石なんかのことらしい。マコたちは小石とか今日みたいな花火とかを指で弾くのをそう呼んでるの。昔、忍者のマンガでそういうつぶてを撃つシーンを見たことがあるんだ。でも、実際には人の力で威力あるつぶてを撃つのは難しいよね? だけどマコたちならそれができちゃうんだよね。すべてはパパの発想なんだけど、指で強く弾いて魔力で加速するの。まぁ、今度教えるね。だから、今日は指だけ動かしていたから、敵に悟られずゆっくり狙撃できたんだな」
「スゴーイ、そんなことができるのね? だから、ああいう構図の状況になったんだね」
「構図?」
「うん。たぶん、ジ、パ、パパもそのつぶてが撃てるんでしょ?」
「うん。パパが撃つともっとすごいよ」
「そうだよね。さっきの説明の花火の紙玉? それを足元に向かって派手に撃つことで注意を引いていただけで、誰にも当てていなかったもん。もしもパパの本気のが当たると凄いことになっていたと思うけど、それはやっちゃだめだよね。ただの民間人なのだから。それは置いといて、パパの動きとそれにより動かされる敵の配置がスゴいと思ったの。外に広がらないように派手な威嚇も合わせて、すぼめるように誘導した結果、パパに吸い寄せられるような集まり方をしてたの。ティアドロップ型というか……」
「ティアドロップ型?」
「あぁ、涙の滴みたいな形。丸の円周の一点だけを引っ張ったような形よ。その引っ張った先にパパがいるの」
「ほぅ、なるほど、それでそれで?」
「そうすると、相手は一点に集中する形になるから、後の人の射線は前の人に封じられて、ただの金魚の糞状態になるわけ。結果、前側の数人しか撃てないでしょ?」
「おぉ! そんな思惑があったのか!」
「しかも、その数人もマコちゃんが狙撃で順に落としていくし、一定方向なら、シールドがきっちり機能するから、派手に威嚇して囮に徹しているだけなのに、安全がきっちり確保されてる寸法ね」
「おぉ、なんて見事な。さすがはパパ殿!」
「もちろん、そのお陰もあって、マコちゃんへの注意は削がれるわけで、マコちゃんを守りながら、敵を傷付けずに翻弄しつつ、警察が来るまでの時間を稼ぐ。それでいて自身の防御も確保する。もう、「お見事」としか形容できないよね。惚れ惚れしちゃう」
「うーーん。なるほど。やはりそういう血脈なのかなぁ?」
マコは右手の親指を顎に当て、視線を落とし、少し考えこむ仕草をとった。
「ん? どうしたの、マコちゃん」
「うん。イルの解説を聞いていると、ふと、思い出したことがあってね。前回もそうだけど、戦いの場面のパパって、なんだか活き活きしてて、無駄なくソツなく最良の戦果を上げる戦の天才ではないかな? って思いが湧いてきたんだ」
「あぁ、その言葉、ピッタリと符合が合った感じがするね」
「やっぱりそう思うよね? それでね。イルはわからないかもしれないけど、800年ほど昔、そういう武将が日本にいたんだ。その人は源義経といって、今でも多くの日本人に愛されていて、たぶん知らない人はいないくらいなの」
「あー、聞いたことがあるかも?」
「え? 知ってるんだ? その人は歴史上、子孫はいないことになってるんだけど、パパは、どうもその血脈の継承者みたいなの。だからパパのすごさを見た人の評価が、源義経のものと被るように感じるのは、やはりその資質が受け継がれているのかなって。シャナが誇らしい、って言ってたことに、激しく同意しちゃうな」
「シャナ? 前にも聞いたよね」
「あぁ、そうだよね。まだ話してないからね。細かいことは、別の機会に話すけど、ママ側のご先祖さまなの。それで漆黒の魔女のルーツともいえる人。そんでもって、その源義経の娘さんなの」
「え? えぇ? えぇぇっ? ちょ、ちょっと待って! なんとなく理解できた。つまり、ソフィーやマコちゃんの800年前の魔女であるご先祖さまが源義経と結ばれて、漆黒の魔女でもあるシャナさんが生まれたと。それとは別に、源義経に関わる血脈にあり、源義経を彷彿させるような資質で、漆黒の力を引き出せるあの強力な能力を持つジンさんとソフィーが巡り会い、ここにマコちゃんがいると。そういうことなのね。まだいくつか欠けたピースがあるけれど、何? その時代をも超越したスペクタクルな超運命的な巡り合わせ。もう、あなたと出会ってからスゴすぎて、楽しすぎて、心が爆発しそうよ! もう、ずっと、ワクワクしてて、鼓動がドッキドキよ?」
「うわーっ! やっぱりイルの頭の中はすごいのね? その理解力ハンパないよ」
「アハハ、ありがとう。でも、イルからすれば、マコちゃんのほうがスゴすぎるわよ。それとね、たくさんある、抜けたピースの中で、すごくわからない、理解が追い付かない大きなピースがひとつだけあるの。そのシャナさんが凄いご先祖さまなのはわかった。けれど、とうに亡くなられているそんな昔の方なのに、マコちゃんはあたかもすぐ近くにいるような口振りに聞こえるのよ? そういえば、この間、なんかテレパシーみたいな、お話ししていたような……」
「アハハ、もうイルには敵わないなぁ。イルの見立て、ほぼほぼ合ってるよ。シャナは、どうやってるのかはよくわからないけど、その800年前の世界から、この血筋上の時を超える精神干渉ができるみたいなの」
「えぇぇっ? そ、そんなことができるのね? あー、どこまでもファンタジー……壮大すぎて理解するのは難しそうね。もう、理屈なんてどうでもいいわ。うっとりしちゃう。しあわせ……」
「今度イルもおしゃべりするといいよ。きっと楽しいよ。それで、そのシャナが言ってたの。お父さんはすごい人だったって。それに後世であるこの時代にお父さんが愛されていることがわかって嬉しいって。それで、よく考えると、シャナに対する源義経と、マコに対するパパって、同じ位置関係なんだなって。だから、シャナが寄せるお父さんへの思いと、マコが感じるパパもやっぱりなんか似てる気がして、ちょっと嬉しくなっちゃったの」
「あぁ、そういうことか。なんとなく気持ちはわかる気がする。あぁあ、イルのお父さんも生きてたらなぁ。あ! そんなつもりじゃないから、気遣いは要らないよ」
「わ、わかった。でも、今のイルにはもうパパと呼んでいい人がいるじゃない。それとも、うちのパパじゃ不服?」
「あはははぁ、そうだったね。いやいや、不服どころか、満腹、お腹いっぱいよぉ? というかスゴすぎて食べきれない、あはははぁ」
「あ、着いた、おうちだ」
「みんな、ただいまぁ」
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